欠陥品のリベリオン

夜月祐斗

第二話 貴族

 ほっといてくれれば死ねたのに。
 
 確かにそういった。

 そういった彼女はうつむいたまま動こうとしないどころか震えている。

 「とりあえず、俺の家来るか?そのままだといろいろ面倒だろ。」

 なんとか話しかけようとして出てきた言葉だった。

 普通、知らない人から家に誘われたら不審に思うだろうが、目の前の彼女は申し訳なさそうに言った。

 「いえ大丈夫ですし、これ以上迷惑はかけられません……。」
 
 「そんなずぶ濡れで大丈夫なわけないだろ。」

 「大丈夫です……。」

 そう言って立ち上がろうとした瞬間。

 「くしゅん!」

 「ほら見ろ。」

 その後は彼女を連れて家に帰った。

 この時気づいたが俺って今かなり不審だな。と、思ったがほっとくよりはマシだろと自分に言い聞かせた。
 
 ***
 
 「風呂沸かしとくから適当に座っててくれ。」

 そう言ってから俺は風呂を沸かし、着替えを用意した。温かいココアでも出そうかとしていたら風呂が湧いたので後でいいかと考えた。

 「風呂沸いたから入ってこいよ。」
 
 「あ、あの……。」

 彼女は戸惑っていたが、今更いいですとも言えず風呂場に消えていった。

 それからはすることもないので自室がある2階に行って待つことにした。
 
***
 
 ガタッ!

 「あの、お風呂ありがとうございました。」

 自室でうたた寝をしていたようでわざわざ2階の自室まで来ていた。

 「悪い、今なんか出すよ。」

 さっき準備しておいたココアを二人分自室に持っていった。

 「で、お前なんであいつらに目ぇつけられてんの?」

 一息ついてから問いかけた。

 「なんでもないです、それより貴方はもう関わらないでください。」

 「なんでもなくないだろ、お前貴族だろ、貴族のお前がなんであんな事になってたんだ?」

 貴族と言った途端手が震えているのが分かった。

 「どうした?」

 「いえ、それより貴方はいいんですか?」

 「何が?」

 質問の意味がよく分からなかった。

 「下民の貴方が貴族の私を部屋に入れて大丈夫ですか?」

 どうやら貴族と下民の格差の事を言っているようだ。

 「確かに下民の多くは貴族の事を嫌っているが、だからって知り合ったばっかの奴を嫌うか?」

 彼女は不意を付かれたように困惑していた。

 「変わってますね。」

 女子生徒は初めて笑って言った。改めて見ると美人であることが分かった。しかし、前髪が目にかかるぐらいあるので地味に見えている。

 「そういえばお前、名前は?」

 少しためらっていたので先に名乗った。

 「俺はユウト、君は?」

 「……レイス……。」

 レイスは更に遠慮がちに言った。

 「レイス……オラシオン、それが私の名前です。」

 「オラシオン!?」

 オラシオンと聞いた途端耳を疑った。その理由は、

 「私は王族なんです。」

コメント

  • ノベルバユーザー397588

    …⬅︎は2つにしたほうがいいと思います。

    0
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