魔法が使えないけど古代魔術で這い上がる
120 懐かしいのが良い事ばかりではない
ウィンディア領という決して広いとは言えない土地。そんな中でも大きな建物かいくつかある。
その内のひとつがここ、ラルフが営む道場である。
「………うわぁ」
「すごいですね!人がたくさんいますよ先輩!」
だか、いつもは広く感じる道場か狭く感じる程の人が居た。
見回した限りだと、子供とギルドの冒険者が多いように見える。
そして、この人員構成に見覚えがあるロイドは嫌な予感が増していく一方である。
「おっ、ロイド!ちゃんと来たんだな、えらいぞ」
「先生、おはようございます。そりゃ約束なんですから来ますけど…なんですかこの状況?」
そんな中近寄るラルフにロイドは問うと、ラルフは苦笑いを浮かべた。
「いや…俺も予想外だったんだけどな。まぁ気にすんな、こっち来い。クレアだっけか、一緒についておいで」
「いや無理無理気になりますって」
「はいっ!」
歩き出すラルフに嫌そうに追随するロイドと楽しそうなクレア。
着いていくと、普段はあまり使わない庭へと進んでいく。
「あれ?なんか広くなりました?」
「おー、1年前のゲインとやりあった時にちょっと運動不足を痛感してな。室内だと確実に物が壊れるからこっちを広くしてみたんだよ」
前は道場より狭いくらいのスペースだったが、今は道場の倍はあろうかという広さになっていた。
ところどころ抉れた跡やそれを直そうとした跡がある。
「さて、ここで1年前の約束通り、どの程度鍛えられたか見てやるよ」
「はい、分かりました」
庭の真ん中付近で振り返り、ロイドと向き合うラルフに頷いてみせるロイド。
「それでだ。本当なら俺が見てやろうと思ってたんだけど、面白い事言うやつが居たんでな。そいつに任せる事にしたんだ」
「……それで、この人の多さですか…」
周りを見渡すと先程まで道場に居た人達がいつの間にか囲うように立っていた。
まるで見世物でも見に来たように酒やらを片手に持つ者までいる。
やはり見覚えのある光景に、次の展開が読めたロイドと、首を傾げるクレア。
そんな2人に今まで我慢していたように黙っていた周りが口を開く。
「よぉロイド!昨日は邪魔したなー!」
「今日は頑張ってくれよ!」
「つーか誰だその可愛い子は!彼女かー?」
「おいおい、お嬢が怒っちまうぞ!」
楽しそうに叫ぶ冒険者達。
だが、不思議と子供達の方は何も言ってこない。
いつもなら恥さらしやら罵声を吐いてくるだろうが、まるで様子を伺うかのようにじっとロイドを見るばかりである。
「違いますって!てかなんでラピスが出てくるんですか!」
とりあえず返事だけしておいたが、冒険者達は打ち合わせでもしたかのように皆んなしてやれやれといったリアクション。
なんだこれ?集団いじめ?
なんとなく腹が立ってきたロイドだが、後ろから近寄ってくる足音に気付き振り返る。
「よぉ恥さらし。1年間もどこで遊んでたんだ?」
「あー、ちょっと国外旅行に」
敵意丸出しの言葉。とりあえずさしあたりなく返事をしておいたが、それさえ気に入らなかったのか青筋を浮かべられた。
「くそが!なめやがって…以前まぐれで勝ったからって調子に乗ってんじゃねぇよ!」
「ちょっと!なんなんですかいきなり!」
ロイドが適当に返事をしようとする前にクレアが激昂した。
その声につられて目線を向ける。
「あぁ?なんだおま……」
「なんだはあなたですよ!先輩に失礼な事言っむぐ?!」
だがクレアを見て言葉を詰まらせた彼は固まっていた。少し頬が赤い。
ラピスといいクレアといい、ちょろいなこいつとロイドは内心呟く。
しかしなお言い返そうとするクレアを面倒臭そうに口を手で塞ぐ。
これ以上言って余計な反感を買わさせる必要はない。
「……」
なぜかこっちを見ながら頬を赤くするクレア。え、なんで?とロイドが首を傾げていると。
「…って、てめぇ!誰だこの子は?!」
「国外旅行先で会った」
簡潔に答えるロイドに、今度は周りの冒険者達が叫ぶ。
「おいおい!帝国に女探しに行ったのかロイド!」
「良かったな!可愛い子見つけれてよ!」
ゲラゲラ笑いながら叫ぶ冒険者達。いつの間にか酒の空き瓶も増えている。
出来上がってきてやがる、とロイドは引きつった笑いを浮かべた。
「恥さらしのくせにこんな…!もう許さねぇぞ!」
「どこにキレてんだ」
「うるせぇ!あの時がまぐれだったって事を証明してやる!……決闘だ!!」
高らかに叫ぶ彼ーーゼームズ。
その言葉にロイドはチラッとラルフに目線をやると、目の合ったラルフか頷く。
なるほど、実力を見られる相手はゼームズか、と理解したロイドはクレアに下がるように言う。
そういう事なら断る訳にもいかない。
「よっしゃ、やるか」
決闘の受け入れに、周囲の面々が沸いた。
その内のひとつがここ、ラルフが営む道場である。
「………うわぁ」
「すごいですね!人がたくさんいますよ先輩!」
だか、いつもは広く感じる道場か狭く感じる程の人が居た。
見回した限りだと、子供とギルドの冒険者が多いように見える。
そして、この人員構成に見覚えがあるロイドは嫌な予感が増していく一方である。
「おっ、ロイド!ちゃんと来たんだな、えらいぞ」
「先生、おはようございます。そりゃ約束なんですから来ますけど…なんですかこの状況?」
そんな中近寄るラルフにロイドは問うと、ラルフは苦笑いを浮かべた。
「いや…俺も予想外だったんだけどな。まぁ気にすんな、こっち来い。クレアだっけか、一緒についておいで」
「いや無理無理気になりますって」
「はいっ!」
歩き出すラルフに嫌そうに追随するロイドと楽しそうなクレア。
着いていくと、普段はあまり使わない庭へと進んでいく。
「あれ?なんか広くなりました?」
「おー、1年前のゲインとやりあった時にちょっと運動不足を痛感してな。室内だと確実に物が壊れるからこっちを広くしてみたんだよ」
前は道場より狭いくらいのスペースだったが、今は道場の倍はあろうかという広さになっていた。
ところどころ抉れた跡やそれを直そうとした跡がある。
「さて、ここで1年前の約束通り、どの程度鍛えられたか見てやるよ」
「はい、分かりました」
庭の真ん中付近で振り返り、ロイドと向き合うラルフに頷いてみせるロイド。
「それでだ。本当なら俺が見てやろうと思ってたんだけど、面白い事言うやつが居たんでな。そいつに任せる事にしたんだ」
「……それで、この人の多さですか…」
周りを見渡すと先程まで道場に居た人達がいつの間にか囲うように立っていた。
まるで見世物でも見に来たように酒やらを片手に持つ者までいる。
やはり見覚えのある光景に、次の展開が読めたロイドと、首を傾げるクレア。
そんな2人に今まで我慢していたように黙っていた周りが口を開く。
「よぉロイド!昨日は邪魔したなー!」
「今日は頑張ってくれよ!」
「つーか誰だその可愛い子は!彼女かー?」
「おいおい、お嬢が怒っちまうぞ!」
楽しそうに叫ぶ冒険者達。
だが、不思議と子供達の方は何も言ってこない。
いつもなら恥さらしやら罵声を吐いてくるだろうが、まるで様子を伺うかのようにじっとロイドを見るばかりである。
「違いますって!てかなんでラピスが出てくるんですか!」
とりあえず返事だけしておいたが、冒険者達は打ち合わせでもしたかのように皆んなしてやれやれといったリアクション。
なんだこれ?集団いじめ?
なんとなく腹が立ってきたロイドだが、後ろから近寄ってくる足音に気付き振り返る。
「よぉ恥さらし。1年間もどこで遊んでたんだ?」
「あー、ちょっと国外旅行に」
敵意丸出しの言葉。とりあえずさしあたりなく返事をしておいたが、それさえ気に入らなかったのか青筋を浮かべられた。
「くそが!なめやがって…以前まぐれで勝ったからって調子に乗ってんじゃねぇよ!」
「ちょっと!なんなんですかいきなり!」
ロイドが適当に返事をしようとする前にクレアが激昂した。
その声につられて目線を向ける。
「あぁ?なんだおま……」
「なんだはあなたですよ!先輩に失礼な事言っむぐ?!」
だがクレアを見て言葉を詰まらせた彼は固まっていた。少し頬が赤い。
ラピスといいクレアといい、ちょろいなこいつとロイドは内心呟く。
しかしなお言い返そうとするクレアを面倒臭そうに口を手で塞ぐ。
これ以上言って余計な反感を買わさせる必要はない。
「……」
なぜかこっちを見ながら頬を赤くするクレア。え、なんで?とロイドが首を傾げていると。
「…って、てめぇ!誰だこの子は?!」
「国外旅行先で会った」
簡潔に答えるロイドに、今度は周りの冒険者達が叫ぶ。
「おいおい!帝国に女探しに行ったのかロイド!」
「良かったな!可愛い子見つけれてよ!」
ゲラゲラ笑いながら叫ぶ冒険者達。いつの間にか酒の空き瓶も増えている。
出来上がってきてやがる、とロイドは引きつった笑いを浮かべた。
「恥さらしのくせにこんな…!もう許さねぇぞ!」
「どこにキレてんだ」
「うるせぇ!あの時がまぐれだったって事を証明してやる!……決闘だ!!」
高らかに叫ぶ彼ーーゼームズ。
その言葉にロイドはチラッとラルフに目線をやると、目の合ったラルフか頷く。
なるほど、実力を見られる相手はゼームズか、と理解したロイドはクレアに下がるように言う。
そういう事なら断る訳にもいかない。
「よっしゃ、やるか」
決闘の受け入れに、周囲の面々が沸いた。
コメント
330284【むつき・りんな】
何かハチャメチャだ(何時も)