ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第428話【無双撃破】
「さてさて、あのミイラ顔のオッサンは、どこまで逃げやがったかな?」
俺は棺桶の中から出てきた階段を下って行った。
突然現れたミイラ顔したオッサンを追跡しているのだ。
足跡は階段に幾つも残っている。
同じサイズで裸足の足跡だ。
おそらく同一人物の物だろう。
何度もこの階段を行き来しているのだろうと思う。
「少し湿っぽいな」
壁の隙間からコケが生えているぞ。
いや、カビかな?
まあ、なんだっていいや。
兎に角今は追跡だ。
俺がしばらく階段を降りて行くと部屋に出た。
「また棺桶かよ……」
その部屋は上の階と同じような間取りの作りに窺えた。
10×25メートルの部屋で天井も同じアーチ型だ。
石棺の数も同じく十二個並んでいる。
だが、部屋の正面に扉は無かった。
この部屋で行き止まりである。
「って、ことは~。また棺桶の中に隠し階段でも有るのかな?」
そんな感じに俺が予想していると複数の棺桶の蓋がグラグラと動き出す。
次々と石棺の蓋が床に落ちると、棺桶の中からスケルトンたちが起き上がって来る。
そのスケルトンたちはすべて四本腕であった。
しかし、石橋の部屋で戦ったフォーハンドスケルトンウォリアーに比べて体格が小さい。
アイツは2メートルほどの巨漢だったが、こいつらは並の身長である。
更にフルプレートメイルすら装備していない。
皮鎧やら鱗鎧ばかりで、ランクダウンしている。
ヘルムも被っていないために、顔を見ればスケルトンだと一発で分かる風貌であった。
だが、骸骨頭の瞳が赤く光っている。
いや、髑髏頭の中から光りが漏れているのかな。
頭部の中でランタンのように炎が揺らいでいるのだ。
フォーハンドスケルトンウォリアーと共通しているのは、四本腕に様々な武器を持っていることぐらいであるだろう。
「先ずはネーム判定からかな」
【フォーハンドスケルトンです】
あら、ウォリアーって単語が削除されてますね。
てか、アイツのプロトタイプか何かかな?
まあ、ランクダウンしているのは間違いないだろうさ。
数は棺桶と同じ数の十二体かな。
いや、奥の二つは石棺の蓋が空いてない。
ならば十体か──。
よし、部屋に入らず階段前の入り口で、一対一で順々に戦えば、楽々と勝てるだろうさ。
俺は腰から黄金剣を抜いて後ろにジリジリと下がって行った。
通路に戻る。
狭い通路内で戦うのだから双剣よりも片手剣のほうが良いだろう。
更に──。
「ジャイアントストレングス、ディフェンスアーマー、ディフェンスシールド、フォーカスアイ、カウンターマジック、ファイアーエンチャントウェポン、プロテクションアンデッド!」
よし、これでOKだ。
そして、戦う準備が終えた。
するとフォーハンドスケルトンたちがゾロゾロと近付いて来る。
フォーハンドスケルトンは出入り口に引き籠る俺に対して扇形にフォーメーションを築いていた。
「さて、始めるか!」
って、俺が気合いを掛け声に変えると、何故かフォーハンドスケルトンたちが足を止めた。
どいつもこいつも近付いてこない。
「あれ、立ち止まったよ?」
様子を窺っているのか?
いや、違うな……。
扇形に広がっているフォーハンドスケルトンたちが口を大きく開いた。
その口の中には小さな炎が揺らいでいる。
あれが骸骨頭を輝かせている元だろう。
「うわぁ~……。嫌な予感がしますね~。最近だと炎には運が無いからな……」
すると案の定であった。
十体のフォーハンドスケルトンたちがファイアーブレスを同時に吐いたのだ。
まるで火炎放射器の一斉射撃である。
十方向から迫る炎の息が同時に俺を襲った。
「やっぱりファイアーブレスかよ!!!」
しかも十本も!!
だがしかし俺は退かなかった。
逆に前に出る。
「うりゃぁああああややや!!!」
俺は迫り来る炎の束を突っ切った。
そして一体のフォーハンドスケルトンの前に迫る。
「ウェポンスマッシュ!!」
火炎攻撃に耐えた俺が兜割りでフォーハンドスケルトンの体を股間まで真っ二つに切り裂いた。
残り九体のフォーハンドスケルトンがファイアーブレスを止めて俺に切りかかって来る。
俺は横から迫るフォーハンドスケルトンの横斬りを頭を下げて躱すと同時に胴打ちで胴体を両断した。
上半身と下半身が別れたフォーハンドスケルトンは動かなくなる。
「残り八体!」
そして、屈んでいた姿勢から今度は跳躍した。
正面のフォーハンドスケルトンに上空から上段の構えで降下して行く。
「うらぁぁあああ!!」
俺に狙われたフォーハンドスケルトンは上腕二本のロングソードで頭部を守った。
おそらく二本の上腕でガードしたら、下腕のショートソードで俺の体を突いて来るつもりだろう。
ならば──。
「ヘルムクラッシャー!!」
ガキンっと金属が砕ける剛音のあとに骨が砕けるガラガラとした撃音が轟いた。
俺の黄金剣がロングソード二本を叩き折り、更にフォーハンドスケルトンの上半身をバラバラに砕いたのだ。
「残り七体!」
大ジャンプ攻撃から俺が着地すると二体のフォーハンドスケルトンがファイアーブレスを吹いて来た。
一本目のファイアーブレスを走って躱すと二本目を小ジャンプで回避する。
更に身を屈めながらジグザクに素早く移動する。
その間に何度か様々なフォーハンドスケルトンに黄金剣を打ち込んだ。
牽制である。
翻弄しているのだ。
敵を混乱させているのだ。
どうせこいつらはアンデッドとゴーレムのハイブリットモンスターだから、AI はポンコツだろうさ。
複雑に惑わせば処理速度が落ちてラグってくれるはずだ。
案の定、オッペケペーな方向にファイアーブレスを吐いてるヤツも居やがる。
混乱する中で俺は狙いを一体のフォーハンドスケルトンに定めた。
「ダッシュクラッシャー!!」
至近距離からのダッシュ攻撃。
俺はスキルの効果で体当たりすると2メートルほど敵を押しきってから壁に黄金剣で串刺しにしてやった。
壁に叩きつけられた衝撃と脊髄を突かれた攻撃で、フォーハンドスケルトンがバラバラに砕け散る。
「残り六体!」
そして、俺が踵を返すと顔面目掛けて炎の塊が迫って来ていた。
俺は屈んで躱すと、その低い姿勢のままダッシュする。
炎を吐いてるフォーハンドスケルトンの足元にスライディングで滑り込んだ。
「それっ!」
スライディングから足払い。
俺の下段横蹴りで両足を払われたフォーハンドスケルトンが両足を揃えて横向きに宙を待った。
そのまま転倒する。
その転んだ頭を膝立ちの俺が黄金剣で軽く打って砕いた。
「残り五体!」
刹那。
背後に気配。
俺は振り返る動作と、立ち上がる動作を同時に行いながら、更に逆袈裟斬りを放つ。
その一撃が、俺の背後から切りかかって来ていたフォーハンドスケルトンの上右腕を肘から斬り飛ばした。
俺は逆袈裟斬りで振り上げた刃を返すと今度は袈裟斬りに黄金剣を振るう。
その一打をフォーハンドスケルトンは左腕二本の武器でガードしたが、俺は左手の鉄腕で敵の骸骨顔をストレートパンチでぶん殴った。
フォーハンドスケルトンの顔面だけが砕けると頭部の中で燃えていた炎が消える。
それで顔面だけが砕けていたフォーハンドスケルトンが崩れ落ちた。
「残り四体!」
『ギィギィキィキィーー!!』
俺の右方向からフォーハンドスケルトンが、すべての腕を振り上げて迫って来た。
俺は前を向いたまま横から迫る敵に視線もくれずにスキル攻撃を繰り出す。
「ウェポンスマッシュ!」
ダラリと下げていた右腕の黄金剣を、手首と肘のスナップを効かせた鞭のような一撃で攻撃した。
その一打で横から迫るフォーハンドスケルトンの首を舜撃の元に斬り飛ばす。
「残り三体!」
その三体が同時に切りかかって来た。
「ソニックウェーブ!」
俺が放った斬撃の波動が骸骨頭を切り裂いた。
飛び道具が放たれるとは思ってもいなかったようだな。
甘いぜ。
トロ~ントロ~ンに甘いぜ。
「残り二体!」
その二体が左右に別れた。
俺を挟み込むように陣取る。
「舐めるな!」
もうここまで来たら、打ち込みなんてさせてやらんからな。
俺は右のヤツに向かって上段の構えを築いた。
そこからの超特大攻撃を全力で打ち込んだ。
「ワイルドクラッシャー!!」
フォーハンドスケルトンは四本の武器を頭の上に並べてガードしたが、俺はそのガードごと力任せに押し潰してやった。
切り裂くでは無く、押し潰すである。
フォーハンドスケルトンは自分の武器に押し潰されて頭を砕かれる。
「残り一体!」
すぐさま振り反っての袈裟斬り。
最後のフォーハンドスケルトンは何とか俺の攻撃を防御した。
俺は更に連続で打ち込む。
胴打ち、面打ち、小手打ち、袈裟斬り、逆袈裟斬り、再び袈裟斬り。
すべてが防御された。
しかし、俺が一方的に攻めている。
最後のフォーハンドスケルトンは防戦一方であった。
もう一体では攻める余裕すら無いようだ。
やがて壁際まで追い詰める。
「終わりだぜ!」
するとフォーハンドスケルトンが悪足掻きに出る。
大きく口を空けてファイアーブレスを吐こうとしていた。
「もう、いいんだよ!」
俺はその口の中に黄金剣を突き立てる。
刀身が貫通して背後の壁まで突き刺さる。
すると胴体だけが崩れて床に散らばった。
串刺しになった髑髏だけが壁に残る。
「これで全滅だ。討伐完了だぜ!」
そして、俺が黄金剣を壁から引き抜くと、閉まっていた石棺の蓋が一つ開いた。
「んん?」
その石棺からフルプレートメイルを纏ったフォーハンドスケルトンが立ち上がる。
「あら、まだ居るのかよ。しかも巨漢だな。もしかしてフォーハンドスケルトンウォリアーかな?」
念のためにネーム判定を行ってみた。
【スライム・イン・ザ・フォーハンドスケルトンウォリアーです】
名前、長っ!!
てか、スライム・インってなんだよ!?
俺が棺桶から出て来る巨漢のフルプレートを見ていて気が付いた。
甲冑の隙間からはみ出した緑色のスライムが、ドロドロと蠢いて見える。
「あー、なるほど……。甲冑の中にスケルトンだけじゃあなくって、スライムまでも入っているのね……」
どうやらフォーハンドスケルトンウォリアーとスライムのハイブリット作品のようである。
いや、アンデッドとゴーレムにスライムだから……。
トリプル……?
ううーーーん、言い方が分からん!!
三身一体かな!?
【つづく】
俺は棺桶の中から出てきた階段を下って行った。
突然現れたミイラ顔したオッサンを追跡しているのだ。
足跡は階段に幾つも残っている。
同じサイズで裸足の足跡だ。
おそらく同一人物の物だろう。
何度もこの階段を行き来しているのだろうと思う。
「少し湿っぽいな」
壁の隙間からコケが生えているぞ。
いや、カビかな?
まあ、なんだっていいや。
兎に角今は追跡だ。
俺がしばらく階段を降りて行くと部屋に出た。
「また棺桶かよ……」
その部屋は上の階と同じような間取りの作りに窺えた。
10×25メートルの部屋で天井も同じアーチ型だ。
石棺の数も同じく十二個並んでいる。
だが、部屋の正面に扉は無かった。
この部屋で行き止まりである。
「って、ことは~。また棺桶の中に隠し階段でも有るのかな?」
そんな感じに俺が予想していると複数の棺桶の蓋がグラグラと動き出す。
次々と石棺の蓋が床に落ちると、棺桶の中からスケルトンたちが起き上がって来る。
そのスケルトンたちはすべて四本腕であった。
しかし、石橋の部屋で戦ったフォーハンドスケルトンウォリアーに比べて体格が小さい。
アイツは2メートルほどの巨漢だったが、こいつらは並の身長である。
更にフルプレートメイルすら装備していない。
皮鎧やら鱗鎧ばかりで、ランクダウンしている。
ヘルムも被っていないために、顔を見ればスケルトンだと一発で分かる風貌であった。
だが、骸骨頭の瞳が赤く光っている。
いや、髑髏頭の中から光りが漏れているのかな。
頭部の中でランタンのように炎が揺らいでいるのだ。
フォーハンドスケルトンウォリアーと共通しているのは、四本腕に様々な武器を持っていることぐらいであるだろう。
「先ずはネーム判定からかな」
【フォーハンドスケルトンです】
あら、ウォリアーって単語が削除されてますね。
てか、アイツのプロトタイプか何かかな?
まあ、ランクダウンしているのは間違いないだろうさ。
数は棺桶と同じ数の十二体かな。
いや、奥の二つは石棺の蓋が空いてない。
ならば十体か──。
よし、部屋に入らず階段前の入り口で、一対一で順々に戦えば、楽々と勝てるだろうさ。
俺は腰から黄金剣を抜いて後ろにジリジリと下がって行った。
通路に戻る。
狭い通路内で戦うのだから双剣よりも片手剣のほうが良いだろう。
更に──。
「ジャイアントストレングス、ディフェンスアーマー、ディフェンスシールド、フォーカスアイ、カウンターマジック、ファイアーエンチャントウェポン、プロテクションアンデッド!」
よし、これでOKだ。
そして、戦う準備が終えた。
するとフォーハンドスケルトンたちがゾロゾロと近付いて来る。
フォーハンドスケルトンは出入り口に引き籠る俺に対して扇形にフォーメーションを築いていた。
「さて、始めるか!」
って、俺が気合いを掛け声に変えると、何故かフォーハンドスケルトンたちが足を止めた。
どいつもこいつも近付いてこない。
「あれ、立ち止まったよ?」
様子を窺っているのか?
いや、違うな……。
扇形に広がっているフォーハンドスケルトンたちが口を大きく開いた。
その口の中には小さな炎が揺らいでいる。
あれが骸骨頭を輝かせている元だろう。
「うわぁ~……。嫌な予感がしますね~。最近だと炎には運が無いからな……」
すると案の定であった。
十体のフォーハンドスケルトンたちがファイアーブレスを同時に吐いたのだ。
まるで火炎放射器の一斉射撃である。
十方向から迫る炎の息が同時に俺を襲った。
「やっぱりファイアーブレスかよ!!!」
しかも十本も!!
だがしかし俺は退かなかった。
逆に前に出る。
「うりゃぁああああややや!!!」
俺は迫り来る炎の束を突っ切った。
そして一体のフォーハンドスケルトンの前に迫る。
「ウェポンスマッシュ!!」
火炎攻撃に耐えた俺が兜割りでフォーハンドスケルトンの体を股間まで真っ二つに切り裂いた。
残り九体のフォーハンドスケルトンがファイアーブレスを止めて俺に切りかかって来る。
俺は横から迫るフォーハンドスケルトンの横斬りを頭を下げて躱すと同時に胴打ちで胴体を両断した。
上半身と下半身が別れたフォーハンドスケルトンは動かなくなる。
「残り八体!」
そして、屈んでいた姿勢から今度は跳躍した。
正面のフォーハンドスケルトンに上空から上段の構えで降下して行く。
「うらぁぁあああ!!」
俺に狙われたフォーハンドスケルトンは上腕二本のロングソードで頭部を守った。
おそらく二本の上腕でガードしたら、下腕のショートソードで俺の体を突いて来るつもりだろう。
ならば──。
「ヘルムクラッシャー!!」
ガキンっと金属が砕ける剛音のあとに骨が砕けるガラガラとした撃音が轟いた。
俺の黄金剣がロングソード二本を叩き折り、更にフォーハンドスケルトンの上半身をバラバラに砕いたのだ。
「残り七体!」
大ジャンプ攻撃から俺が着地すると二体のフォーハンドスケルトンがファイアーブレスを吹いて来た。
一本目のファイアーブレスを走って躱すと二本目を小ジャンプで回避する。
更に身を屈めながらジグザクに素早く移動する。
その間に何度か様々なフォーハンドスケルトンに黄金剣を打ち込んだ。
牽制である。
翻弄しているのだ。
敵を混乱させているのだ。
どうせこいつらはアンデッドとゴーレムのハイブリットモンスターだから、AI はポンコツだろうさ。
複雑に惑わせば処理速度が落ちてラグってくれるはずだ。
案の定、オッペケペーな方向にファイアーブレスを吐いてるヤツも居やがる。
混乱する中で俺は狙いを一体のフォーハンドスケルトンに定めた。
「ダッシュクラッシャー!!」
至近距離からのダッシュ攻撃。
俺はスキルの効果で体当たりすると2メートルほど敵を押しきってから壁に黄金剣で串刺しにしてやった。
壁に叩きつけられた衝撃と脊髄を突かれた攻撃で、フォーハンドスケルトンがバラバラに砕け散る。
「残り六体!」
そして、俺が踵を返すと顔面目掛けて炎の塊が迫って来ていた。
俺は屈んで躱すと、その低い姿勢のままダッシュする。
炎を吐いてるフォーハンドスケルトンの足元にスライディングで滑り込んだ。
「それっ!」
スライディングから足払い。
俺の下段横蹴りで両足を払われたフォーハンドスケルトンが両足を揃えて横向きに宙を待った。
そのまま転倒する。
その転んだ頭を膝立ちの俺が黄金剣で軽く打って砕いた。
「残り五体!」
刹那。
背後に気配。
俺は振り返る動作と、立ち上がる動作を同時に行いながら、更に逆袈裟斬りを放つ。
その一撃が、俺の背後から切りかかって来ていたフォーハンドスケルトンの上右腕を肘から斬り飛ばした。
俺は逆袈裟斬りで振り上げた刃を返すと今度は袈裟斬りに黄金剣を振るう。
その一打をフォーハンドスケルトンは左腕二本の武器でガードしたが、俺は左手の鉄腕で敵の骸骨顔をストレートパンチでぶん殴った。
フォーハンドスケルトンの顔面だけが砕けると頭部の中で燃えていた炎が消える。
それで顔面だけが砕けていたフォーハンドスケルトンが崩れ落ちた。
「残り四体!」
『ギィギィキィキィーー!!』
俺の右方向からフォーハンドスケルトンが、すべての腕を振り上げて迫って来た。
俺は前を向いたまま横から迫る敵に視線もくれずにスキル攻撃を繰り出す。
「ウェポンスマッシュ!」
ダラリと下げていた右腕の黄金剣を、手首と肘のスナップを効かせた鞭のような一撃で攻撃した。
その一打で横から迫るフォーハンドスケルトンの首を舜撃の元に斬り飛ばす。
「残り三体!」
その三体が同時に切りかかって来た。
「ソニックウェーブ!」
俺が放った斬撃の波動が骸骨頭を切り裂いた。
飛び道具が放たれるとは思ってもいなかったようだな。
甘いぜ。
トロ~ントロ~ンに甘いぜ。
「残り二体!」
その二体が左右に別れた。
俺を挟み込むように陣取る。
「舐めるな!」
もうここまで来たら、打ち込みなんてさせてやらんからな。
俺は右のヤツに向かって上段の構えを築いた。
そこからの超特大攻撃を全力で打ち込んだ。
「ワイルドクラッシャー!!」
フォーハンドスケルトンは四本の武器を頭の上に並べてガードしたが、俺はそのガードごと力任せに押し潰してやった。
切り裂くでは無く、押し潰すである。
フォーハンドスケルトンは自分の武器に押し潰されて頭を砕かれる。
「残り一体!」
すぐさま振り反っての袈裟斬り。
最後のフォーハンドスケルトンは何とか俺の攻撃を防御した。
俺は更に連続で打ち込む。
胴打ち、面打ち、小手打ち、袈裟斬り、逆袈裟斬り、再び袈裟斬り。
すべてが防御された。
しかし、俺が一方的に攻めている。
最後のフォーハンドスケルトンは防戦一方であった。
もう一体では攻める余裕すら無いようだ。
やがて壁際まで追い詰める。
「終わりだぜ!」
するとフォーハンドスケルトンが悪足掻きに出る。
大きく口を空けてファイアーブレスを吐こうとしていた。
「もう、いいんだよ!」
俺はその口の中に黄金剣を突き立てる。
刀身が貫通して背後の壁まで突き刺さる。
すると胴体だけが崩れて床に散らばった。
串刺しになった髑髏だけが壁に残る。
「これで全滅だ。討伐完了だぜ!」
そして、俺が黄金剣を壁から引き抜くと、閉まっていた石棺の蓋が一つ開いた。
「んん?」
その石棺からフルプレートメイルを纏ったフォーハンドスケルトンが立ち上がる。
「あら、まだ居るのかよ。しかも巨漢だな。もしかしてフォーハンドスケルトンウォリアーかな?」
念のためにネーム判定を行ってみた。
【スライム・イン・ザ・フォーハンドスケルトンウォリアーです】
名前、長っ!!
てか、スライム・インってなんだよ!?
俺が棺桶から出て来る巨漢のフルプレートを見ていて気が付いた。
甲冑の隙間からはみ出した緑色のスライムが、ドロドロと蠢いて見える。
「あー、なるほど……。甲冑の中にスケルトンだけじゃあなくって、スライムまでも入っているのね……」
どうやらフォーハンドスケルトンウォリアーとスライムのハイブリット作品のようである。
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