ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第335話【サイクロプスを偵察】
俺は村長さんの家で昼食を頂き、更に茶の間に上げてもらいお茶を啜っていた。
なんと村長さんの家には畳部屋があるのだ。
丸い卓袱台を囲んで、俺と村長さんの二人は、長閑な昼下がりを過ごしていた。
一方でロダンは、また酒場に行ってしまったのだ。
「いや~~、畳の香りが落ち着くな~」
「お前さん、人間なのに畳の香りが理解できるとは、なかなかの冒険者じゃのう!」
「いぁ~~、俺も田舎育ちだから、畳とかが懐かしくてね~」
村長さんが謝罪して来る。
「先程は悪かったな。突然に殴り掛かって……」
「いやいや、俺も悪かったよ。調子に乗ってTKOしちゃってさ~」
「あのパンチは凄かったな。まるで鉄の金棒でどつかれたような衝撃だったわい」
「まあ、冒険者として鍛えているからな」
「ところであんた、本当にサイクロプスを退治してくれるのか?」
「ああ、そのつもりで来たんだが」
真剣な表情の村長さんが、湯呑みを卓袱台に置いた。
「あんたはサイクロプスに敵うつもりなのかい?」
「敵うも敵わないも、戦って見なければ分からない話だ」
「相手は身長4メートルの巨人じゃぞ……?」
「身長的には俺の2.5倍ぐらいかな、あはははは~」
「笑い事では無い程のハンデじゃぞ……」
「でも、俺が勝つ!」
俺は拳を握り締めるとアッパーカット気味に突き出した。
その際にガツンっと肘を卓袱台にぶつけてしまう。
カッコ悪い……。
「遊び半分で、手を出して貰いたくないんじゃがな。人間がサイクロプスを相手にするなら百人の兵隊が必要じゃろうて。もしかしたら百人でも足らないかも知れませんぞ」
「少なくとも俺は人間の百人にすら勝てるはずだ」
俺は満面の笑みで言った。
冗談のつもりは微塵も無い。
今の俺なら百人にすら勝てる。
そう、百人力なのだ。
「では、まずサイクロプスを実際の目で拝見してから考えてみては?」
「偵察をしてみろと?」
「はい……」
「実際のサイクロプスを見たら、怖じけつくかもと?」
「はい……」
そんな馬鹿な話が有るわけが無い。
「じゃあ、まずは見てみるか。でぇ、どこに居るんだ、サイクロプスは?」
「西の森の向こうじゃ。尖った岩山が四つ在って、そこに穴を掘って暮らしているはずじゃ」
「分かった。じゃあまずは見て来るぜ!」
俺は元気良く立ち上がった。
そして畳部屋を出てブーツを履く。
俺は家を出る前に村長さんに確認した。
嫌らしいが、お金の話だ。
「討伐料金の150000Gは、ちゃんと払えるんだろうな?」
かなりの高額料金だ。
苦労してサイクロプスを倒してからお金が無いとか言われたくは無い。
「お金は心配無い。貯金ぐらい有るわい」
ちょっと安心する。
「じゃあ行って来るぜ!」
俺は見送る村長に親指を立ててウィンクした。
村長さんも首を竦めながらウィンクを返す。
うわっ、気持ち悪い……。
俺は西の森を抜けると気配を隠した。
話に聞いた四本の尖った岩山を見つける。
高さ40~50メートルの岩山だろうか。
それが四角く四つ並んでいる。
たぶんあの尖った岩山のどれかに横穴が空いているのかな?
俺は更に気配と足音を消して先に進む。
岩山の陰に入り岩山に囲まれた中央を覗き込んだ。
────居る。
サイクロプスだ。
四本の尖った岩山の中央にサイクロプスが居る。
一つ目に一角の剥げ。
体格は筋肉質。
人間で言うならボディービルダーのような逆三角形の鍛えられた体格だ。
その上に粗末だが確りとした躱鎧を纏っている。
奴の側にはサイクロプスのサイズに似合ったスレッチハンマーが置かれていた。
サイクロプスは、右足を前に、左足を後ろに出して、アキレス腱を伸ばすかのように運動していた。
少し経つと、左右の足を入れ替える。
アキレス腱運動?
準備運動か?
アキレス腱を伸ばし終わると、今度は両手を組んで背筋を伸ばすように両手を上げた。
背を反らす。
ストレッチ体操だな。
続いて爪先だけで、ピョンピョンっと跳ねた。
巨漢なのに身軽だな。
それが終わると今度はスクワットを始める。
筋トレですか?
スクワットが終わると、今度は両手を地面につけて腕立て伏せを始めた。
完全にトレーニングだよ。
このサイクロプスは、完全にトレーニングに励んでやがる。
やべぇ……。
体格の不利だけじゃあなく、身体能力の不利も追加されそうだな。
想像と違うわぁ~……。
俺はもっとサイクロプスってばさ、お腹がポッコリと出た怠惰な体型の薄鈍いおっさんみたいな巨人さんだと思ってたのにさ。
こいつ、完全にアスリートだよ。
ガチのアスリート巨人ですよ。
たぶんこれは日々の日課だな。
日頃から鍛えてますよ、絶対にさ。
俺がゲッソリとしながらサイクロプスを観察していると、腕立て伏せを終えたサイクロプスが、今度はシャドーボクシングを始めた。
両拳を顔の前に置き、頭を低く構えたかと思うと、続いて頭を∞のラインで振り始めた。
そのスムーズな流れのまま左右のフックやアッパーを繰り出すのだ。
デンプシーロールかよ!!
こいつ、ボクシングも出来ますか!?
しかもパンチが速くて鋭いぞ!!
インファイターだわ!?
更にしなやかなローキックからのハイキック。
可憐なキックのコンビネーションまで披露しやがった。
蹴りも使えるの!?
てか、そのハイキックは意味ないぞ!!
そんな4メートルの高さに敵なんて居ないだろ!?
そこに鳥が一羽飛んで来た。
「ふっ!!」
サイクロプスのハイキックが鳥を襲う。
蹴り技なのに、まるで刀を振るったかのような鋭く綺麗なラインが走った。
刹那───。
飛んで居た鳥が、パンッと音を鳴らして消し飛んだ。
木っ端微塵だよ……。
なに、あのハイキックは……。
まるでムエタイ選手のハイキックだよ……。
鞭のようだったわ……。
もうさ、このサイクロプスはアスリートじゃあねえよ……。
完全にストイックな格闘技家だよ……。
たぶん食事にも気を付けているタイプだわ……。
絶対に鳥の笹身とか、卵の白身しか食べないよ……。
やっぱり、止めよっかな……。
村長さんも、止めれって言ってたしさ……。
【つづく】
なんと村長さんの家には畳部屋があるのだ。
丸い卓袱台を囲んで、俺と村長さんの二人は、長閑な昼下がりを過ごしていた。
一方でロダンは、また酒場に行ってしまったのだ。
「いや~~、畳の香りが落ち着くな~」
「お前さん、人間なのに畳の香りが理解できるとは、なかなかの冒険者じゃのう!」
「いぁ~~、俺も田舎育ちだから、畳とかが懐かしくてね~」
村長さんが謝罪して来る。
「先程は悪かったな。突然に殴り掛かって……」
「いやいや、俺も悪かったよ。調子に乗ってTKOしちゃってさ~」
「あのパンチは凄かったな。まるで鉄の金棒でどつかれたような衝撃だったわい」
「まあ、冒険者として鍛えているからな」
「ところであんた、本当にサイクロプスを退治してくれるのか?」
「ああ、そのつもりで来たんだが」
真剣な表情の村長さんが、湯呑みを卓袱台に置いた。
「あんたはサイクロプスに敵うつもりなのかい?」
「敵うも敵わないも、戦って見なければ分からない話だ」
「相手は身長4メートルの巨人じゃぞ……?」
「身長的には俺の2.5倍ぐらいかな、あはははは~」
「笑い事では無い程のハンデじゃぞ……」
「でも、俺が勝つ!」
俺は拳を握り締めるとアッパーカット気味に突き出した。
その際にガツンっと肘を卓袱台にぶつけてしまう。
カッコ悪い……。
「遊び半分で、手を出して貰いたくないんじゃがな。人間がサイクロプスを相手にするなら百人の兵隊が必要じゃろうて。もしかしたら百人でも足らないかも知れませんぞ」
「少なくとも俺は人間の百人にすら勝てるはずだ」
俺は満面の笑みで言った。
冗談のつもりは微塵も無い。
今の俺なら百人にすら勝てる。
そう、百人力なのだ。
「では、まずサイクロプスを実際の目で拝見してから考えてみては?」
「偵察をしてみろと?」
「はい……」
「実際のサイクロプスを見たら、怖じけつくかもと?」
「はい……」
そんな馬鹿な話が有るわけが無い。
「じゃあ、まずは見てみるか。でぇ、どこに居るんだ、サイクロプスは?」
「西の森の向こうじゃ。尖った岩山が四つ在って、そこに穴を掘って暮らしているはずじゃ」
「分かった。じゃあまずは見て来るぜ!」
俺は元気良く立ち上がった。
そして畳部屋を出てブーツを履く。
俺は家を出る前に村長さんに確認した。
嫌らしいが、お金の話だ。
「討伐料金の150000Gは、ちゃんと払えるんだろうな?」
かなりの高額料金だ。
苦労してサイクロプスを倒してからお金が無いとか言われたくは無い。
「お金は心配無い。貯金ぐらい有るわい」
ちょっと安心する。
「じゃあ行って来るぜ!」
俺は見送る村長に親指を立ててウィンクした。
村長さんも首を竦めながらウィンクを返す。
うわっ、気持ち悪い……。
俺は西の森を抜けると気配を隠した。
話に聞いた四本の尖った岩山を見つける。
高さ40~50メートルの岩山だろうか。
それが四角く四つ並んでいる。
たぶんあの尖った岩山のどれかに横穴が空いているのかな?
俺は更に気配と足音を消して先に進む。
岩山の陰に入り岩山に囲まれた中央を覗き込んだ。
────居る。
サイクロプスだ。
四本の尖った岩山の中央にサイクロプスが居る。
一つ目に一角の剥げ。
体格は筋肉質。
人間で言うならボディービルダーのような逆三角形の鍛えられた体格だ。
その上に粗末だが確りとした躱鎧を纏っている。
奴の側にはサイクロプスのサイズに似合ったスレッチハンマーが置かれていた。
サイクロプスは、右足を前に、左足を後ろに出して、アキレス腱を伸ばすかのように運動していた。
少し経つと、左右の足を入れ替える。
アキレス腱運動?
準備運動か?
アキレス腱を伸ばし終わると、今度は両手を組んで背筋を伸ばすように両手を上げた。
背を反らす。
ストレッチ体操だな。
続いて爪先だけで、ピョンピョンっと跳ねた。
巨漢なのに身軽だな。
それが終わると今度はスクワットを始める。
筋トレですか?
スクワットが終わると、今度は両手を地面につけて腕立て伏せを始めた。
完全にトレーニングだよ。
このサイクロプスは、完全にトレーニングに励んでやがる。
やべぇ……。
体格の不利だけじゃあなく、身体能力の不利も追加されそうだな。
想像と違うわぁ~……。
俺はもっとサイクロプスってばさ、お腹がポッコリと出た怠惰な体型の薄鈍いおっさんみたいな巨人さんだと思ってたのにさ。
こいつ、完全にアスリートだよ。
ガチのアスリート巨人ですよ。
たぶんこれは日々の日課だな。
日頃から鍛えてますよ、絶対にさ。
俺がゲッソリとしながらサイクロプスを観察していると、腕立て伏せを終えたサイクロプスが、今度はシャドーボクシングを始めた。
両拳を顔の前に置き、頭を低く構えたかと思うと、続いて頭を∞のラインで振り始めた。
そのスムーズな流れのまま左右のフックやアッパーを繰り出すのだ。
デンプシーロールかよ!!
こいつ、ボクシングも出来ますか!?
しかもパンチが速くて鋭いぞ!!
インファイターだわ!?
更にしなやかなローキックからのハイキック。
可憐なキックのコンビネーションまで披露しやがった。
蹴りも使えるの!?
てか、そのハイキックは意味ないぞ!!
そんな4メートルの高さに敵なんて居ないだろ!?
そこに鳥が一羽飛んで来た。
「ふっ!!」
サイクロプスのハイキックが鳥を襲う。
蹴り技なのに、まるで刀を振るったかのような鋭く綺麗なラインが走った。
刹那───。
飛んで居た鳥が、パンッと音を鳴らして消し飛んだ。
木っ端微塵だよ……。
なに、あのハイキックは……。
まるでムエタイ選手のハイキックだよ……。
鞭のようだったわ……。
もうさ、このサイクロプスはアスリートじゃあねえよ……。
完全にストイックな格闘技家だよ……。
たぶん食事にも気を付けているタイプだわ……。
絶対に鳥の笹身とか、卵の白身しか食べないよ……。
やっぱり、止めよっかな……。
村長さんも、止めれって言ってたしさ……。
【つづく】
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