ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第270話【巨大蜘蛛の群れ】
俺は斬馬刀を豪快に振り回しながら巨大蜘蛛たちに応戦していた。
足長巨大蜘蛛が上空から迫り、巨大土蜘蛛たちが足元から攻めて来るのだ。
上と下からの変則攻撃に俺は柔軟に対応していた。
下から上に掬い上げるように斬馬刀を振るい、右から左に回転するように、また斬馬刀を振るう。
上下右左前後ろ、全方向に警戒しての多彩な攻防。
「りぃや!!」
俺は袈裟斬りで足長巨大蜘蛛の前足を切断すると、振り切った切っ先で巨大土蜘蛛の頭をカチ割った。
そして、刀身を返すと、今度は上りの逆袈裟斬りで巨大土蜘蛛を斬り弾くと、続いて足長巨大蜘蛛の腹を切り裂いた。
更に逆水平の一振りで巨大蜘蛛の顔や胴体を三匹同時に斬り伏せる。
俺の攻撃は、一振りで二匹以上を傷付けていた。
相手の数が数だけに、このぐらいのペースで行かなければ差が埋まらないだろう。
だが、巨大蜘蛛たちの攻撃は止まらない。
「おらっ!!」
襲い来る巨大土蜘蛛の背中を上からの下段の突きで串刺しにして、今度は武器を引く抜く勢いの逆束で、上から飛び掛かって来た足長巨大蜘蛛の腹を突き飛ばした。
よしよし、上手く戦えているぞ。
だが、まだまだ俺のほうが有利とは思えないな。
何より相手に俺の気迫が届いていないぞ。
これでは駄目だ。
もっと豪快で派手に戦わなければなるまい。
インパクト不足だ。
ならば──。
「ファイアーボール自爆!!」
「「「キキィ!!」」」
俺が自分の足元にファイアーボールを撃ち込んで自爆式に爆炎を四方八方に吹き飛ばす。
すると体を燃やした蜘蛛たちが、俺の周辺から一瞬だけ仰け反ったが、すぐさま炎に飛び込んで来た。
大蜘蛛たちは怯まない。
しかし──。
「あちあちあち!!」
「うわ、熱い!!」
とか言ってるけれど、炎を恐れず飛び込んで来て、勝手に引火してやがるぞ?
これってもしかして、『飛んで火に入る夏の虫』って現象ですか?
まあ、何でもいいや!
チャンスだぜ!!
突いて、斬って、叩いて、切り裂いて!!
巨大蜘蛛たちが混乱している間に俺は出来るだけ多くの巨大蜘蛛たちをホフって行った。
たぶん今までの攻防で、十匹以上は殺せただろう。
負傷させた数ならそれ以上だ。
俺は足長巨大蜘蛛の顔面を斬馬刀でスライスしながら叫んだ。
「まだ戦うか、巨大蜘蛛さんたちよ。逃げるなら追わないぜ。俺はさ!!」
逃げてくれないかな~って期待感を込めての台詞だったが、巨大蜘蛛たちは退かない。
「ざけんな、人間!!」
「仲間をこんなに殺られて退けるか!!」
うわ~。
「なかなか侠気が溢れてるじゃあねえかよ!」
俺はその台詞を返した巨大土蜘蛛の胴体に斬馬刀を突き刺し串刺しにしてやると、同じく台詞を返した足長巨大蜘蛛に魔法を撃ち込む。
「ファイアーシャード!」
「ギィァァアアア!!」
よし、決まったな!!
俺は串刺しになった巨大土蜘蛛ごと斬馬刀を地面から引き抜くと肩に背負った。
そして、ふてぶてしく言う。
「お前ら、餌なら俺以外にも幾らでも居るだろう。俺は魔法使いの塔に向かいたいだけだ。お前らが襲ってこないなら、俺はお前らを殺さない。だが、俺の進行を邪魔するなら遠慮無くぶっ殺すぞ!!」
巨大蜘蛛たちの腰が引けていた。
後ずさる者も居る。
よし、完全に空気は俺の方向に流れ出したぞ。
もう一押しかな。
「道を開けろ!!」
俺が気合いを込めて叫んだ。
するとモーゼの十戒のように巨大蜘蛛たちが左右に割れて道を築いた。
よし、通してくれるようだな。
流石に森一個分の巨大蜘蛛たちと殺り合えないぞ。
こいつらのほうから退いてくれて助かるわ~。
「お前たちは引いてなさい」
「ええっ……?」
女性の声だった。
その声に割れた巨大蜘蛛たちの道が更に広がる。
その別れた道の奥からノシリノシリと更に巨大な蜘蛛が歩いて出て来た。
「わぉ~。長くてデカイな……」
それは巨大高足蜘蛛だった。
くの字に曲げて歩んで来る足の長さは5メートルほど有りそうだ。
その長い八本足の中心に、どす黒い蜘蛛の本体が有る。
かなりデカイな……。
おそらくこいつが巨大蜘蛛のリーダーって言うビアンカだろう。
いや、マリベルだったっけな?
まあ、どっちでもいいか。
巨大高足蜘蛛が言う。
「人間。あなたは今、魔法使いの塔に向かうと言いましたわね?」
俺は巨大高足蜘蛛を見上げながら答える。
「ああ、俺の目的は魔法使いの安否を確認することだ」
「安否?」
「そうだ。壁の外に居る魔法使いの知人に頼まれて、最近顔を見せない魔法使いが心配だから、その安否を確認して来るようにと頼まれているんだ」
「なるほど。それならそれで先に言ってくれれば私の下僕たちを、何匹も失わなくても済んだのに」
「訊かれなかったし、勝手に襲って来たのはそっちだしー」
「そうですね。ここはその非礼とこちらの子分を失った数で、チャラってことにしましょうか」
「俺は構わないぜ」
「では、私からもお願いしたい」
「何をだ?」
「魔法使い様の安否確認ですわ」
「何故に、お前が?」
「我々黒い森の巨大蜘蛛たちは、毒の森に入れないのです。あそこの害虫どもは、我々巨大蜘蛛ですら食らうのですよ。だから我々では魔法使い様の塔に近付けない。私も魔法使い様の安否は気になっていたのです。前は週一ぐらいで会いに来てくれていた魔法使い様が、ここ最近まったく会いに来られないのですよ。これで心配しないほうが可笑しいってもんです。ですが私では毒の森を突破して魔法使いの塔まで到達できません。私では魔法使い様に会いに行けないのです……。なので──」
あー、よくしゃべる女蜘蛛だな……。
「なので私に代わって魔法使い様の安否を確認してもらいたいのです。これと言って報酬は差し上げられませんが、何卒私の願いをお聞き入れくださいませ。なんなら報酬は私の体でお払いいたしますわ。ただし交尾のあとは食べちゃいますわよ」
なに、この森の雌ってこんな色ボケキャラばかりなのか?
てか、交尾のあとに食われるぐらいならエッチなんてしねーよ。
人間を昆虫の雄と一緒にすんなよな。
そもそも昆虫の雄なら今のでOK出すのかな?
本当にこの森は俺の呪いが発動しない森だよね。
有る意味で詰まらないわ~。
「そうですわ。そろそろ夜になりますから私の蜘蛛の巣で一晩ご一緒に過ごしませんか。それに昨日捕獲した殿様バッタの体液も残っていますので一緒にチューチューと食べましょう。もしかしたら、そのままの流れで交尾をしたくなるやも知れませんし。うふん♡」
本当に良くしゃべる雌だな……。
俺は近くに居た巨大土蜘蛛に訊いてみた。
「お前たちのリーダーって、いつもあんなにしゃべるのか?」
巨大土蜘蛛が答えた。
「気に入った雄にだけデレデレになるんですよ、マリベル様は……」
ツンデレか?
「あー、居るよね。そう言う女ってさ……」
俺の周囲に居た巨大蜘蛛たちが、一斉に頷いた。
皆して共感している。
【つづく】
足長巨大蜘蛛が上空から迫り、巨大土蜘蛛たちが足元から攻めて来るのだ。
上と下からの変則攻撃に俺は柔軟に対応していた。
下から上に掬い上げるように斬馬刀を振るい、右から左に回転するように、また斬馬刀を振るう。
上下右左前後ろ、全方向に警戒しての多彩な攻防。
「りぃや!!」
俺は袈裟斬りで足長巨大蜘蛛の前足を切断すると、振り切った切っ先で巨大土蜘蛛の頭をカチ割った。
そして、刀身を返すと、今度は上りの逆袈裟斬りで巨大土蜘蛛を斬り弾くと、続いて足長巨大蜘蛛の腹を切り裂いた。
更に逆水平の一振りで巨大蜘蛛の顔や胴体を三匹同時に斬り伏せる。
俺の攻撃は、一振りで二匹以上を傷付けていた。
相手の数が数だけに、このぐらいのペースで行かなければ差が埋まらないだろう。
だが、巨大蜘蛛たちの攻撃は止まらない。
「おらっ!!」
襲い来る巨大土蜘蛛の背中を上からの下段の突きで串刺しにして、今度は武器を引く抜く勢いの逆束で、上から飛び掛かって来た足長巨大蜘蛛の腹を突き飛ばした。
よしよし、上手く戦えているぞ。
だが、まだまだ俺のほうが有利とは思えないな。
何より相手に俺の気迫が届いていないぞ。
これでは駄目だ。
もっと豪快で派手に戦わなければなるまい。
インパクト不足だ。
ならば──。
「ファイアーボール自爆!!」
「「「キキィ!!」」」
俺が自分の足元にファイアーボールを撃ち込んで自爆式に爆炎を四方八方に吹き飛ばす。
すると体を燃やした蜘蛛たちが、俺の周辺から一瞬だけ仰け反ったが、すぐさま炎に飛び込んで来た。
大蜘蛛たちは怯まない。
しかし──。
「あちあちあち!!」
「うわ、熱い!!」
とか言ってるけれど、炎を恐れず飛び込んで来て、勝手に引火してやがるぞ?
これってもしかして、『飛んで火に入る夏の虫』って現象ですか?
まあ、何でもいいや!
チャンスだぜ!!
突いて、斬って、叩いて、切り裂いて!!
巨大蜘蛛たちが混乱している間に俺は出来るだけ多くの巨大蜘蛛たちをホフって行った。
たぶん今までの攻防で、十匹以上は殺せただろう。
負傷させた数ならそれ以上だ。
俺は足長巨大蜘蛛の顔面を斬馬刀でスライスしながら叫んだ。
「まだ戦うか、巨大蜘蛛さんたちよ。逃げるなら追わないぜ。俺はさ!!」
逃げてくれないかな~って期待感を込めての台詞だったが、巨大蜘蛛たちは退かない。
「ざけんな、人間!!」
「仲間をこんなに殺られて退けるか!!」
うわ~。
「なかなか侠気が溢れてるじゃあねえかよ!」
俺はその台詞を返した巨大土蜘蛛の胴体に斬馬刀を突き刺し串刺しにしてやると、同じく台詞を返した足長巨大蜘蛛に魔法を撃ち込む。
「ファイアーシャード!」
「ギィァァアアア!!」
よし、決まったな!!
俺は串刺しになった巨大土蜘蛛ごと斬馬刀を地面から引き抜くと肩に背負った。
そして、ふてぶてしく言う。
「お前ら、餌なら俺以外にも幾らでも居るだろう。俺は魔法使いの塔に向かいたいだけだ。お前らが襲ってこないなら、俺はお前らを殺さない。だが、俺の進行を邪魔するなら遠慮無くぶっ殺すぞ!!」
巨大蜘蛛たちの腰が引けていた。
後ずさる者も居る。
よし、完全に空気は俺の方向に流れ出したぞ。
もう一押しかな。
「道を開けろ!!」
俺が気合いを込めて叫んだ。
するとモーゼの十戒のように巨大蜘蛛たちが左右に割れて道を築いた。
よし、通してくれるようだな。
流石に森一個分の巨大蜘蛛たちと殺り合えないぞ。
こいつらのほうから退いてくれて助かるわ~。
「お前たちは引いてなさい」
「ええっ……?」
女性の声だった。
その声に割れた巨大蜘蛛たちの道が更に広がる。
その別れた道の奥からノシリノシリと更に巨大な蜘蛛が歩いて出て来た。
「わぉ~。長くてデカイな……」
それは巨大高足蜘蛛だった。
くの字に曲げて歩んで来る足の長さは5メートルほど有りそうだ。
その長い八本足の中心に、どす黒い蜘蛛の本体が有る。
かなりデカイな……。
おそらくこいつが巨大蜘蛛のリーダーって言うビアンカだろう。
いや、マリベルだったっけな?
まあ、どっちでもいいか。
巨大高足蜘蛛が言う。
「人間。あなたは今、魔法使いの塔に向かうと言いましたわね?」
俺は巨大高足蜘蛛を見上げながら答える。
「ああ、俺の目的は魔法使いの安否を確認することだ」
「安否?」
「そうだ。壁の外に居る魔法使いの知人に頼まれて、最近顔を見せない魔法使いが心配だから、その安否を確認して来るようにと頼まれているんだ」
「なるほど。それならそれで先に言ってくれれば私の下僕たちを、何匹も失わなくても済んだのに」
「訊かれなかったし、勝手に襲って来たのはそっちだしー」
「そうですね。ここはその非礼とこちらの子分を失った数で、チャラってことにしましょうか」
「俺は構わないぜ」
「では、私からもお願いしたい」
「何をだ?」
「魔法使い様の安否確認ですわ」
「何故に、お前が?」
「我々黒い森の巨大蜘蛛たちは、毒の森に入れないのです。あそこの害虫どもは、我々巨大蜘蛛ですら食らうのですよ。だから我々では魔法使い様の塔に近付けない。私も魔法使い様の安否は気になっていたのです。前は週一ぐらいで会いに来てくれていた魔法使い様が、ここ最近まったく会いに来られないのですよ。これで心配しないほうが可笑しいってもんです。ですが私では毒の森を突破して魔法使いの塔まで到達できません。私では魔法使い様に会いに行けないのです……。なので──」
あー、よくしゃべる女蜘蛛だな……。
「なので私に代わって魔法使い様の安否を確認してもらいたいのです。これと言って報酬は差し上げられませんが、何卒私の願いをお聞き入れくださいませ。なんなら報酬は私の体でお払いいたしますわ。ただし交尾のあとは食べちゃいますわよ」
なに、この森の雌ってこんな色ボケキャラばかりなのか?
てか、交尾のあとに食われるぐらいならエッチなんてしねーよ。
人間を昆虫の雄と一緒にすんなよな。
そもそも昆虫の雄なら今のでOK出すのかな?
本当にこの森は俺の呪いが発動しない森だよね。
有る意味で詰まらないわ~。
「そうですわ。そろそろ夜になりますから私の蜘蛛の巣で一晩ご一緒に過ごしませんか。それに昨日捕獲した殿様バッタの体液も残っていますので一緒にチューチューと食べましょう。もしかしたら、そのままの流れで交尾をしたくなるやも知れませんし。うふん♡」
本当に良くしゃべる雌だな……。
俺は近くに居た巨大土蜘蛛に訊いてみた。
「お前たちのリーダーって、いつもあんなにしゃべるのか?」
巨大土蜘蛛が答えた。
「気に入った雄にだけデレデレになるんですよ、マリベル様は……」
ツンデレか?
「あー、居るよね。そう言う女ってさ……」
俺の周囲に居た巨大蜘蛛たちが、一斉に頷いた。
皆して共感している。
【つづく】
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コメント
330284 ( ^∀^)
覚えてないけど、もうすぐ女神と会えるのかな?