ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第157話【閉鎖ダンジョンの最奥】

俺が胡座をかいて尻を床につけると、セルバンテスミイラの遺体が砕けて粉に変わる。

【おめでとうございます。レベル21に成りました!】

ああ、レベルが上がったわ……。

ラッキー……。

でも、疲れたぞ。

一回死んだしさ……。

俺は異次元宝物庫から身代わりの置物を取り出した。

あーあ、見事に壊れてますわ。木っ端微塵ですな。

もう、魔力の欠片も残って無いぞ。

このマジックアイテムが、代わりに死んでくれたから、俺はセルバンテスに勝てたんだ。

有り難いアイテムだったよ。感謝だわ。

まあ、壊れたマジックアイテムでも、亡骸はちゃんと葬ってやるからな。

お前の死は無駄にしないぜ!!

よし、元気が戻って来たぞ。

アイテム回収でもしますかね~。

ミニスカチャイナドレス、銀の王冠、狼の盾、ガントレット、プレートのブーツ。

それに、黄金剣だ。

おや、骨粉の中からスクロールが一枚出て来たぞ。ラッキー。

俺は回収したマジックアイテムを異次元宝物庫に仕舞うと、代わりに骨壺を取り出してセルバンテスの骨粉を手で掬って入れた。

まあ、昔の人だから遺族は見付けられないだろうな。

仕方ないから俺がちゃんと葬ってやるよ。

身代わりの置物と一緒にな。

さて、俺が使ったマジックアイテムも回収しないとね。

あちらこちらに放り投げてあるもんな。

俺はすべてのアイテムを拾うと先を目指した。

これで三体の英雄アンデッドは撃破できたのだから、テイアーの眠れる体まで到着できるだろう。

俺は長い廊下を進むと行き止まりに到達した。

眼の前には巨大な扉がある。

高さ15メートル、幅は7メートルほどの大きな鋼の扉だった。

両開きの扉で、ズシリと重そうである。

表面にはドラゴンの模様が、豪華に画かれていた。

一目でこの奥にドラゴンが眠っていそうなイメージである。

さてさて、どうやって開けるんだ?

人力では開けられそうに無いサイズと重さだぞ。

うーん、中を確認してみたいのだが、テイアーの魂が居る部屋に戻って本人にどうにかして貰おうかな。

んん?

なんか在るぞ?

扉の隅っこに小さな扉が在るじゃあないか。

これなら俺一人でも開けられそうだな。

俺は小さな扉を引いてみた。

少し重たかったが、なんとか開く。

俺は中腰で小さな出入り口を潜った。

部屋の中に入るとランタンのシャッターを全開にして室内を照し出す。

そこは野球場のように広い部屋で、その中央には金銀財宝をベッドにしたドラゴンが寝そべっていた。

吐息を鳴らしながら熟睡中である。

白銀の鱗を輝かせているドラゴンは、かなり巨大だった。

恐竜とかのサイズじゃあないだろう。

もっともっと大きい。

こいつが人間サイズだとしたら、俺はバッタかカマキリのサイズである。

戦えば、間違い無く勝てないだろう。

勝てるビジョンが微塵にも湧かないわ。

グラブルやアンたちが何千年単位のドラゴンならば、テイアーは何万年単位のドラゴンだ。

あいつらとも各が違うのだろう。

俺は興味に引かれてテイアーの身体に歩み寄る。

金塊のベッドを登って白銀の鱗に触れてみた。

思ったより冷たいな。

やっぱり爬虫類なんだね。

それから俺は自分の足元を見た。

金塊の山だよね。

少しぐらいガメても分からないかな?

バレたら殺されるかな?

んー、ここは欲張る必要も無いから手を出さないで置こうか。

ドラゴンって守銭奴っぽいしね。

さて、テイアーの部屋に帰って報告しようかな。

それでテイアーをベルセルクの爺さんに謁見させれば仕事は終わりだ。

やっとソドムタウンに返れそうだぜ。

俺はルンルン気分でテイアーに会いに行く。

「テイアー、お待たせ~。三体の英雄アンデットを全部ぶっ倒して、身体が寝ている部屋まで開通したよ~」

俺が声を張り上げながら部屋に入ると、ソファーセットでお茶を啜っていたテイアーが笑顔で迎え入れてくれた。

今日のテイアーは、マッチョマンスタイルではなく、貧乳美女スタイルだった。

「あら、本当ですか、やりましたね」

んー、なんか俺のほうがテンション高くね?

テイアーは嬉しくないのかな?

「嬉しいですよ。何せ、身体に返れるのは二百年ぶりぐらいですからね」

じゃあ、喜べよ。

「だから喜んでますよ、久々に身体に戻れるのですもの」

二百年ぶりってのが、久々なのね。

てか、心を読むのやめれ!

「じゃあ、ちゃんとお口で喋りましょうね」

はい、分かりました先生!

「それにしても私の本体を見て、少しは謙虚になりましたかな。私が偉大なドラゴンだと分かって貰えたようね」

ああ、本体を見て貧乳なのも分かったぞ。

「嘘はいけませんよ、アスラン。人間がドラゴンの裸体を見て、セクシーかどうかは分からないはずです」

うん、セクシーかどうかは分からなかったが、貧乳なのは見れば分かったぞ。

「だから、私は貧乳では有りません……」

ほら、でもドラゴンボディーなら貧乳も隠せるから良かったな。

「だーかーらー、私はドラゴンの中でも貧乳なんかじゃあないですよ!」

あー、すまん。

例え数万歳でもドラゴンは不老だから貧乳とか言われると乙女心が傷つくのね。

わりーわりー、言いすぎたわ。

「この子は絶対にろくな死にかたをしないわね……」

もう、ここ最近で二回も死んでますがな。

このダンジョン内でも一回死んでるしさ!

どうしてくれるんね!

「私に言われましても……」

そりゃあそうか。


【つづく】

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