ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第77話【死人の森】
今、俺は、石造りの砦の上から死人の森を見渡していた。
そこはソドムタウンから徒歩で10日ほど旅をした僻地である。
この砦まで来るのに野を越え山を越え谷を越えて、それといろいろ結構な酷い道を越えて旅して来た。
俺が立って居る砦は左右に400メートルほど岩で作られた壁が列なっている。
高さも10メートルほどあるから、閉じ込めているヤツらは、まず出れないだろう。
結構立派な防壁である。
俺が砦の下を見下ろせば、今回相手にするヤツらが何匹も徘徊していた。
ちょくちょくと気味の悪い声で唸っている。
それはゾンビだ。
今回の相手は、主にゾンビが敵となるだろう。
俺が砦の上から死人の森の様子を窺っていると、警備隊長のおっさんが声を掛けて来た。
「まさか今回は、ソロの冒険者が派遣されて来るとは思わなかったぜ。しかも、こんな若い坊やが来るとはな」
俺は旅立つ前に魔法使いギルドのゾディアックさんから手渡されていた、紫水晶の破片を警備隊長に見せた。
「これを持ってれば、嘘じゃないって分かるんだろ、おっさん?」
「だな──。いつもなら4人から6人ぐらいのパーティーで来るのが普通なのによ。しかも、神官すら居ない。今回のルーキーは、そんなに大物候補なのかい?」
「そんなところかな」
「ほれ、見てみろ」
そう言いながら警備隊長が筒型の望遠鏡を差し出した。
「あそこだ。よ~~く見てみろ」
俺は受け取った望遠鏡で、警備隊長が指差す方向を、マジマジと見た。
「あれか、目標のゲートってやつは……」
随分と遠くの森に、うっすらとピンク色に光る柱が見えた。
距離にして2~3キロは離れているだろうか。
あのピンクの光が問題のゲートらしい。
「いいか、若いの。この森は10キロ四方が高い崖に囲まれた盆地だ。唯一の出入り口は、この砦だけだ」
「ああ、それは聞いている」
「だから、その紫水晶の魔法石でゲートを破壊したくば、死人が溢れる森をひたすら徒歩で進むしかないぞ」
「まあ、そのつもりで来てるからな、俺は」
「一度森に入ったらゾンビども同様に、行き場は無いからな」
「脅してるつもりか、詰まんないぞ」
「少しはビビれよ。こっちが詰まらないじゃあねえか……」
今回の依頼内容も、定期的に冒険者ギルドが請け負っている仕事である。
この僻地の森には、昔っから死人が溢れ出る魔法のゲートが出現するらしい。
その魔法のゲートは無限に死人を吐き出し続ける不可解な代物で、破壊しても破壊しても、ある一定期間を過ぎると再びゲートが復活するらしいのだ。
だからこの盆地に砦と防壁を築き、死人どもを閉じ込めながら、ゲートが出現する度に破壊している。
ゲートを破壊しないと死人がとんでもない数まで膨れ上がって、処理仕切れなくなるらしいのだ。
だからゲートが出現したらすぐさま破壊している。
そして、ゲートの破壊方法は簡単だ。
魔法使いギルドが作った魔法の水晶石をゲートに投げ込むだけで、魔法同士が反応して爆発するとのことだ。
たったそれだけでゲートは消滅する。
だが、ゲートの出現場所は、森の中ではあるがランダムで、ゾンビが蔓延るその場所まで行かなくてはならない。
勿論のことゲートからゾンビが沸いて出ているのだから、ターゲットのゲートに近付けば近付くほどゾンビの抵抗が激しくなるわけである。
そして、今回のゲート出現場所は2~3キロ先であった。
警備隊長曰く。
「まだまだ近いほうだから、ラッキーだったな、お前さんは」と、述べていた。
今回は仕事内容がシンプルだが、その代わり肉体的にはハードである。
しかし、これは俺が望んでいたスタイルの冒険であった。
最近は骨のある戦闘を行っていなかったから、俺としては腕が鳴るしだいだ。
オラ、ワクワクするぞ! って感じかな。
「いいか、若いの。森の中のゾンビは雑魚だ。しかし数が多かったら、とりあえず逃げろ」
「分かっているよ。人海戦術に飲まれるなってんだろ」
「分かってるじゃあねえか……」
ゾンビムービーのお決まりパターンである。
最新鋭の機関銃を装備した兵隊でも、ゾンビの大群に飲み込まれるシーンはお約束だ。
この異世界でもあり得ることだろうさ。
「それとだ、グールには気を付けな」
「グールって、ゾンビの一個上の上位モンスターだろ?」
「認識的にはあっているが、ゾンビとは明らかに違うからな」
「どの辺が違うんだ?」
「あいつらには理性は無いが、知能は有るんだよ」
「頭が良いってことか?」
「それもそうなんだが、あいつらだけは武器を使うってことだ」
「えっ、アンデッドなのに武器を使うのか?」
「それにゾンビは階段を登って来るが、タラップは上れない。しかし、グールはタラップを上ってくるんだ」
「グールは梯子を上るだけの知能が有るってことかい?」
「扉を開れるし、道具も使う。それに簡単なトラップには引っ掛からない。だから、グールだけは侮るなよ」
「サンキュー。それはためになったわ」
グールかぁ……。
少し厄介だな。
俺は砦の防壁から降りると正門前に立つ。
大きな門を開ける準備を兵士たちが終えると、槍を構えた兵士たち数人が俺と並んだ。
警備隊長が最後にアドバイスを掛けて来る。
「いいか、この門を開ければ、もう死人がうじゃうじゃだ。死んでヤツらの仲間入りをするんじゃあねえぞ、若いの!」
「分かってるってばよ、おっさん!」
警備隊長が声を張る。
「かいもーーん!!」
大きな門がゆっくりと開かれた。
すると早速、数匹のゾンビが雪崩れ込んで来る。
そのゾンビたちを槍持ち兵士が、ザクザクと串刺しにして行った。
ありがたい露払いだぜ。
そして、俺はその隙に全力で走り、森の中へ進んで行く。
「行ってきま~~す!」
死人の森ミッションのスタートである。
【つづく】
そこはソドムタウンから徒歩で10日ほど旅をした僻地である。
この砦まで来るのに野を越え山を越え谷を越えて、それといろいろ結構な酷い道を越えて旅して来た。
俺が立って居る砦は左右に400メートルほど岩で作られた壁が列なっている。
高さも10メートルほどあるから、閉じ込めているヤツらは、まず出れないだろう。
結構立派な防壁である。
俺が砦の下を見下ろせば、今回相手にするヤツらが何匹も徘徊していた。
ちょくちょくと気味の悪い声で唸っている。
それはゾンビだ。
今回の相手は、主にゾンビが敵となるだろう。
俺が砦の上から死人の森の様子を窺っていると、警備隊長のおっさんが声を掛けて来た。
「まさか今回は、ソロの冒険者が派遣されて来るとは思わなかったぜ。しかも、こんな若い坊やが来るとはな」
俺は旅立つ前に魔法使いギルドのゾディアックさんから手渡されていた、紫水晶の破片を警備隊長に見せた。
「これを持ってれば、嘘じゃないって分かるんだろ、おっさん?」
「だな──。いつもなら4人から6人ぐらいのパーティーで来るのが普通なのによ。しかも、神官すら居ない。今回のルーキーは、そんなに大物候補なのかい?」
「そんなところかな」
「ほれ、見てみろ」
そう言いながら警備隊長が筒型の望遠鏡を差し出した。
「あそこだ。よ~~く見てみろ」
俺は受け取った望遠鏡で、警備隊長が指差す方向を、マジマジと見た。
「あれか、目標のゲートってやつは……」
随分と遠くの森に、うっすらとピンク色に光る柱が見えた。
距離にして2~3キロは離れているだろうか。
あのピンクの光が問題のゲートらしい。
「いいか、若いの。この森は10キロ四方が高い崖に囲まれた盆地だ。唯一の出入り口は、この砦だけだ」
「ああ、それは聞いている」
「だから、その紫水晶の魔法石でゲートを破壊したくば、死人が溢れる森をひたすら徒歩で進むしかないぞ」
「まあ、そのつもりで来てるからな、俺は」
「一度森に入ったらゾンビども同様に、行き場は無いからな」
「脅してるつもりか、詰まんないぞ」
「少しはビビれよ。こっちが詰まらないじゃあねえか……」
今回の依頼内容も、定期的に冒険者ギルドが請け負っている仕事である。
この僻地の森には、昔っから死人が溢れ出る魔法のゲートが出現するらしい。
その魔法のゲートは無限に死人を吐き出し続ける不可解な代物で、破壊しても破壊しても、ある一定期間を過ぎると再びゲートが復活するらしいのだ。
だからこの盆地に砦と防壁を築き、死人どもを閉じ込めながら、ゲートが出現する度に破壊している。
ゲートを破壊しないと死人がとんでもない数まで膨れ上がって、処理仕切れなくなるらしいのだ。
だからゲートが出現したらすぐさま破壊している。
そして、ゲートの破壊方法は簡単だ。
魔法使いギルドが作った魔法の水晶石をゲートに投げ込むだけで、魔法同士が反応して爆発するとのことだ。
たったそれだけでゲートは消滅する。
だが、ゲートの出現場所は、森の中ではあるがランダムで、ゾンビが蔓延るその場所まで行かなくてはならない。
勿論のことゲートからゾンビが沸いて出ているのだから、ターゲットのゲートに近付けば近付くほどゾンビの抵抗が激しくなるわけである。
そして、今回のゲート出現場所は2~3キロ先であった。
警備隊長曰く。
「まだまだ近いほうだから、ラッキーだったな、お前さんは」と、述べていた。
今回は仕事内容がシンプルだが、その代わり肉体的にはハードである。
しかし、これは俺が望んでいたスタイルの冒険であった。
最近は骨のある戦闘を行っていなかったから、俺としては腕が鳴るしだいだ。
オラ、ワクワクするぞ! って感じかな。
「いいか、若いの。森の中のゾンビは雑魚だ。しかし数が多かったら、とりあえず逃げろ」
「分かっているよ。人海戦術に飲まれるなってんだろ」
「分かってるじゃあねえか……」
ゾンビムービーのお決まりパターンである。
最新鋭の機関銃を装備した兵隊でも、ゾンビの大群に飲み込まれるシーンはお約束だ。
この異世界でもあり得ることだろうさ。
「それとだ、グールには気を付けな」
「グールって、ゾンビの一個上の上位モンスターだろ?」
「認識的にはあっているが、ゾンビとは明らかに違うからな」
「どの辺が違うんだ?」
「あいつらには理性は無いが、知能は有るんだよ」
「頭が良いってことか?」
「それもそうなんだが、あいつらだけは武器を使うってことだ」
「えっ、アンデッドなのに武器を使うのか?」
「それにゾンビは階段を登って来るが、タラップは上れない。しかし、グールはタラップを上ってくるんだ」
「グールは梯子を上るだけの知能が有るってことかい?」
「扉を開れるし、道具も使う。それに簡単なトラップには引っ掛からない。だから、グールだけは侮るなよ」
「サンキュー。それはためになったわ」
グールかぁ……。
少し厄介だな。
俺は砦の防壁から降りると正門前に立つ。
大きな門を開ける準備を兵士たちが終えると、槍を構えた兵士たち数人が俺と並んだ。
警備隊長が最後にアドバイスを掛けて来る。
「いいか、この門を開ければ、もう死人がうじゃうじゃだ。死んでヤツらの仲間入りをするんじゃあねえぞ、若いの!」
「分かってるってばよ、おっさん!」
警備隊長が声を張る。
「かいもーーん!!」
大きな門がゆっくりと開かれた。
すると早速、数匹のゾンビが雪崩れ込んで来る。
そのゾンビたちを槍持ち兵士が、ザクザクと串刺しにして行った。
ありがたい露払いだぜ。
そして、俺はその隙に全力で走り、森の中へ進んで行く。
「行ってきま~~す!」
死人の森ミッションのスタートである。
【つづく】
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