ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第56話【次の依頼】

まずは前回のレベルアップで覚えた新スキルをお知らせしたい。

今回覚えた新スキルは二つである。

【薬物鑑定スキル。薬草やポーションの鑑定ができるようになり、効能まで分かる】

【パッシブ・バトルアックスマスタリー。戦斧系武器の戦闘技術が向上】

この二つである。

薬物鑑定は説明通りだろう。

知識系のスキルだ。

今回は薬草取りの仕事だったから覚えたのかな。

正直なところ馬鹿な俺には知識系のスキルは大変助かる。

なんか博学に見えてモテるかも知れないしね。

あと、バトルアックスマスタリーは、俺が持っている戦斧専用の戦闘力向上だろう。

斧にも数種類あって、それぞれで呼び方が異なる。

それによってマスタリーも異なるはずだ。

軽い斧から、片手斧ハチェットアックス戦斧バトルアックス大斧グレートアックス長斧ハルバード。こんな物だろうか。

だから今回覚えたマスタリーは戦斧バトルアックス専用である。

他の斧にはマスタリーが当てはまらない。

そんなこんなで俺は、薬草取りの依頼から帰った次の日に、冒険者ギルドにミッション終了の報告に出掛けた。

受付嬢に依頼の成功報酬を貰う。

すると奥の部屋でギルドマスターのギルガメッシュが呼んでいると言われた。

直ぐに俺は奥の部屋に通される。

部屋の中に入ると、正面のマホガニーの高そうな机でギルマスが、何やら事務仕事に励んでいた。

羊皮紙の書類に目を通しては判子を押している。

ギルガメッシュが俺に気付いて声をかけてきた。

「ちょっと待っててくれ。今すぐ仕事を終わらせるから」

「はい」

俺は待っている間に部屋の中を見回す。

部屋の中には色々な物が飾られていた。

芸術品から珍品までといろいろある。

よく分からないが名画や彫刻、壺や皿、熊の剥製やパンダの剥製といろいろとだ。

って、すんなり流すところだったわ!

パンダの剥製っていいんですか!?

ジュネーブ条約だったかワシントン条約に引っ掛かりませんか!?

大丈夫なの!?

ついでだったから魔力感知スキルを使ってマジックアイテムを探して見る。

息を止めている間だけ、3メートル以内の黙視で見えている物の魔力だけが光って見えるスキルだ。

なので壁の向こうや箱の中のマジックアイテムまでは光って見えないから発見できない。

それと3メートル外に出たとたんに、物が見えていても光は消えるのだ。

俺はこの部屋に飾られている物にマジックアイテムが無いかと興味本位で見回した。

すると一つだけ魔力の光を放っている物品が在った。

俺は呟く。

「このパンダ、マジックアイテムだよ……」

心中で驚愕していた。

パンダの剥製がマジックアイテムなんだよ!

そりゃあ、驚くでしょう!

これはアイテム鑑定で調べるしかないよね!

そして俺がパンダの剥製をアイテム鑑定しようとした時である。

ギルガメッシュに呼ばれた。

「すまない、やっと仕事が終わった。こっちに来て話そう」

そう言うとギルガメッシュは俺を応接セットのソファーに招く。

「あ、はい……」

俺はパンダの鑑定が出来ないままソファーに座った。

少し名残惜しい……。

どんな魔法が掛かっているのだろうか。

「どうだった。薬草取りの仕事は?」

俺がソファーに腰かけるとギルガメッシュが訊いて来た。

「まあ、問題なかったよ。リバーボアの主も倒したしな」

「主とは、20メートル級のリバーボアかい?」

「ああ、そうですが」

「あれを倒したのか。一人で?」

「はい。スバルちゃんから支援魔法は貰いましたがね」

「薬草取りの依頼は定期的にあるから、あのリバーボアは討伐隊を編成して倒して置こうかと考えていたんだが。手間が省けたな」

「そんなことより、なんかようですか。呼び出して?」

「それはな。次の仕事はどうする。やるかい?」

「やりますとも」

「いつから?」

「いつでも構いませんよ」

「直ぐにでもやるかい?」

「冒険の依頼が有るならガンガンやるって言いましたよね。休憩期間とか要りませんから」

「若いっていいよな。羨ましいよ」

そう言えば、このモヒカンおっさんは幾つぐらいなのだろう?

やたらとファンキーな風貌だが年齢が読み取れない。

分かるのはおっさんで変態ってことぐらいだ。

よし、訊いてみよう。

「失礼ですが、ギルマスって、お幾つなんですか?」

「ああ、俺は今年で80だ」

「80歳!?」

「実年齢より若く見えるだろ」

「は、はい……」

すげー、ジジイじゃんか!

「まあ、普段から身体を鍛えているからな」

確かにマッチョマンだ。

しかしこれで80歳には見えない。

せいぜい40歳から50歳ぐらいだ。

そもそもこの異世界の平均寿命は幾つぐらいなのだろう?

昔の人は寿命が短いって聞くし、信長も人生50歳とか歌っていたとか聞くしな。

あれ、なんか俺、間違えて意味を捉えてる?

まあ、いいや。

寿命に関しては今度スカル姉さんに何気無く訊いて見よう。

「まあ、やる気が有るなら次の仕事の話を始めようか」

「どのような仕事ですか?」

「野盗退治だ」

「野盗退治……」

野盗退治ってことは、人間と戦わなくてはならないのか?

今までモンスターとは戦ったが、喧嘩以上な争いを人とやったことがない。

「退治ってことは、野盗を殺せってことですか?」

「場合によってはそうなる。捕縛して連れてこれるなら、それでも構わんがな」

最近のアニメや少年漫画だと、人殺しは御法度ってこともあるが、俺の場合はどうなのだろう。

人殺しか、あまりやりたくないな。

でも、ファンタジーに転生したのなら、それも覚悟しなくてはならないのかもしれない。

「どうする。やるかやらないかと言うより、やれるかやれないかと訊けばよかったか?」

見透かされている。

俺が人殺しをしたことが無いと知って試されているな。

「やります。やれます……」

俺が自信の薄い返答を返すとギルガメッシュが羊皮紙の依頼書をこちらに差し出す。

「良く依頼に目を通して解決しろよ。さあ、行け」

俺は羊皮紙の依頼書を手に取るとギルマスの部屋を出た。

そして、部屋を出る直前にパンダの剥製を鑑定した。

【この剥製にはガーディアンゴーレムの魔法が掛けられています。場所や物や人物を警護する魔法です】

あのパンダはゴーレムとして動くのか!

動いているところ、すげー見てみてー!!


【つづく】

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