ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第19話【勝利の鍵は情報量】
時間は昼を大分過ぎていた。
夕暮れまでは、まだ三時間ぐらいはありそうだった。
俺には太陽の角度だけでは、時間が分からない。
しかし、日が落ちる前には、コボルトたちとの勝負をつけたかった。
なので俺は行動を急いだ。
まずはコソコソと廃鉱の中を覗き込む。
元鉱山と言うが、古くなりすぎて、見た目はもう洞窟だ。
入り口は広いが、10メートル先から狭まっている。
その奥は暗い。
地面を見れば岩場から出た土の部分が、かなり踏み固められていた。
ここにコボルトたちが巣くってるのは、間違いないだろう。
ここまで来る間に、案内役の村人に色々と話を聞いた。
冒険の前に目的地が分かっているならば、情報収集するのは当然の仕事である。
ましてや敵が何だか分かっていて、場所が何処かも分かってるのに、敵と場所の情報を集めないのは舐めすぎだ。
無策は愚策だ。
そんでもって──。
場所はここ。
敵はコボルト。
残りの数は、おそらく15匹前後だろう。
コボルトってヤツは、一匹一匹はかなり弱いモンスターだ。
だが、まだまだ数が多いよな。
しかも、今回は俺が攻める側だ。
岩山で戦った時にも述べたが、『守は攻めるより容易い』だ。
なのでキツイ戦いを予想する。
灯りを持って廃鉱に入っていけば、近付いただけで気付かれるだろうから、不意打ちは出来ないだろうし……。
数の差で不利なのに不意打ちも待ち伏せも出来ないのは気に食わない。
逆に待ち伏せされるかもしれない状況なのは、特に不味いよね。
どうするかなぁ~。
村を出るまでは格好つけて、上等なことばかり言ってたけれど、やっぱりほっといて逃げようかなぁ~。
絶対に、廃鉱に入って行ったら不利だよなぁ~。
だからって、外で待ち伏せしても数で囲まれたら終わりだしなぁ~。
面倒臭いなぁ~。
よし、やめた!
帰ろっと!
帰って寝よっと。
なぁ~んて、言うのは嘘だょ~~ん。
ちゃんとやりますよ。
だって不利どころか、俺のほうが有利だもんねぇ~。
その理由と言えば、すべては情報量から来る勝算であった。
案内の村人から仕入れた情報だと──。
この廃鉱は昔からモンスターたちには人気の物件で、コボルトの前はゴブリンの群れが住んでいたらしい。
その前にもオークとかリザードマンとかも住んでた時期が有るらしいのだ。
昔から、入れ替わり立ち替わりで、モンスターたちが入居して来るらしい。
しかも、しばらくすると初心者の冒険者がパーティーを組んで、勝手に退治してくれていたらしいのだ。
初心者の冒険者からしてみれば、初冒険に丁度良い初級者コースなのだろう。
そして、冒険者によって、前の住民が排除されても、少ししたら新しい住人が、直ぐに入居してくるのだ。
だが、また初心者の冒険者がパーティーを組んでやって来る───。
あとは無限ループのリピートだ。
だから、廃鉱内のマップも作られている。
初心者の冒険者が中継地点代わりに村へ寄ったときに、村人たちがお小遣い稼ぎに廃鉱内マップを売り付けているのだ。
そのマップを俺も一枚貰ってきている。
だから廃鉱内の間取りは、完全にバレバレだ。
毎回モンスターが入れ替わっても、一番奥の大部屋を住居スペースに使うことも分かっているし、そこまで行くまでの迷路状の通路も、進みかたが分かっている。
待ち伏せしそうな場所も、トラップを仕掛けやすい場所までもが、マップには書かれていた。
今までの冒険者が蓄積した情報が詰まった完璧なマップである。
もう、ここまで完成度が高いと、マップと呼ぶよりも、アトラクションのガイドブックであった。
これでたったの50Gだと言うのだから、お得な買い物であると思う。
俺は買ってないけれどね。
なので、モンスター側は廃鉱内の間取りがバレていることを知らない。
待ち伏せしてても無駄なのだ。
まさに、ざまあない状況だ。
格安で素晴らしい物件だと思ったら、かなりの訳有り物件なので、もしも真実を知ったのなら、モンスターたちは大泣きであるだろう。
でも案内してくれた村人は、首を傾げながら言っていた。
ここに巣くったモンスターが、今まで村にまで来て、悪さを働いたことが無かったらしい。
それが今回は何故に? 
と、不思議がっていた。
実のところ、村にモンスターたちが悪さをしない理由もちゃんとあった。
ここから少し南に下ると大きな森林が在るらしくて、餌となる動物も木の実も豊富に取れるらしいのだ。
だから廃鉱に住みついたモンスターが、わざわざ人間と揉める必要もないらしい。
なので廃鉱にモンスターが住みついても、近隣の村的には毎回放置しているそうな。
なのに今回は村が襲われた。
コボルトの襲撃は、何が切っ掛けで強行されたのかが分からないと言っていた。
まあ、多分さ……。
人間の暮らしに興味を抱いたコボルト二匹が村を覗いていたら、自分たちよりもボロボロの格好をした人間にビックリして戦闘になってしまい殺されて、その仇討ちに村が襲われたって感じじゃあないかなぁ~って、俺は思うんだがね。
そう、一番悪いのは、きっと俺!
世界の均衡を崩したのは、俺!
俺がバランスブレーカー!
てへぺろ♡。
さて、この罪は償わなくてはならないだろうな。
だから俺一人で、コボルトたちをぶっ殺す!
それでチャラ!
すべてチャラだ!!
勝手にチャラにするぞ!!!
【つづく】
夕暮れまでは、まだ三時間ぐらいはありそうだった。
俺には太陽の角度だけでは、時間が分からない。
しかし、日が落ちる前には、コボルトたちとの勝負をつけたかった。
なので俺は行動を急いだ。
まずはコソコソと廃鉱の中を覗き込む。
元鉱山と言うが、古くなりすぎて、見た目はもう洞窟だ。
入り口は広いが、10メートル先から狭まっている。
その奥は暗い。
地面を見れば岩場から出た土の部分が、かなり踏み固められていた。
ここにコボルトたちが巣くってるのは、間違いないだろう。
ここまで来る間に、案内役の村人に色々と話を聞いた。
冒険の前に目的地が分かっているならば、情報収集するのは当然の仕事である。
ましてや敵が何だか分かっていて、場所が何処かも分かってるのに、敵と場所の情報を集めないのは舐めすぎだ。
無策は愚策だ。
そんでもって──。
場所はここ。
敵はコボルト。
残りの数は、おそらく15匹前後だろう。
コボルトってヤツは、一匹一匹はかなり弱いモンスターだ。
だが、まだまだ数が多いよな。
しかも、今回は俺が攻める側だ。
岩山で戦った時にも述べたが、『守は攻めるより容易い』だ。
なのでキツイ戦いを予想する。
灯りを持って廃鉱に入っていけば、近付いただけで気付かれるだろうから、不意打ちは出来ないだろうし……。
数の差で不利なのに不意打ちも待ち伏せも出来ないのは気に食わない。
逆に待ち伏せされるかもしれない状況なのは、特に不味いよね。
どうするかなぁ~。
村を出るまでは格好つけて、上等なことばかり言ってたけれど、やっぱりほっといて逃げようかなぁ~。
絶対に、廃鉱に入って行ったら不利だよなぁ~。
だからって、外で待ち伏せしても数で囲まれたら終わりだしなぁ~。
面倒臭いなぁ~。
よし、やめた!
帰ろっと!
帰って寝よっと。
なぁ~んて、言うのは嘘だょ~~ん。
ちゃんとやりますよ。
だって不利どころか、俺のほうが有利だもんねぇ~。
その理由と言えば、すべては情報量から来る勝算であった。
案内の村人から仕入れた情報だと──。
この廃鉱は昔からモンスターたちには人気の物件で、コボルトの前はゴブリンの群れが住んでいたらしい。
その前にもオークとかリザードマンとかも住んでた時期が有るらしいのだ。
昔から、入れ替わり立ち替わりで、モンスターたちが入居して来るらしい。
しかも、しばらくすると初心者の冒険者がパーティーを組んで、勝手に退治してくれていたらしいのだ。
初心者の冒険者からしてみれば、初冒険に丁度良い初級者コースなのだろう。
そして、冒険者によって、前の住民が排除されても、少ししたら新しい住人が、直ぐに入居してくるのだ。
だが、また初心者の冒険者がパーティーを組んでやって来る───。
あとは無限ループのリピートだ。
だから、廃鉱内のマップも作られている。
初心者の冒険者が中継地点代わりに村へ寄ったときに、村人たちがお小遣い稼ぎに廃鉱内マップを売り付けているのだ。
そのマップを俺も一枚貰ってきている。
だから廃鉱内の間取りは、完全にバレバレだ。
毎回モンスターが入れ替わっても、一番奥の大部屋を住居スペースに使うことも分かっているし、そこまで行くまでの迷路状の通路も、進みかたが分かっている。
待ち伏せしそうな場所も、トラップを仕掛けやすい場所までもが、マップには書かれていた。
今までの冒険者が蓄積した情報が詰まった完璧なマップである。
もう、ここまで完成度が高いと、マップと呼ぶよりも、アトラクションのガイドブックであった。
これでたったの50Gだと言うのだから、お得な買い物であると思う。
俺は買ってないけれどね。
なので、モンスター側は廃鉱内の間取りがバレていることを知らない。
待ち伏せしてても無駄なのだ。
まさに、ざまあない状況だ。
格安で素晴らしい物件だと思ったら、かなりの訳有り物件なので、もしも真実を知ったのなら、モンスターたちは大泣きであるだろう。
でも案内してくれた村人は、首を傾げながら言っていた。
ここに巣くったモンスターが、今まで村にまで来て、悪さを働いたことが無かったらしい。
それが今回は何故に? 
と、不思議がっていた。
実のところ、村にモンスターたちが悪さをしない理由もちゃんとあった。
ここから少し南に下ると大きな森林が在るらしくて、餌となる動物も木の実も豊富に取れるらしいのだ。
だから廃鉱に住みついたモンスターが、わざわざ人間と揉める必要もないらしい。
なので廃鉱にモンスターが住みついても、近隣の村的には毎回放置しているそうな。
なのに今回は村が襲われた。
コボルトの襲撃は、何が切っ掛けで強行されたのかが分からないと言っていた。
まあ、多分さ……。
人間の暮らしに興味を抱いたコボルト二匹が村を覗いていたら、自分たちよりもボロボロの格好をした人間にビックリして戦闘になってしまい殺されて、その仇討ちに村が襲われたって感じじゃあないかなぁ~って、俺は思うんだがね。
そう、一番悪いのは、きっと俺!
世界の均衡を崩したのは、俺!
俺がバランスブレーカー!
てへぺろ♡。
さて、この罪は償わなくてはならないだろうな。
だから俺一人で、コボルトたちをぶっ殺す!
それでチャラ!
すべてチャラだ!!
勝手にチャラにするぞ!!!
【つづく】
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