放浪艦隊へ捧げる鎮魂歌
SF

連載中:1話

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放浪艦隊へ捧げる鎮魂歌

  • あらすじ

      近未来。
      月面都市を築き、テラフォーミングで火星を第二の地球へと開拓し、宇宙戦艦を飛ばすほどの繁栄を数世紀に渡って謳歌した百億人類の文明は、凄惨な軍事作戦により一転、半壊した。異常気象によって通信の類が無力化し、砂漠化を続ける地上には、三十億の人工労働力、人間からの制御を外れた合成人間「ハイブ」が、十億足らずの人類を脅かしつつ闊歩していた。
      地球統合軍海兵隊・月方面軍第七艦隊旗艦、最新鋭の大型巡洋艦バランタインの若き女性艦長リッパー大佐は、艦船の轟沈により荒廃した地上に降り、大手軍需企業IZA社が開発した戦闘システム・Nデバイスと呼ばれる銀色の両腕と二挺の大型リボルバーを入手し、同じく地上に降りたであろう戦友にして恋人たる副艦長オズを探し、ハイブと戦いつつ単身バイクで旅を続けていた。
      その道中、移民コンボイのリーダー、ジプシーのマリーと彼女が雇う傭兵、二挺拳銃の達人コルトと出会いコンボイに途中下車したリッパーは、新たに見るタイプのハイブと一戦を交える。元が過酷な労働を想定した誕生した強靭で俊敏なハイブは軍隊を圧倒する人類の脅威だが、右腕のイザナギ、左腕のイザナミ、共に量子演算ユニットであるラプラスサーキットから構成されるNデバイスを装備したリッパーは、新種のハイブを三十秒かそこらで片付ける腕前を二人に披露した。
      そのまま旅を続ける三人は目的地である居住スペース・ケイジの目の前で、明らかに通常ではない、ドミナスを名乗るハイブ軍勢の襲撃を受ける。Nデバイスの限界スペックで一旦は優位に立ったリッパーだったが、イザナミですら感知不能の謎の超長距離狙撃によって戦闘能力を無力化され、ハイブ・ドミナスにNデバイスである両腕を奪われる。リッパー、人質となったマリーやコルトの窮地を救ったのは、シノビファイターを名乗る白装束の男、雷のダイゾウだった。シノビファイトと称する圧倒的な体術によりハイブ軍勢とドミナスを退けたダイゾウは、ケイジのラボで目覚めたリッパーにオズの所在を知らせ、現在、オズを奪取しているという円卓の騎士という謎の集団のこともまた同時に知らせる。
      円卓の騎士、それは軍で噂される、ESPを操るサイキッカーで構成された、実体は一切不明な秘密部隊の名称であった。それ知ったリッパーは失ったイザナギ、イザナミに代わって汎用マシンアームを装備し、再びマリーとコルト、そしてダイゾウを加えてオズ救出作戦を開始するべく、大型ネイキッドバイクと千馬力クーペ、V8ブラックバードでケイジを旅立った。目的地はダイゾウが示した場所、大陸の端。
      リッパーは、汎用アームでは扱えない大型リボルバー・ベッセルに代わる武器として、ダイゾウから渡されたカスタムバレットライフル、インドラ・ファイブとシノビソード・アメノハバキリを振るい、ダイゾウ、コルトらと共に待ち構える百からのハイブ軍勢を蹴散らし、遂にオズの待つ古びた大聖堂に到着した。
      ドミナス、そして謎の長距離狙撃を行っていたハイブ・イアラと、「円卓の騎士」を名乗る軍服姿の金髪、サイキッカー・ランスロウは、火星と地球の覇権を握るために全ハイブを人類から解放し、その計画の一環としてドミナスらを使ってリッパーからNデバイスを奪った、そう語った。イザナギ、イザナミのハイパースペックを組み込んだ宇宙戦艦を建造し、この軍事力を持って現存する統合軍を一挙に殲滅し、火星と地球の制空権を握る、その尖兵が自分であると。
      銃弾が一切通じないドミナスとイアラの不可思議で圧倒的な力の前に三人は再び窮地に立たされ、二本の太刀でサイキッカー・ランスロウと対峙したダイゾウもまた劣勢だったが、クイックドロウの達人、傭兵コルトの機転により戦況は一変。衛星軌道に待機していた、轟沈を免れ修復中であった巡洋艦バランタインをコルトは電子信号弾で呼び寄せ、そこからリッパーの銀色の両腕が復活したのだった。
      スペックアップまでした新品の両腕、イザナギとイザナミのNデバイスの最大能力、ラプラスサーキットによる予測分析、未来予知能力を限界以上に発揮したリッパーは、ドミナスとイアラ、ハイブにしてESP能力を宿した二人をその能力で瞬く間に倒し、無敵のシノビファイター、ダイゾウでも苦戦する奇怪なESPを操るランスロウをも倒し、無事、オズを救出したのだった。
      オズとの再会を喜び涙さえ浮かべるリッパー、にコルトやマリーも思わず胸を熱くする。サイキッカー・ランスロウの計画は彼の仲間により未だ進行中ともオズから聞いたが、ひとまず、オズを加えた四人は、マリーのお宝千馬力カー、V8ブラックバードの雄叫びと共にケイジに帰還するのであった。
      キャプテン・リッパーの旅はまだまだ続くのだが、それはまた別の機会にでも。
     
     

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