神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

94話 大規模ダンジョン攻略戦・俺は厨二病じゃない!編



来栖の相変わらずなKY空気読まない&頭お花畑な態度を呆れながら、72階層へ降りた俺達
改心した阿藤が、72階層の情報を喋り「裏切者!」と喚く来栖を放置して、攻略に乗り出す


72階層からは、アンデット階層だった
雰囲気的には死者の都と言うべきだろうか?
主な魔物は死霊系で、ゾンビ系、ゴースト系、スケルトン系
後、瘴気が濃く、地味に身体へダメージを入れてくる
長期戦は身体にダメージが蓄積するので一気に攻略を図る


しかし、暫くの間、俺が主体で動くわけでは無い
こちらには、浄化に特化したリュミナがいるしな
後、この階層だけで言えば、ミリアとナユも余裕だろう
どちらも浄化が使えるしな


「リュミナ、任せても良いか?」


「はい♪お任せください♪」


攻略を任されたリュミナは超ご機嫌に浄化を始める


浄化には幾つかのやり方がある
まず、光属性のみの浄化
こちらは、アンデットが苦手とする、光で浄化となる
次に水属性で、こっちは聖水みたいな感じでの浄化になる
そして、光と水の複合浄化
これは文字通り聖属性となる
浄化でも最上級の浄化能力を誇る


次に効果範囲だ
こちらは2種類
自身を中心として円形状に広げるか、自身で効果範囲を指定して放つか
今回は後者を使っている


リュミナが複合魔法で、階層全体を指定し、浄化を開始
円形だと階層全てを覆えないので、円形半分を指定範囲内に使い、階層ごと浄化する
浄化した後は、魔物が復活する前に、一気に駆け抜ける
それを80階層まで同じように繰り返す
階層魔物の部屋は、普通の階層と違い、干渉遮断されているようで、普通に相手をしないといけないが


1階層30分と言う、驚異的スピードで踏破
4時間半で80階層の階層魔物の部屋に辿り着く
80階層の階層魔物はデュラハン
後はスケルトン系が1000体ほど


ここで来栖が「今度こそ、俺の出番だ!」と息巻いて出て行こうとし、4人に止められ、プッツンした春宮に雷魔法でアババされて静かになる
そして4人でサムズアップ!
彼らの連携は戦闘ではなく、来栖の暴走を止める方向で一致した様だ
まぁ、干渉する気は無いし、それで静かになるなら任せよう


「リュミナ、デュラハンも浄化でやれるか?」


「弱体化は出来ますが、消し去るとなると、少し時間が」


「じゃあ、スケルトン共は任せる。ディスト!デュラハンに突っ込むぞ!」


「承知!」


リュミナの浄化と共にデュラハンに突っ込んで行き、ディストは馬をア~ッタタタタし、人の方は俺が神銃を乱射する
戦闘時間は僅か3分
デュラハンは「こんなのってあんまりだぁ!」とでも言う様に、ちょっと涙を流しながら消滅した


81階層には安全階層セーフティーエリアがあったがスルーし、82階層へ
82階層もアンデット階層なので同じ要領で突破
90階層に到達し、階層魔物と戦闘へ
尚、来栖が80階層と同じ行動を取り、同じ結果になったのは、言うまでもないことだろう


90階層の階層魔物は、デスエンペラー、デスポイズンドラゴン、デスナイト、デスキャスターの4体
後衛2体前衛2体でバランス主体の編成だ
ここにきて物量戦から解放されたのだが・・・意外に強かった


「ディスト!ドラゴンの方を任せた!リュミナは後衛を牽制!春宮、支援魔法を!」


「ひゃ、ひゃい!」


まさか呼ばれると思ってなかった春宮が、驚きの声で、はい!がひゃい!になってしまうほどだった
支援魔法を受けた俺達は一気に攻勢に出る
リュミナは浄化を行使しながら、後衛二体の妨害
ディストはやっぱり、ア~ッタタタタで攻撃
俺はデスナイト相手に神銃で牽制しながら、神剣で攻撃
三者三様に決め手に欠ける中、ディストが叫ぶ


「我が一撃を食らうが良い!崩爪双乱撃!!」


ディスト・・・若干厨二病に目覚める
気絶している来栖を除いた4人が「うわぁ~」って顔をしている
そして、俺を見る
止めろ!俺を見るな!俺はそんなこと教えていない!


あらぬ疑いをかけられた俺は「ちきしょうぅぅ!」と、怒りのままに神剣を振るい、デスナイトの剣を折る
剣を折られたデスナイトは体勢を立て直せず、そのまま微塵切りにされて消滅する
そのまま間髪入れず、神銃を後衛二体に向けて乱射し、デスエンペラーとデスキャスターを消滅させる


チラッとディストの方へ顔を向けると、デスポイズンドラゴンが消滅していくところだったのだが


「フッ、我が拳に倒せぬ者無し」


完全に厨二病を発症させた黒曜竜がそこにはいた
4人の顔はニタニタ
俺は顔を両手で覆い、一言


「どうして、こうなった・・・」


そのまま天に顔を上げて少しの間、立ち尽くすのであった




91階層、安全階層セーフティーエリアで休息を取る
攻略開始から既に何日経っただろうか?
多分5日以上は経過しているはず
休憩しつながら日数を計算し、後何階層あるのかと思案する
勿論答えは出ない
そして、そのまま意識を落とし、睡眠に入る


3時間ほど眠っただろうか?ふと、目が覚める
全員が目を覚まして・・いや、来栖だけは爆睡中だった
ふむ・・面倒だし、このまま置いて行くか?
そんな考えが頭をよぎったところで、来栖お目覚め


ちっ!感の良い奴だな
ただ、この考えは見透かされていたらしく、4人が苦笑いしていた
全員が軽く食事(食材は俺の空間収納から提供)を取り、次回層に向けて準備を開始
そして92階層へ


92階層は、52階層で聞いた遺跡タイプの階層だった


「ゴールは近いのかな?」


そんな言葉が何となく出る
勘ではあるが、半分以上は踏破していると思う
その言葉に頷く4人と、反論する来栖


「まだだ!このダンジョンはもっと深いんだ!」


何の根拠もない、自身に満ち溢れた言葉
全員が「これ以上、あってたまるか!」と目で訴えている
特に春宮と姫崎が「もうお前黙れ!」と言わんばかりに眼が据わってきている
ほっといたら辻斬りしそうである


そんな中、少し進むと、出て来た魔物はゴーレム
それも大量に、隙間なく出てくる


「ちょ!出過ぎだろう!!」


神銃乱射&神剣で斬り倒していくがキリがない
ディストもリュミナも応戦するがほとんど前に進めない
今まで見ているだけだった勇者(笑)一行も戦闘に参加しなければいけないほどだ


「(あ・・これ、マジでヤバい)」


いくら紙装甲並みに倒せるとは言え、終わりが見えないのでは、精神的疲労で倒れてしまう
思考加速し、どう突破するか考える事数秒
単体戦力強行一点突破しかないと判断


「ディスト!八木と阿藤を抱えろ!リュミナは姫崎と春宮だ!」


「主!?」


「ご主人様、何を!?」


2人に応える前に、神言の詠唱を始める
来栖?頑張って走れ
出来なければ、その時点で終わりだ
そう考えながら、空間収納に片手直剣をしまい、神大剣を取り出す


『我は神器が主。我が神器よ。我が声に応えよ。汝、今こそ真なる姿を晒し、我が力を用い、我が意に沿い、我が敵を滅ぼせ。我は汝を求める。神器開放!顕現せよ!ワルキューレ!!〗


神言の終わりと共に現れるは41本の神大剣
神大剣の神器開放は前世の北欧神話を題材に創ってある
大元である神大剣を筆頭とし、各ヴァルキュリアを疑似的に内包した41本の神大剣
その41本の神大剣が縦横無尽に、主の敵を切り裂いていく


更にこの神器開放には、他の神器開放とは違う点がある
それは神気の使用量だ
他の神器開放は、使用量がある程度決まっている
逆にワルキューレは、最低使用量は決まっているが、それ以外は任意に出来る


ワルキューレ発動に込めた神気量によって、顕現時間、耐久度、斬れ味などが変わってくる
今回込めた神気は神銃使用量の4分の1
体調に変化が出ず、出来る限り長時間使用できる範囲に留めた


41本の神大剣は、中央に群がるゴーレムを切り刻んでいく
全長5メートルのゴーレムが核を切り裂かれ、砕かれ、後に残るは、降り注ぐ岩の塊


「走れぇぇぇ!!!」


その声に反応するように、4人を抱えたディストとリュミナが走り抜ける
一応来栖も走り抜ける・・・ちょっと遅いけど


俺は最前衛で、ひたすら神銃をぶっ放し、神大剣の制御に回る
当然だが、全智も神大剣の制御に回っている
いくら俺でも、41本全ての制御なんか出来ない
せいぜい数本が限度だ
この神器開放は、全智を使用することが前提条件になっている


そのまま、足を止めることなく、ひたすら走り続ける
100階層の階層魔物に辿り着くが、その勢いは止まらない
同じ事が繰り返されるのなら、一気に突破した方が効率が良いからだ


100階層の階層魔物であるファイアゴーレム、アイスゴーレム、サンドゴーレム、プラズマゴーレム、タイフーンゴーレムは瞬殺される
そのまま101階層から110階層も突破し、110階層の階層魔物、アイアンゴーレム、ブロンズゴーレム、シルバーゴーレム、ゴールドゴーレムも撃破


111階層の安全階層セーフティーエリアを無視し、更に踏破していく
115階層の階層魔物は、ミスリルゴーレム、アダマンタイトゴーレム、オリハルコンゴーレムであった


ここで、何本かの神大剣が砕け散る
20分ほどで攻略しているが、倒したゴーレムは数知れず
内包神気量も徐々に減っていく
神大剣なので、斬れ味はあまり変わらないが、耐久値は摩耗していく
耐久値が殆ど無くなった神大剣が、オリハルコンゴーレムを攻撃した際に、砕け散ったわけだ


「くそ!2番、6番、23番!」


更に耐久値の怪しい三本を代償に、オリハルコンゴーレムを撃破
残った神大剣は32本となった


その後も残る階層を突破していく
その間にも、1本、また1本と、砕け散る神大剣
119階層の階層魔物の部屋に着く事には、5本しか残っていなかった


「はぁはぁ・・。全員・・生き残って・・るか?」


「だ、だい・・ぜぇぜぇ・・じょうぶ・・です・・ぜぇぜぇ」


「ぜぇぜぇ・・こちらも・・ごほごほ・・もんだい・・ぜぇぜぇありません・・はぁはぁ」


「し・・ぜぇぜぇ・・・しぬ・・ぜぇぜぇ」


どうやら来栖も生き残った様だ
酸欠で死にかけてはいるが
腐っても勇者スペックか
尚、担がれてた4人は白目を向いて、絶賛気絶中
絶叫アトラクションなんて目じゃないからな


現在位置は119階層、階層魔物の前にある安全地帯セーフティーゾーン
脱出用魔法陣は何故か無いが、休息は取れる
神器開放を解除し、全員で休息を取り、6時間後に出発


しかし、精神的疲労は極限値を迎えていた
約30階層分を約10時間全力疾走
頭上から降り注ぐ岩塊を避けて砕いて進む、絶叫アトラクションすら生ぬるい状況
チートだろうがバグだろうが、精神的疲労には抗えなかった


それでも、休憩できた事で、ほんの少しは回復できた
そんな全員の心は来栖ですら一致した


「「「「「「「「ああ・・早く終わって欲しい」」」」」」」」


そんな一縷の望みにかけて、119階の階層魔物へ挑む


119階層の階層魔物
全員が絶句する
そこにいたのは、全ての命に終止符を打つ最強クラスの魔物の一体、グリムリーパーであった
全員の心がまたも一致する


「「「「「「「「もう、いい加減にしてくれ!」」」」」」」」


そんな言葉が届くはずもなく、戦闘開始
残像と陽炎を使い分けて、大鎌を振り下ろし、薙ぎ払い振り上げるグリムリーパー
戦闘はディストと俺
リュミナは5人を結界内に隔離


結界内に隔離している理由は、大鎌を振るう度に、死の呼び声と言うスキルが放たれるからだ
このスキルは、精神が疲弊した者から弱っていき、最後には死に至り、アンデット化すると言う恐ろしいスキルであった


ただこのスキル、光と闇属性への相性が物凄く悪い
闇はアンチ系で相殺し、光はバフ系で相殺できるからだ
なので、結界を張れるリュミナが後衛に
アンチ系で妨害できるディストが、前衛になった
そして、攻撃の要は俺なのだが、このグリムリーパーは相当にタフだった


弱点属性無し
斬撃耐性
殴打耐性
状態異常無効
能力低下無効
etc・・・


斬撃を囮にして、神銃で少しずつダメージを入れるしかなかったのだ
結果、2時間掛かって、ようやく倒すも


「つ、つかれた・・何だよ、この化け物」


「自然界のもではないかと。恐らくですが、このダンジョン専用かと」


「あれが自然界にいて、たまるか!地味に邪神クラスと違わないじゃないか!」


ディストに言い返しているのだが、その後方では


「とか言いつつ、倒してしまうんですね」


「やっぱ協力的なのが一番だよな」


「来栖が霞んで見えるな」


「・・・かっこいい・・・」


「桜花!?・・くそっ!俺だってあれくらい」


上から春宮、八木、阿藤、姫崎、来栖である
その後、結界から出た5人だが・・・


「そう言えば、強行突破する前に何か言ってたよな?」


「そう言えば・・・」


「確か、『我は神器が主。我が神器よ。我が声に応えよ。』だっけ?」


「助かったから、あまり言いたくはないんだけど」


「・・・かっこいいけど、厨二っぽかったわね」


その言葉に俺は「がはっ!」となり、四つん這いに
更に口撃は続く


「いや、まぁ、強くなれるなら、多少厨二でも・・」


「来栖・・・本気で言ってんのか?」


「そういう阿藤はどうなんだよ?」


「まぁ、そんなに厨二にならないのなら、少し位は」


ぐふっ!お、俺が厨二患者・・・


「俺は御免だな。流石に痛々しい」


「八木君?オブラートにね」


「優華も結構ディスってるわよ。私は、しょうがないかなって感じがしないでも・・・」


「桜花ちゃんは、恋したっぽいものねぇ。恋する乙女は盲目になるのかな?」


「な!ち、ちがっ・・・!」


「姫崎・・お前は厨二でも大丈夫だったのか」


「八木・・・後でシバく!」


「え!?ちょ!なんで俺だけ!?」


「お前ら・・・いい加減にしろぉぉぉぉ!!」




こうして俺は、厨二病患者の疑惑が浮上した
後ディストとは、ダンジョン攻略後に懇切丁寧に暴力無しでOHANASIしないといけないと思った

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