神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

8話 誕生日とプレゼント


転生して早三年
俺は三歳になった
相変わらず母達と姉達の着せ替えは続いている
勿論魔法の修練は怠っていない
半年ほど前から軽い運動ではあるが身体も鍛え始めた
そして今日は我が家はちょっと忙しい
今日はと言うか今年は・・の方が正解か

この世界には毎年盛大に誕生日を祝う風習は無い
勿論祝う家はあるがその辺りは各家の自由なのだ
平民も貴族もその辺りは変わらない
だが三歳・五歳・七歳はちょっと特別な誕生日になる
特に五歳と七歳は特別だ
五歳は教会での洗礼がある
七歳は王都で貴族による子供達のお披露目会があるのだ
お披露目会は春先に行われる

この時に俺も知ったのだがこの世界の暦は前世とほぼ変わらない
違うとすれば月30日固定と曜日が無い事,1年が15か月な事だ
そして我がクロノアス家では、七歳になる兄で長男グリオルスと姉で長女エルーナのお披露目会が近づいている
更に双子で次男アルキオスと三女ルナエラの洗礼の日が今日なのである

何故そこまで重なっているのかって?
今代の当主である父は何故か春先ばかリ子供が誕生したそうだ
俺も誕生月は同じである
次女ルラーナも一カ月しか違わないので、我が家の子供達は全員が春生まれなのである

そんな事情もあり今日は双子の兄姉の洗礼に俺も同行している
三歳のちょっと特別な誕生日と言うのは、基本誰か付いていれば危険な場所でない限り外出が許されるようになるのだ
俺の誕生日は数日先だがこの際一緒にしてしまうのと、2年後には俺も洗礼があるので見て損は無いだろうと言う訳だ

勿論3歳のちょっと特別は主に貴族の慣わしである
後は大商家とかもだな
平民は無事に三歳まで育ってくれたお祝いだけをするそうだ
昔は戦争や飢饉などで、幼い子の生存率が五割程度らしく、今でもこの三歳の特別は残っている
そんな話を馬車の中で聞きつつ家族は教会に着いた

洗礼は何事もなく終わった
当然希少魔法も受け継いでいた
家族全員で出かける事など稀なので街で買い物していこうと言う話になった
当然男三人兄弟は着せ替え人形になりました

特に長女は俺にご執心だ
何をしても褒める・頭を撫でる・抱き着く等々・・
兄二人はそこまで着せ替えにされてはいない(顔に出るから)が、俺は家でも大人しく顔に出ないので常に着せ替え状態だ

「グラフィエル。お前良く顔に出ず、我慢できるなぁ・・・」

女性陣が離れた間に父が小声で声をかける
俺は苦笑しつつも父に答える

「女性って服や可愛いものに買い物は好きでしょう?自分がちょっと我慢すれば良いだけですから」

「その歳でその様な考えが出来るのか・・・将来は色々大変になりそうだな・・」

父は何とも言えない顔でそそくさと逃げて行った
何故逃げたって言い方かって?女性陣が新しく服を選んで戻ってくる姿が見えたからさ
そんな買い物は食事も忘れ夕方まで続き流石にお腹も減ったので今日は街で早めの夕食を食べて家に帰ったのであった


そして数日後
俺の誕生日が来た
三歳の誕生日パーティーは主に縁者と付き合いの深い仲の良い貴族のみが参加している
当然プレゼントを持ってだ
俺の知識だとプレゼントされたらお返しする的な内容を前世のラノベで読んだが、この世界では出産祝いと冠婚葬祭だけ返すようだ
勿論参加した貴族に子供が生まれればプレゼントはする
パーティーに参加してないが少し付き合いがある貴族は祝辞の手紙とプレゼントを贈るだけみたいだ
実家で大規模な誕生パーティーをするのは三歳の時位らしい
色んな貴族が俺に挨拶をしてプレゼントを渡していく
プレゼントの内容は本や訓練用の剣・服に、子供でも身に着けても違和感のない装飾品やちょっと高価なものだと絵と言うものがあった

パーティーが順調に進行して行くと、次は祝辞とプレゼントを贈った貴族達への紹介に移って行くのだが、そこで家族が困った顔になった
贈られた物の中に全く知らない名前があったのだ
だが俺はそれに少し懐かしさを感じた
転生前の神界と神気の気配
間違いなく神様からの贈り物で合ったからだ
だが家族はそのようなことは知らない
どうして良いか困っていたので俺は手紙を読んで決めてはどうかと提案する
手紙の内容は・・・

〖いきなりのプレゼントでご家族の方は驚いたかも知れないが、先ずは
 グラフィエル君。三歳の誕生日おめでとう
 今回、私がプレゼントを贈ったことについてだが、ご家族の方に説明をすると、
 我が先祖が過去にクロノアス家にとても世話になったからだ
 そして我が祖先はクロノアス家に一つの約束をした
 どのような約束だったかは正確には伝わってはいない
 ただ、この時に我が一族が約束した物を贈るのが先祖代々伝えられてきたのだ
 なので遠慮なく受け取ってほしい
 詳しい内容は贈られる当事者が一番に確認できる様に認識封印をしてある
 是非大切にして欲しい
 最後にクロノアス家の繁栄とグラフィエル君に幸多からん事を〗

手紙にはそう綴られていた
そして手紙の中に別で封筒に入れられた手紙を見つける
父は「何かあってからでは遅い」と、自分で手紙を読もうとするが封が切れない
先の手紙に書いてあった通り俺にしか開けられないのだろう
プレゼントの箱にも同じ封印がされていた
両親は本気で困った顔をしていたが、縁者の分家がとりあえず発表だけしてしまえば最悪の場合、何かあってもここにいる者達が証人になってもらえるし犯罪行為なら動いてもらえるのではと進言をした

だが、俺はそんな中、別の事を考えていた
神様達がわざわざ神気を用いてまでの認識封印
これは超ヤバい物なのではと考えていた
危険なものではないであろう
それゆえに相当ヤバいのではと考えてしまったのだ
だが神様達からの贈り物
無下には出来ない
丁度父たちの話し合いが終わった頃に俺はもう一つの手紙の封を切った
父たちは驚き急いで手紙を取り上げようとするが俺はそれに

「大丈夫です父上。手紙の内容は目録と注意事項と使用方法です」

そう告げると父は安堵した
手紙の内容はこうだ

〖プレゼントの中身は神竜の卵と神狼の赤子だ
 どちらも時を止めているので解呪の魔法具を入れておく
 大切に育ててやって欲しい
 きっと君の力になる筈だ
 注意事項は解呪する前に眷属化させておくことを忘れずに
 まぁ君ならそんなことしなくても主になれるだろうが
 試してみたいならしなくても良いけど
 ご両親には珍しく眷属化可能な龍と狼と伝えれば良いよ
 流石に神獣とは言えないからね
 最後に龍神と獣神からの伝言を伝える
『どちらも我らが子供達だ
 強く、逞しく、誇りある者として大切に育ててやってくれ
 我らが子供だが託した以上、汝の眷属である
 間違いなど起きぬことを祈っておる』
 と言う訳さ
 手紙は言葉足らずの彼らに変わって私が書いたからね

                             メナト〗

戦神様の直筆かい!
こんなの見せれるわけがねぇ!!
と言う事で、俺は手紙に書かれている通り神獣と言う事は隠して父に説明した
父は手紙を見せろとしつこかったが何とか誤魔化して手紙は見せずに済んだ
ただ心配なのでプレゼントは目の前で開けるように言われたのでそこは従うほかなかった
箱の中には手紙の通りに卵と狼の子供が入っていた
父は凄く驚いていた

何でもこの世界には召喚魔法とテイム(眷属化)があるとの事
テイムとは魔物に好かれるか強さを見せつけることによって仲間になり、人へ無差別に危害を加えないように呪を施し眷属化する
ただ、眷属化させるスキル自体がうちの希少魔法より遥かに希少らしい
中には魔法具で眷属化や奴隷化も出来るそうなのでこの二匹はどちらかされているのだろうと父は言う
いえ、全くされてません!!とは言えない・・
何はともあれ、多少の混乱はあったもののパーティーは無事に終わった

夜になり自室で俺は神竜の卵と神狼の時止めを解呪する
解呪前に眷属化しろと書かれていたが、中を見た時から暫くは必要ないと直感的に思った
試してみたいならしなくても良いって書いてあったしな
俺は魔法具を手に取り解呪を行う

普通の魔法具は魔力を流さないと使えないがそこは神様仕様
魔法具内に起動させて解呪に必要な魔力(と言うか神気だな)は内包済だ
解呪すると神狼の赤ん坊はあくびをする
神狼の赤ん坊は体長約30センチといったところか
俺を見ると近寄ってきて指を舐めたり吸ったりしてくる
ナニコレ・・スゲーカワイイ
前世でペットなど飼ったことない俺はアニマセラピーに癒されていた

卵の方は生まれる気配がまだないな
俺はナリアを呼び人肌程の熱さのミルクを用意させる
それを神狼に与えようとするがまだ自分では飲めないようだ
ナリアにきれいな布を持って来て貰い、細長くして口に合うような大きさにし、ミルクに浸らせて神狼の赤ん坊に与える
勢いよく飲むので俺は何度か浸らせ与えるを繰り返す
何度か同じことをすると神狼の子は飲むのをやめ俺の膝の上で眠ってしまった
こういう所は人も神獣も変わらないのね・・・ 
俺は神狼をベッドに寝かせ自分も隣に寝た

「明日、名前考えなきゃな・・」

そう呟いて俺は眠りについた

翌朝、お腹の上に重みを感じて目が覚める
見ると竜と狼が布団の上から俺のお腹の上に乗っているではないか
辺りを見渡すと神竜の卵の殻が散乱している
いつの間に生まれたのだろうか?

竜の赤ん坊は体長50センチ弱位
龍ではなく竜である
theファンタジー世界!に出てくるような竜の形状だ
この世界にもいる竜と同じ形状である
そして昨日の狼なのだが・・・何かこっちも似たような大きさになってないか?
昨日より一回り以上大きくなっていたのである・・なんで?
俺が目が覚めたのを確認したのか、お腹から降りて顔の方に寄ってきて両方から舐め回される

「親だと思ってるのかな?」

とその時、ナリアが起こしに来るが、ドアを開けた瞬間固まってしまう
そりゃそうだ・・一回り以上大きくなった狼に昨日はいなかったドラゴン
当然驚くわな


そんなことを思いつつナリアが再起動するまで俺は二匹の相手をするのであった


主人公の初眷属(ペット)登場!
ちょいちょい出てくるのでこうご期待です
色々盛っちゃってるのでどこかおかしくならないか心配な作者です

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