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桜が丘学園付属高等学校文芸部

ノベルバユーザー173744

二人の距離……

 その日からゆっくりと日々は過ぎる。
 五月は少しずつではあるもののクラスの友人たちと話すようになり、莉愛とは特に仲良くなった。
 学校の行き帰りに、部活動は週に三日。
 文芸部も毎日通う必要もなく、残りの日は教室で宿題をしたり、読書をして莉愛を待つ。
 ちなみに今日は、瀬戸内海の村上水軍についての歴史を読んでいる。

 弓道部を終え、五月を迎えに来た莉愛は図書室の扉の外から、五月を見つけた。

 目を輝かせて、持ち歩くノートに書き込みをしている。
 最初喋ったときには、哀しげな物憂げな表情だった。
 けれど、最近は顔が優しく、良く笑っている。

 良かった……。

 そう思うと同時に、少しだけ残念に思える。

 五月に対して、独占したいと思う……自分だけ……。

 すると、本に目を向けていた五月がふと振り返った。

「莉愛ちゃん!」

 その声に、莉愛は笑顔を浮かべ扉を開けた。

「ごめんね。待った?」
「ううん。大丈夫だよ。でも、まだ明るいからと思ってたら、日が沈むのが遅くなってるんだね? もう夏だもんね?」

荷物をまとめた五月と二人、ゆっくりと学校から帰っていったのだった。

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