最強執事と堕天の王女

狼龍

~第二章~ 《 報奨と契約 》

 王妃一団が王都を目指し進んでいた頃、王都に存在する王城は喧騒に包まれていた、それは王妃が襲われた事ではなく、国王が毒殺されかけた事だった、国中から解毒を扱える盟約者を集めた。
盟約者とは、神・竜・獣もしくはその眷属のいずれかの力を与えられた人のことである、また、その力を与えられ無い人もいた。また、与えられた力でもランクが有り、神級 上級 中級 下級である。
しかし、国王の容態は一向に変わらなかった、そんな中、王都に近付いている一団があった。そう、王妃とその護衛達である。
王妃の護衛を指揮する隊長は王都に近付くにあたり疑問が生じつつあった。
(妙だな、ここから見える限りいつもより警備が荒い、何か起きたのか?)
しかし、それよりも気になることが彼の斜め前にあった。
(やはり異常だ、駆けた方が早いと言ってはいたが馬より早いとは、しかしもう王都直前このまま近付くのはまずいか)
そう考えた、隊長は一団の一番先頭を駆けるジークに声をかけた。
[もうすぐ、王都だせめて、馬に乗ってくれ]
[.....乗る馬など無いが?]
(しまった、これを予測しなかった)
[でしたら、私の馬車に乗りませんか?]
[王妃様それは...]
[かまわないでしょう、私の命を救ったのだから]
(彼が危害を加え無いという保証は無いが、彼の言う命令は守ること、ならば....)
[分かりました、しかし何かあればすぐに言って下さい]
そうして、ジークは馬車に乗り、一行は、王都に入って行ったのだった。
[王妃様のご帰還だ、門をあけよ!]
[ああ、ジルバ隊長!!]
[どうした、何があった?]
[実は、国王が....]
[何だと!?]
[どうしたのですか?]
馬車の中から王妃が聞いた。
[緊急事態になりました、至急王城戻ります!]

      ◇   ◇   ◇

[あなた!!]
王城に戻った王妃は、現状を聞き王の寝室へと向かったのである。
[おお.....ルービア......無事....で...]
国王は痩せ干そっていて、誰が見ても危険な状態だった。
[王妃様、残念ながら神術、解毒薬も試しましたが、効果は見られず...]
[そんな....!]
誰もが諦めかけてたその時。
[珍しいな、ニーズヘックの毒なんて...]
その場に居合わせた全員がその声の発する所に視線を向けた。
[君はいったい、いや、それよりも、今なんて言った!!]
[....珍しいな]
[その後だ!]
[ニーズヘックの毒なんて]
[それだ、ニーズヘックの毒だと!?]
[確か、ニーズヘックは邪龍でしたな!]
[ということは、魔族の奴らか!!]
ジークの言葉を聞いた、者達は怒り、焦った何故なら今まで、互いに牽制すら起きていなかったのだ、言い換えればこれは宣戦布告なのだ。
[そんな事より治さなくていいのか?]
[何を言う、それではまるで治せるような発言ではないか....]
震える声でその場にいた男が言う、その言葉で辺りは静まりかえった。
[治せる、この程度の術...]
[...っお願いいたします、どうか...]
王妃が頭を下げて、懇願する。
[かまわない]
ジークはそう言うと、国王の近くにより、唱えた。
[光よ集え 悪意ある者からの 呪縛を今解き放て リリース・コア・ブレイク]
そう唱え終わると国王の顔色が回復していく。
[そんな...まさか、国中の術者でも解毒できなかったものを....!!]
一人の男が言うと、ジークが
[何を勘違いしている、これはニーズヘックの中級の神術だぞ、解毒術で治せるわけ無いだろ、使うべきは、解術の神術だ]
[っ........]
皆が絶句した。
[余はいったい....?]
[おお、国王!]
[気がつかれたのですかな!?]
[余は毒を盛られたはずだが?]
[ああ、あなた!彼が治してくださったのですよ]
[君が、そうか、礼を言わねばならぬな]
国王が穏やかに言うと....
[礼などいらない、命令を実行しただけだ]
この言葉に、その場にいた貴族達が怒った。
[貴様、陛下に向かってその口の聞き方はーー]
[よい]
[陛下!?]
[余の命を救ったのだ]
[はっ承知いたしました]
[そういえば、命令と言ったな、誰の命令だ?]
[わからない、記憶に無い]
[そうか、ならこういうのはどうだ?]
[?]
[命令を下した主を覚えて無いなら、余と契約しないか?]
[どうしてだ?]
[まぁ待て、お主の目的は、人を守ることならば、余と契約してもよかろう?]
[何故だ?どんなメリットがある?]
[余はこの国の国王、この国の情報は全て余の元に来る、ここから先は言わなくてもわかるだろう?]
[.....いいだろう、今からあんたが俺の主だ]
[よし、セバスチャン彼にいろいろ教えてやれ]
[かしこまりましたご主人様]
[宰相、事の顛末をまとめ報告せよ]
[はっかしこまりました]
[皆も解散せよ]
[[[[仰せのままに]]]]
そうすると、貴族達は王室から出ていった。

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