妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

マドンナの秘密 13

すると突然、屋上に赤い結界のような
物が張られ、ウィーン、ウィーンと
サイレンが鳴り響く。


「な、なんだ!?」


「落ち着くのだ、たかし。
これは僕らに危害を加えるものでは
ないのだ。これは──」


「妖精警察!?」


ファリーが言いかけたことを
代わりにターニャが言った。


「な、何よそれ! ちょっとターニャ!」


「ご主人様ぁ......こればっかりは......」



『静まれ、こちら妖精警察。』


ターニャがはんべそ状態に
なったところで、辺りに
男の声が響く。


『姫路奈子。およびターニャ。
これより我々は君たちを拘束する。
抵抗しないことだな。』



屋上のちょうど中心部に
魔方陣のような物が現れ、
その中から何体もの男の妖精が
出現した。


この声の主であろう男の妖精は
風のように姫路の元に飛び、
謎の黒い紐で手足を縛り付けた。


続いて同じようにターニャも
拘束される。


「ちょっとこれ何なのよ! 速く
ほどいてよ!」


姫路は必死にその紐をほどこうと
するが、全くほどける気配はない。


『君が駿だな?』


「え?」


「彼が被害者なのだ。」


『君たちの先ほどまでの
動向は我々がしっかり監視しておいた。
これも全てはファリー、君の協力の
お陰だ。ありがとう。』


「僕は当然のことをしたまでなのだ。」 


裏で何かしていたのか、妖精警察は
ファリーと握手をかわす。


「ところで、あの二人の処分は
どうなるのだ?」


『ああ、それについてだが、駿。』


「?」


『調べてわかったのだが、君が
彼女達に最も幸福を奪われていた
ことが判明した。』


「え!? なんで!?」


『それは不明だが、とにかく君が
一番の被害者であることに変わり
わない。そこで、二人の処分は君に
任せようと思う。』


「......は?」


「妖精界では被害者が
加害者を処分するきまりなのだ。」


ファリーは駿に耳打ちする。


「え......つまり、俺は姫路さんに
何かを請求することができるのか?」


『そうだ。』


「......」


駿はちらっと姫路に目を移すと
彼女は悔しそうにこちらを見ていた。


『さあ、言いたまえ。』

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