妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

妖精現る 3

「た、足りない幸せ......?」


「そう。君には個人に定められた
幸せの量が足りていないのだ。」


「ど、どういう意味だ。」


「つまり、本来たかしが一生の
人生で使えるはずの幸運や幸福が、
何らかの影響で減少し、たかしは
必要以上に不幸になっているのだ。」


「な、なんらかの影響? なんだよ、
それ。」


「それは多分、たかしが一番知って
いるはずなのだ。」


そう言って、謎の少女は駿を
指差す。



「俺が?」


「......もー、じれったいから、
僕が教えてあげるのだ。
たかし、君はとことこん運が悪い。
それに加えて、びっくりするぐらい
何をやっても平凡なのだ。」


「そ、それは関係ないだろ! 」


「関係あるのだ!」


「は?」


「平凡すぎるがゆえに、たかしには
運が回って来ない。それどころか
運が逃げていっているのだ。」


「......」


「それが、影響を及ぼして、たかしの
幸福や幸運が減少してしまっているのだ。」



「......も、もし仮に......お前の
言っていることが正しいとして、
そんなのどうすることも......」


「だ・か・ら、僕が来たのだ!」


これが運の無い平凡男子高校と、
妖精と名乗る謎の少女との出会いだった。









「なら、お前がその妖精だという
証拠を見せてみろ!!」



「証拠? うーん、それなら......えいっ。」


すると謎の少女の回りに謎のピンク色の
煙が立ち込める。


「ごほごほっ......お、おい。なにして──」


駿は思わず言葉を失った。


「これで信じてもらえたのだ?」



先ほどまで、9才くらいの女の子
だった謎の少女が、まるで人形
のような大きさまで縮まり、
しかも、ぷかぷか空を浮いている。


「とにかく、明日からたかしを
僕の妖精の力で幸福にしてあげる
から、乞うご期待なのだ!」











                          次の日



「あー、シャトルラン嫌だわー。」


「それなー。」


いつもやかましい教室が、一段と
やかましくなる。
そう、今日はなんの意味があるのか、
未だ解明されていない身体測定の
日だった。


クラスじゅうの男子が、ぐちぐち
言いながら体操服に着替えて、グランドに
出ていく。


「あいつ......他の人間には自分の
姿は見えないとか言ってたけど......
大丈夫なんだろうな......」



昨日の一件から謎の少女は
姿を消し、今日はまだ駿の
前に現れていない。



変な夢でも見てたのかもな......



駿はなんだか馬鹿馬鹿しくなって、
あの謎の少女のことを忘れ、
グランドに向かったのだった。

       

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