真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

~みゆきの視点4~

「だからおとなしく渡せばいいのに。バッカみたぁい!!あっはぁ~。」

「……この男に何をした?」
「え?睡眠薬。ネイルに準備しといて正解だったね~。」
そう言う作りだったの、それ!!
てっきりジェルネイルだと思ってたのに!!

「そんなに警戒するならあなたが代わりにカバンの中身開けてよ、センセ。」
「何が入ってるんだい?」
「情報。」
「ッ……。」
醒井がサトのカバンをひっくり返すと、いつも通りに大量のお菓子が流れ落ちた。

「雑にしないでよ~、粉々になったらどうすんのさ~。」
「感心しないねぇ、教科書一つも入っていないなんて。」
「あなたみたいな情報の隠し方の方が感心しないかな~。書類の中じゃ漁られればバレバレ~。」

サトの言葉に醒井はむかつくのを我慢しているような顔をして笑顔を作った。
「なぜかばんを開かせたのかな?」
「だから~、情報だってば。」
「」

サトって、こんなに言葉がトゲトゲしてたっけ?もっとふわふわってしてて眠くなるような甘ったるいようなそんなしゃべり方だった……あれ?本当に?あ~!駄目だ!全っ然、分かんない!!
「みゆき、確かレジのバイトしてるんだっけ?」
「へ?!まぁ、うん。」
「お菓子ってなんでバーコードが付いてるか知ってる?」
「は?そんなの、値段ピッてするためでしょ。」

私に話しかけてないで、醒井と話しててよ!!
これ私にまでキレたのが飛んできそうじゃん!!

「値段だけ?レシートはどうやって商品名出てくるの?」
「そんなの、レジでピッてするんじゃない。」

ガタンッ
「ッ?!」
私がサトに返事をしていたその時、醒井が急にこっちに一歩近づいた。

「ッフフ。」
「さっちゃん……恐ろしい女だ。」
「ほらぁ、早くスキャンしてみて。きっと面白いことになるから。」
「しかし、スキャナーもない。」
「本当に?もう!田中さ~ん。」
田中という名前を聞いて醒井がピシッと凍り付いた。
醒井の奥の運転席の男性がぴくっと肩を震わせるとゆっくりと振り返った。
その男性は真っ青な顔をして震えていた。

「田中……貴様……。」
「田中さ~ん、ちゃんと手はず通りに動く約束でしょ?せっかく私が先生の事引っ張ってたのに~。」
「す、すみませんっ!!」
そして田中という男性は慌ててスキャナーを醒井に手渡した。

「いつからだ?」
「それは「最初っから。だってこの人スパイとして私が給料を払ってる人だから。」ッ田中!!」

「ちなみにその人含めて私の大切な人を痛めつけたら……、その情報で遊んじゃおうかな~。」
「ッ……。」
「フフッ、ほら早く~。」
サトはおもちゃを買ってもらったみたいにキャキャッと笑った。

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