真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

~みゆきの目線2~

「二人には正直さを求めるから……言葉で混乱させようなんて考えないことだね。」
「」

「ではさっそく本題に入ろうか。」
私がうなずくと、裏切り者の養護教諭は私たちに一つの質問をした。

「君たちは龍道会の何をどこまで知っているのかな?」
私はすぐには口を開かずに黙ってこいつを見つめた。
するとすぐに私とサトの首元にナイフがあてられた。

「時間……無いんだよねぇ、それに君たちもお友達は大切でしょ?」
「ッ!?」

そういって見せられたのは、莢菜の縛られた姿だった。

「ちなみにこれ生放送だから、あまり君たちが黙っているようならここにいる男に連絡取るってこともできるんだよねぇ……。」
「あんたたち人のくずよね。」

「誉め言葉頂けて光栄だね。」
「それでも養護教諭なの?」
「これでもなれるんだよ。お金さえあればね。」

醒井先せ……って呼ぶ必要ないやこんな男!!醒井はそういって私たちに改めてナイフを当てつけた。
そのせいでサトはビクッと肩を震わせた。
「じゃ、答えてもらおうかな。……まずは創島みゆきさん。君は捜査1課の警部のお父さんを持っているようだけど、昔は4課にいたからよくお世話になっていたんだよね~。元気にしてるのかな?」

「父さんはもう関係ない。あなたたちの牽制のせいで4課から外されたのよ。だから何も知らない。わかりきったこと言わないで。」
「あはは、矢継ぎ早とはまさにこのことだね……。まるで今でもお父さんと結託して僕たちの事を探っているって言ってくれてるみたいだ。」

まずい!!焦っちゃいけないってわかってたのに……私が下手なこと言ったせいでサトが危険な目にさらされたら最悪なのに!!私は次は何を聞かれてもだんまりを決め込むことにした。

「あれ、お次はだんまり?そっか……。じゃ、知ってるのは結局は警察が握っている情報だけってわけか……。」
そんなの当り前じゃない。私はだんまりを決めたまま、醒井を睨みつけた。


「だとすると少々妙なんだよ。」
「妙?」
「だって、君がどんなにお父さんにお願いしても手に入れられなかったはずの……僕のデータがこないだ保健室から丸っと盗まれていたことがあってね。カギは5か所施錠されていたまま、情報だけぬるっとね。」

何それ……。
「ってことは中身だけ抜くためにウイルスとか入れられたってこと?」
「まぁそんな感じ。……ところで詳しいのは容疑が大きくなるっていうのはお父さんに教わらなかったのかな?」
「」

んなぁああああ!!!!!
これじゃ、余計に私に容疑がかかって、サトの命まで危険になってるし……。
て言ってもあり程度は話を進めさせないと私の容疑が晴れない気もするし……。

「そうだね……、確かに君の頭脳ではあんな繊細なウイルスを作り出すことなんてできるわけはないだろうね。」
「はぁ?」
「バグ一つとってもきりがなかったからね。」

なんか難しいこと言ってるし……。
バグって何?犬の名前か何か?

「そうだな……。でもバグの中に一つだけ面白い名前が入っていてね……。さっちゃんて言ったかな。ねぇ、さっちゃん?」
「さっちゃん?」
私が醒井の視線を追うと、その先にはサトがうつむいて震えていた。

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