真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

第3話

門を潜りきると、後ろでバタンと重そうな音を立てて、扉は閉められて他のいかつい男たちに鍵を閉められた。

「荷物を下ろせ。」
「」

指示に従うと、いつの間にかさっきのいかつい男たちが周りを取り囲んでいた。

「やけに手荒いですね。」
「危険人物にまともな対応をすると思うか?」

「危険なのに中に入れたんですね。」
「」

私が言い返すと、男は顎で私を指した。
すると従うように、いかつい男たちが私の両手をつかみ後ろに縛り上げた。
そしてその縛った手首を腰に押し当てて上からぐるぐると体に縄が巻かれてしまった。

「ついて来い。」
男に合わせて足を進めると…すっごいバランスが崩れやすい状態にされたことが分かった。
もがけば痛いし…。

私はやっとこ男の歩くスピードに合わせてついていくと、一番奥の部屋に通された。

「貴様の望み通り客間への案内だ。そちらの席に座れ。」
嫌味が含まれた言葉遣いに、私はイラっとしながら言われたとおりのなんか高そうな一人用ソファに座った。

すると、男は私と向き合うように大きいほうのソファに腰かけた。
そして軽く息を吸って見せると私の目を見た。
「…まず、お前は何者だ。」
「姫西高校2年生…中村莢菜。…龍央と同じクラス。」

っていうか、そのバッグの中に生徒手帳は言ってんだからそっちで確認してよ。
「ではここに来た目的は?」
「龍央と話がしたい。」

「坊ちゃんと?なぜ?」
「恋人と話したいと思うのは変なこと?」
「」

私が聞き返すと、男は目を見開いた。
「何?初耳?」
「とっくに別れたと…」
…はぁ…?

「…本人が言ってたの?」
「いかにも。」
やっぱりあいつは家の人に別れたって言ってあったんだ…。

「したがって貴様と坊ちゃんの間柄はただの同窓…。」
「やけに勝手なことで。」
「この家では、それがすべてだ。」

「私は納得してないんだけど。」
「貴様の解釈などどうでも「よくないから。っていうか当人じゃないあんたに何でここまで言わないといけないのか分かんないんだけど。」」

私は言葉を挟むと、男はまた不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
でも、黙った。…チャンス!

「要は、あんたじゃなくて、龍央にちゃんとわかるように説明をもらいたいって言ってんの。」
「…それはできない。」
「なんで?」
「貴様は…はじめに“うさぎ”の居所を訪ねた。…そして今は坊ちゃんのことを尋ねている。…つまりは、“うさぎ”と坊ちゃんの関係性を知っているという事だろう?」

関係性って…そんなの…。
「本人じゃん。」
「ッ!?」

私がつい漏らすと、男は驚いたように目を見開くとまた私の額に銃を押し付けた。

「貴様…どこまで知ってものを言っているか知らんが、舌を切られたくなければ口を慎むことだ。」
「…なんで?」
「お前の発言権などない。」

はぁ?!

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