真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

第1話

「「なんで?」」
私とサトがぽかんと聞き返すとみゆきは私たちのほっぺをグイッとつまんだ。

「い~い?!ヤクザって情報を漏らさないことにめっちゃ力注いでんの!!なのに付き合うだの見つけただの!!そんなのがヤクザに気付かれたらどうなると思う?!」
「「???」」

「全員殺されて体バラバラ事件でコンクリ詰めで海にポポポポ~ンだよ!!」
「え、殺……そんなに大げさな……。」
「みゆき面白ーい。」
「笑い事じゃなくって!!本当にやばいの!!このほっぺなんてレベルじゃないんだからね!!」
「「いだだだだだ!!!!!」」

みゆきの手を叩いてやっと頬が解放されて、撫でているとみゆきははぁと息を吐いた。
「だからダメって言ったの!!」
「あの、みゆき。質問良い?」
「……なぁに?!」
ひぃッ、みゆきの声も顔も怖い!!

「さっきのサトの話で出てきたうさぎの仮面って……あれ、私が助けてもらった”うさぎさん”だったんだけど……お礼だけでも言いに行っちゃダメかな……なんて。」
「」
「あ~!!そうだったんだ!!」
みゆきの顔がみるみる凍り付く中、サトが納得したように手を叩いた。

「駄目に決まってるでしょ話聞いてた?!」
「でも、確実に龍央に借りはあるわけだし、それに……。」
「それに?」
「それにそれに?!?!」
「それ聞いても私逃げたくならなかったから……。」
ちゃんと顔見てあいつから説明聞きたいって思っちゃった。

「でもね?さや。下手したら、いや、下手しなくても!殺されるとか、売られるとか、とにかくいろいろあるの!」
「うん、聞いたよ。」
「あ・ぶ・な・い・の・!・!」
「うん。それでもあいつに会いたいの。」
「さや……。」
「だって、急に告白してきたのはあいつなんだし、かと思ったら急に振ってきたんだし。きっと何か理由はあるって事じゃん?」
私はきっと今ものすごい勢いがあるって顔してるんだと思う。

「ヒュ~!!すっご!!恋の力だね!!」
「はぁ~~ッ……もう!!!!!!」

サトはキャキャッと乙女の顔になっていて、その横で頭を掻きむしるみゆきがいた。

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