真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

 ~みゆきの目線~

あれから、すぐに学校に戻ってみたけど怒りの矛先はすでに帰った後だった。
だからと言って家に殴り込むわけにもいかないし…。

なんて悩んでいるうちに、2人から帰ってくるように何回もラインが来てて、私は泣く泣くさっきのカフェに戻ることにした。

そして次の日、つまりは今日!
私は二人のは反対を振り切って来て早々の龍央の机に近づいた。

「あぁ、みゆきさん。おはようございます。」
「」
こいつは臆面もなく、私に挨拶の言葉をかけた。

「ちょっと来て。」
何もなかったことにするつもりなら、私もきっちり話付けさせてもらわないとね。
龍央にそう促すと、面倒そうにだったけど席を立った。

私は龍央の足音を確認しながら、こないだ使った会議室に足を踏み入れた。
扉の閉まる音に振り返ると、私の頭に冷たい感触がした。それは本当なら学校に持ってこれるはずのない凶器…拳銃だった。

「用件は?」
「こんなことしてあんたらしくないじゃん。」
「答えろ。」
その銃口は冷静で、下手するとこのまま打たれるかもしれない……と思った。

「じゃ、聞くけど。なんで莢菜のこと振ったの?」
「本人に理由は伝えてある。何よりお前が関連するところじゃない。」
「本人が納得してないのに伝えたもくそもあったもんじゃないって言ってんの!!」

「」
私の言葉に、龍央はやっと銃を下ろした。

「あんたは莢菜のこと何とも思ってないの?」
「…あぁ。」
「ならなんで最初からok出したりしたの……?」

「」
なんで答えないの。
私は頭の血管がブチッとキレた音と合わせて龍央に掴みかかった。
その行動に龍央はまた拳銃を持った腕を上げるそぶりが見えて思わずその腕を強く叩き落とした。

すると、拳銃はいとも簡単に龍央の手からすり抜けた。
それをうっかり目で追うと、気が付いた時には龍央に背後を譲っていた。
「」
「何?さっさと腕ひねり上げるなりなんなりしたら?」

「……弱い存在には触れないのが暗黙の了解だろう?」
その言葉…まさかッ!?
「それって……あんたの答えってこと?」

「……勘のいい奴で安心したよ。」
龍央はそれだけ言うと何かをあきらめたようにヘラっと笑った。

「龍央……あんた……何か危ない橋渡ってんじゃないでしょうね?」
「……それは馬鹿な質問だな。」

その声は諦めに近いようなむしろ清々しさすら感じる。
「……馬鹿はあんたじゃない……。」

絞り出すように悪態をついた私に龍央はなぜか嬉しそうに微笑んで、一人会議室を出ていった。
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