真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

第3話

そして試験当日、私は珍しくかばんは教科書でいっぱいになっていた。
今日くらい自転車で来ればよかった…肩とれてない…?

やっと教室の自分の席に着くと、龍央が既に教室で教材を眺めていた。
「おはよ…もしかして…元気ない?」
「あぁ、昨日まで自力で解けないで終わってしまった問題があったんだ。それが不安要素なんだ。」
「そ、そうなんだ。」
さすがに、私の頭じゃアドバイスもできそうにないな…。

「でも、莢菜さんの顔見たら、いける気がしてきた。」
「…へ?」
「頑張ろうね。」

「ッうん!」

龍央に苦手があるってことに驚きながら、私は龍央に肩を軽くたたいて元気を分けてあげた…と思う。
実際試験では、今までわからずに飛ばしていた問題もいつの間にか難なく答えられるようになっていた。

最後の時間の試験が終わり、私は椅子にもたれかかった。
「お、終わった。」
すると、龍央が振り向き、軽く微笑んだ。
「お疲れ様。」
「お疲れ。あのね、龍央…。」

「ん?」
”ん?”ってずるい…なんかカワイイッ!!

「もしよかったらさ…私とデートしない?」
「え!?…あ、いや…すみません…少し驚いちゃって…。」

その反応絶対少しじゃないでしょ…。吹き出すとこだった。
結局話が決まらないままHRが始まってしまったから、龍央は前を向いてしまった。

担任め…今日くらいは、HRいらないじゃん!!

私は軽くむかつきながら、その15分を過ごした。
HRが終わり、私がかばんを机に上げると龍央がグルんと私の席に振り返った。
「あの…これ…一応考えてみたから…検討してみて。」
「え?これ何?「じゃ、僕急ぐから。」ちょ…。」

龍央は恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めながら、出かける日と待ち合わせの場所を書いたルーズリーフを私に渡してくれた。
…って…。
「細かッ!!」

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