2度めの野球人生は軟投派? ~男でも野球ができるって証明するよ~

まほろん

オリエンテーション

いっけね。朝からなんかいろいろ起こりすぎて爆睡したらいつの間にか入学式が終わってる。
校長や来賓のありがたいお言葉は眠気を誘うのには十分すぎた。

1年生はこの後、クラス発表と簡単なオリエンテーションがあるらしい。
とりあえずさっさと向かって対策考えないと。

入学式の会場を出ると、クラス分けのでかい用紙がホワイトボードに貼り付けられていた。
のんびりと文字を追って自分の名前を探してみると意外とあっさりと見つかった。
どうやら俺は1年A組らしい。
クラスはAからDの4クラスか。ここは「前の世界」と変わらないか。

当然のように1年の頃のクラスなんて忘れていたけど、いざA組になってみるとA組だったような気もする。

クラスもわかったしさっさと教室に向かおう。
ここからはこの世界の住人とも関わることが多いだろう。
あまり不審な行動はとらないようにしないと…。


~~~


そうこうしているうちに1年A組の教室にたどり着いた。
こういうとき場所を把握していると楽だ。
空いているドアから教室の中に入り、ぐるっと周囲を見渡す。

7割ほどの生徒が席についていたのでどの席に座ればいいか思案していると、机の上には名前の書かれたネームプレートが置いてあることに気付いた。
おかげでなんなく自分の席にたどり着いた。

俺の席は窓際の1番後ろの席。
いわゆる主人公ポジションだ。

席に座ってほとんど無意識に周りを見ると、元々友人同士なのかこの短い時間で打ち解けたのかわからないが世間話をしている生徒もちらほらいる。

「伊織。伊織」

突然横から自分の名前を呼ばれて、声を掛けられた方向を見ると小学校からの幼なじみ?というか家が近所の小泉あかりが座っていた。

「伊織、入学式ずっと寝てたね。同じクラスなのはわかってたけど隣になるなんて」
「う、うん」

おかしいな。俺と小泉あかりの関係と言うのはこんな砕けていただろうか?
「前の世界」のことを考えてみると、間違いなくありえない。
だが流石に「俺たちこんな気軽に話す関係だっけ?」とも聞けない。
ここは必殺なんとなく曖昧な笑いでごまかすしか無い。日本人のDNAに感謝。

一方的に話してくるあかりと雑談していると、空いていたドアから担任と思われるスーツを着た女性が入ってきた。
先生が入ってきたことで、教室が自然と静まる。

「はい、新入生の皆さん。入学おめでとう。私はAクラスの担任の東條沙織だ。普段担当している教科は数学になる。今日はオリエンテーションということで、今から10分ほど時間をとるから、配布してある学校生活の栞について疑問点があれば回答する。特になければ解散する流れになっている。疑問や質問があるものはいるか?」

先生の言葉に反応してみんな配布してある栞を手にとって読み始める。
読んでは見たけど、特に変なルールがあるわけでもなく要は『集団行動のルールを守りましょう』だった。
特に質問が出ることもなく、10分が経過した。

「質問はないな? それでは今日はこれで終わりだ。よりよい学生ライフを送ってくれ。では解散」

そう言い残してあっさりと教室を出ていく東條先生。
戸惑いの声があがる教室だったが、解散になった以上することもない。
家に帰って考えたいことがたくさんあることだし、今日のところはさっさと帰ろう。

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