誘拐記念日
奮励②
「悟?!」
「どうしたの?!」
僕が席に駆け寄ると、悟はニカッと歯茎が見えるほど口角を上げた。
「俺、秋大の父ちゃんぶん殴ってやったよ!!」
「「はぁ?!」」
「……自慢出来る出来事では無さそうですが?」
「まぁ聞けよ、優等生。」
「その呼び方やめていただけますか?」
僕達は周りの子に椅子を借りて、悟と秋大の机に寄り付いた。
「で?ぶん殴ったやつがなんでフルボッコ喰らってんだよ。」
「聞きたいか俺の武勇伝!」
「は?」
「そこはノリで返せって。」
「あ?ベストテンもねぇだろ。」
「っす。」
悠一に視線だけで押されて悟は昨日の出来事を話し始めた。内容としてはこうだ。
僕達が言い争った日、帰り道が同じだった悟と秋大。
悟は僕達の言い争いをとどめる方法として、クッキーに詳しい人、イコール洋菓子作れる人、イコールパティシエをしている秋大の父に直談判に行くと決めて、秋大にアポを取った。
次の日、悟が顔を出すと仁王立ちで待ち構えていた秋大の父、秋大は奥でペコペコと頭を下げているだけだったらしい。
そして状況を話す前に断固拒否を喰らい……。
「うっかり先に手を挙げてしまったと……。」
「ちょっと待てコラ!大事なところ端折るんじゃぁねぇ!!」
「何か?こうして事情聴取してるじゃないですか。」
透はそう言って悟の顔の上から小さな懐中電灯を照らした。
「これも!人を悪人扱いすんな!」
「はいはい、『アレルゲンフリーなんていらない、だから秋大の食い物にも卵を塗りつけてやったんだ。』と言われたんですね。分かってますよちゃんと。」
「だろ?!俺悪くねぇっての!」
「いや……でも手を上げるのはちょっと……。」
僕がつぶやくと悟の視線がギロッと向いた。
慌てて目を逸らすと、悟が鼻息を吐いた。
しかし、その中で悠一が軽く舌打ちをして声を上げた。
「いーや!それはお前が悪い。」
「はぁあ?!」
「だってこうしてお前食らってんじゃねぇか!しかもKO?!そこは負けずに食らいつけよ。」
気にする所そこなの?!
「無茶言うなよ、あの腕の太さやばかったんだかんな?」
「そんな可愛く言ったって許さないんだかんな!!」
悟の言葉に、秋大はいつもの調子が戻ってきたのか、拳を頬につけた。
え……この流れ嫌な予感……僕は参加しない!
「〇〇 ✕~んな。」
「……え?!」
すると聞こえるはずがないと思っていた方向からボソッと声が聞こえた。
みんなもそれを聞き逃さなかったのか、一点に視線を集中した。
「……透……そういう系か。」
「ッいけませんか?!いいじゃないですか可愛らしいんですから!!」
透が顔を真っ赤にしたところで、時間切れのチャイムがなった。
「どうしたの?!」
僕が席に駆け寄ると、悟はニカッと歯茎が見えるほど口角を上げた。
「俺、秋大の父ちゃんぶん殴ってやったよ!!」
「「はぁ?!」」
「……自慢出来る出来事では無さそうですが?」
「まぁ聞けよ、優等生。」
「その呼び方やめていただけますか?」
僕達は周りの子に椅子を借りて、悟と秋大の机に寄り付いた。
「で?ぶん殴ったやつがなんでフルボッコ喰らってんだよ。」
「聞きたいか俺の武勇伝!」
「は?」
「そこはノリで返せって。」
「あ?ベストテンもねぇだろ。」
「っす。」
悠一に視線だけで押されて悟は昨日の出来事を話し始めた。内容としてはこうだ。
僕達が言い争った日、帰り道が同じだった悟と秋大。
悟は僕達の言い争いをとどめる方法として、クッキーに詳しい人、イコール洋菓子作れる人、イコールパティシエをしている秋大の父に直談判に行くと決めて、秋大にアポを取った。
次の日、悟が顔を出すと仁王立ちで待ち構えていた秋大の父、秋大は奥でペコペコと頭を下げているだけだったらしい。
そして状況を話す前に断固拒否を喰らい……。
「うっかり先に手を挙げてしまったと……。」
「ちょっと待てコラ!大事なところ端折るんじゃぁねぇ!!」
「何か?こうして事情聴取してるじゃないですか。」
透はそう言って悟の顔の上から小さな懐中電灯を照らした。
「これも!人を悪人扱いすんな!」
「はいはい、『アレルゲンフリーなんていらない、だから秋大の食い物にも卵を塗りつけてやったんだ。』と言われたんですね。分かってますよちゃんと。」
「だろ?!俺悪くねぇっての!」
「いや……でも手を上げるのはちょっと……。」
僕がつぶやくと悟の視線がギロッと向いた。
慌てて目を逸らすと、悟が鼻息を吐いた。
しかし、その中で悠一が軽く舌打ちをして声を上げた。
「いーや!それはお前が悪い。」
「はぁあ?!」
「だってこうしてお前食らってんじゃねぇか!しかもKO?!そこは負けずに食らいつけよ。」
気にする所そこなの?!
「無茶言うなよ、あの腕の太さやばかったんだかんな?」
「そんな可愛く言ったって許さないんだかんな!!」
悟の言葉に、秋大はいつもの調子が戻ってきたのか、拳を頬につけた。
え……この流れ嫌な予感……僕は参加しない!
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「……え?!」
すると聞こえるはずがないと思っていた方向からボソッと声が聞こえた。
みんなもそれを聞き逃さなかったのか、一点に視線を集中した。
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「ッいけませんか?!いいじゃないですか可愛らしいんですから!!」
透が顔を真っ赤にしたところで、時間切れのチャイムがなった。
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