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誘拐記念日

石ノ森椿

依恃 ⑥

「で?いくら出す?」
「……は?」
「影子の全情報なら…そうだな……。」
伝文さんは人差し指を突き立てた。
「1万…?」
「ばぁか、どんだけ桁サバ読むつもりだ。1000万だよ。」
「「1000万?!?!」」
「おい、ふざけんじゃねぇぞ!未成年だからってぼったくりやがって!」
「ふざけてんのはどっちだ、あぁ?」
「ッ!!」
伝文さんの静かな口調は声の凄みだけで僕たちはおろか、悠一すら怯ませてしまった。
黙り切った僕たちに伝文は口角をにぃっと引き上げて、右手でコインのサインを作って揺らした。
「俺にとって情報はマネーだ。大人は金でしか動かねぇんだよ。」
「そんな……。」

「それに金なら……松岡透、あとここにいねぇ3人なら……1人250万ずつってところか。宗太と稲辺悠一は役に立ちそうもねぇからな。」
透は伝文さんの名指しされてびくった体を震わせた後、拳を握り締めた。
「そんな大金ッ……む、無理に決まってます!!」
「なら交渉は決裂だ。ほら、帰んな帰んな!!」
「」
「何だ、お前らして酷い顔だな。」
「手が届きそうなものが目の前でショウウィンドウに入れて鍵を閉められましたからね。」
透が嫌味を言うと、伝文は目を細めてグイッと透に体を向きを変えた。
「お前さん、親とは和解できたのか?」
「……?」
「俺があれだけ筒抜けになるように仕向けてやったんだ、敷居も踏ませてもらえないだろうな。」
「そんな「やっぱりてめぇかクソ野郎!!」」
伝文さんの言葉に、悠一は伝文さんの胸ぐらをつかみ引き寄せた。
「悠一ッ!!」
「こいつがどんな思いで家から出たか分かってんのか?こんなねちっこいやつが家出しねぇといけないほど追い込みやがって……!」
「悠一君、もう結構ですから。」
「結構もくそもあるか!!俺はな、こいつらを痛めつけるためにここに来たんじゃねぇんだよ!!」
「無駄話が要らないなら早く報酬をよこせばいい。」
「出来ねぇっつってんだろ……ガッ」
その時、伝文さんの手が悠一の前髪を掴み、真下に叩き落とした。
床に響くほどの衝撃で、悠一は体を起こしたものの額から血をにじませていた。

「悠一君!!」
「ちょっと……これはさすがに大人としてどうなんですか?これじゃ弱い者いじめです!!」
僕が伝文さんを睨むと、伝文さんは上から冷たい視線を落としていた。
「不毛だな。お前らの時間つぶしに大人を使うんじゃない。」
「伝文さんこそ、言葉遊びで僕たちを弄ばないでください!!」
「なんだ、弄ばれている自覚はあったのか。」
「あなたはプロの探偵だ!……プロらしく僕たちに価値があるか見定めてみろ!!」
「……お前たちに価値があるのか。」
「僕に納得してもらえるほどの価値があるとは思えない……悠一みたいなリーダーシップないし、透たちほどお金持ちじゃない、憲司ほど頭もよくないし、悟ほど力だって強くない、秋大みたいに皆を笑顔にする力もない……。」
「」
「それでも、僕を信じてくれてる……ここにいる二人だけじゃない、憲司も悟も秋大も、僕のわがままを信じて付いてきてくれてる。もう!”一人きり”の価値じゃない!!」
「宗太も言うようになったな……。」
「……僕は事実を言っただけです。」
「それならお前らの価値を証明して見せろ。」

そう言うと伝文さんがポケットから取り出したのは、見たこともないような細長い6枚の紙だった。
「これは?」
「お前さんたちの中間テストの成績だよ。」
「は?!」
伝文さんの言葉に僕たちは返されたテストを思い出して慌てて自分の成績の紙を手に取った。

「どうして最低点に丸付けしてあるんでしょうか?」
「お前らの証明するものはそれだ。」
「点数ですか?」
「そうだ。お前たちの苦手科目で俺に勝負してこい。ルールは簡単だ。チャンスは一回、今度の期末のテスト。お前らの点数1点につき1万円の価値をつけて、6人の合計で俺の渡す情報のレベルが決まる。」
「それだと最高600点……1000万円に届かねぇじゃねぇか!!」
「最大級に妥協してやってんだろ。」
「足元見やがって……。」
「……分かりました。」

「期末の結果が出たらここに連絡をよこしな。」
伝文さんは僕たちに名刺を渡すと、部屋の扉を開けて俺たちを促した。
「ご健闘を祈りますよ?王国の皆さん。」

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