誘拐記念日
庇護⑥
登校の支度を済ませると、影子が車のキーを指で回して机に寄りかかって立っていた。
「車で送るよ。」
「……どうも。」
「宗太も乗ってく?」
「あ~……大丈夫です。定期勿体ないから、先行きますね。」
俺の後ろからカバンを右だけで背負って通り過ぎようとした宗太は、俺とちらっと目を合わせて、眉間にしわを寄せて早歩きで玄関を出て行ってしまった。
「だってさ、ついていけば?」
「車でいいっす。」
正直気まずくてたまらないけど、ここから学校の経路知らねぇし宗太について言ってもあいつ機嫌悪いだろうし。
俺が車に乗り込むと、2人きりの車内は気まずい空気が流れた。
「影子さん、すみませんでした。」
「ん?”どれ”?」
「」
「ま、気にしてないから!あんたも本来のあんたに戻りなさいね。」
俺は思わぬ影子の言葉に運転席の影子の顔を見あげた。
「本来?あいつがいじめられてていいのかよ?」
「良いわけないでしょ、”本来の稲辺悠一”は宗太と敵になる奴じゃない。」
「何だそれ。」
「何って、宗太の本当の敵になりうるのは“松岡透”だから。」
「は?!」
何であいつが出てくるんだ?!
「だからあなたには……そうね、騎士あたりかな。」
「俺が標的になるって言いたいのか?俺があいつを庇う保証なんてないだろ。」
「いいえ、あんたは絶対にやり遂げる。それに、協力するならあんたの命の保証はできる。」
「下らねぇ。」
「宗太に命を救われたのは……忘れた?」
チラッとこちらに向いた影子の目は“断れないでしょ?”と笑っていた。
「恐ろしい女だな、あんた。」
「ほら、着いたよ。じゃ、がんばって!ナ・イ・ト・君!」
「車で送るよ。」
「……どうも。」
「宗太も乗ってく?」
「あ~……大丈夫です。定期勿体ないから、先行きますね。」
俺の後ろからカバンを右だけで背負って通り過ぎようとした宗太は、俺とちらっと目を合わせて、眉間にしわを寄せて早歩きで玄関を出て行ってしまった。
「だってさ、ついていけば?」
「車でいいっす。」
正直気まずくてたまらないけど、ここから学校の経路知らねぇし宗太について言ってもあいつ機嫌悪いだろうし。
俺が車に乗り込むと、2人きりの車内は気まずい空気が流れた。
「影子さん、すみませんでした。」
「ん?”どれ”?」
「」
「ま、気にしてないから!あんたも本来のあんたに戻りなさいね。」
俺は思わぬ影子の言葉に運転席の影子の顔を見あげた。
「本来?あいつがいじめられてていいのかよ?」
「良いわけないでしょ、”本来の稲辺悠一”は宗太と敵になる奴じゃない。」
「何だそれ。」
「何って、宗太の本当の敵になりうるのは“松岡透”だから。」
「は?!」
何であいつが出てくるんだ?!
「だからあなたには……そうね、騎士あたりかな。」
「俺が標的になるって言いたいのか?俺があいつを庇う保証なんてないだろ。」
「いいえ、あんたは絶対にやり遂げる。それに、協力するならあんたの命の保証はできる。」
「下らねぇ。」
「宗太に命を救われたのは……忘れた?」
チラッとこちらに向いた影子の目は“断れないでしょ?”と笑っていた。
「恐ろしい女だな、あんた。」
「ほら、着いたよ。じゃ、がんばって!ナ・イ・ト・君!」
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