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誘拐記念日

石ノ森椿

協力

「多分それだ。あいつ、俺にも教師にも頭下げたことなかったんだ。あいつ……変わったんだな。」
悠一はそう言って透の様子をじっと見つめていた。
透は模造紙と他にも何かを受け取るとこちらに振り返った。
突然の行動のせいで透とがっちりと目があってしまった僕と悠一はそっと2,3歩後退った。
透は職員室の中で軽く頭を下げて扉を閉めた。
「お恥ずかしいところを見られてしまいましたね。…第二自習室が2時間使えるようです。時は金なり、至急皆さんを招集しましょう。」
透の手には筒にした模造紙と、赤と黒の油性ペンが握られていた。


慌ててチャットで場所を変えた僕たちは自習室の中心の位置に固まって座った。
松岡は模造紙を広げ6色の正方形の付箋と色に合わせたシールを配り始めた。

「では改めて状況を整理します。まずは皆さんの橘影子に纏わる情報を今わかる範囲でここに書き出して自身の前に貼り付けてください。どんな小さなことでも構いません。あくびをしていた時間帯でもなんでも。」
「そ、そこまで?」
「もちろん有益無益はありますが、情報量がなければ選別もできません。先程のように口論になってはまずいですからね。」
「「うッ…。」」
透はむっとした顔で僕と悠一を睨んだ。
何だろう……この叱られた子供に戻った気分。

僕は渡された黄色の付箋に今までの内容を箇条書きで1枚一枚書き記していく。
しばらく付箋に向かっていると、何か視線を感じて顔を上げた。
するとみんなのペンがとっくに止まり僕の手元を覗き込んでいた。

「え……もしかして僕待ち?」
「あぁ。」
「ごめん、まだ思い出せそうなんだけど。」
僕のつぶやきに、徹が僕のメモを一つ指を差した。
それは一番最初に書き込んだ『誘拐されていた』というメモだった。

「こういう気になるものには、配ったシールを端に張ってください。」
松岡に指示を受けると、他の4人も一斉にそのメモにシールを貼った。
その様子を見て松岡は黒板にもう一つの模造紙をマグネットで固定して、シールが集中したものを貼り付けていく。
僕が書き終わると、そのほとんどのメモが黒板の模造紙に集中していた。

「え、そんなに僕を優先ししなくてもいいよ、有益か分かんないし。」
「「「「「どう見ても有益だろ!!」」だよ!!」」でしょう!!」
「は、はは……。」

結局、時間はあっという間に過ぎて続きは次回に持ち越しとなった。

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