誘拐記念日
修繕 ④
影子さんに誘拐されてから1か月が経ち、学校の様子がガラッと変わってからもおなじように1か月が経った。僕は……。
「宗太、やっちまえ!」
「」
悠一の頭の上にゴミ箱をひっくり返した。
「なかなかやりますね、宗太君。」
僕は、いじめの加害者になっていた。
立場が変わってしまった日の事は、忘れることは出来ていない。
悠一とサボって遊園地に行った次の日、2人して職員室に呼ばれていた。
「何で呼ばれたかわかるね。」
「はい。」
「稲辺はもともと素行も悪かったからわかる。しかし田中まで。全く……片親だとどうしてこうも出来が悪くなるのか……。」
この一言でわかったかもしれないけど、この教師は「権力」「体裁」を重んじる人ばっかりで、特にこの生徒指導改め、僕たちのクラス担任の教師はその気が一番強い。
僕がいじめられていた当初は注意もしてくれた。それをやめたのは入学式の写真で僕が片親だとわかったからだった。この学校はそう言う学校なんだ……表では分からないけど。
「聞いているのか!!」
「すみませ「俺が無理やり連れまわしました。」……悠一?」
僕が頭を下げようとしたとき、悠一が深く頭を下げた。
普段謝らない悠一が頭を下げた。これ見よがしとばかりに、担任は悠一に教師と思えないような言葉を投げかけて、なじった。
その間、僕がどんなに肩を揺らしても、悠一は一度とも頭を上げようとしなかった。
担任の気が済んで、やっと解放されると悠一は何事もない顔で教室に足を進めていった。
追いかけるように教室に入ったその時、僕の目に入ってきた光景は悠一の机の上の菊の花瓶とその前で立ち尽くす悠一だった。
「宗太君、おはよう!!」
「え?」
「「「「おはよう!!」」」」
「お……はよう。あの、悠一の机の上……あれ何?」
「何言ってるですか?彼は……昨日死んだでしょう?」
松岡の貼り付けの笑顔が真顔に変わり、僕は一気に背筋が凍みあがった。
標的が……悠一に変わった。
恐れていたことが起きてしまった。
悠一は強い人がからあり得ないと信じたかった……。
嗅ぎ覚えのない香りに辺りを見渡すと、クラスの全員が何かを持っている。
緑色のあれは……線香……?
「何するつもり……?」
「あぁ恐ろしいですね。僕たちを裏切るとこんな仕打ちが待ってるなんて……。」
クラスのみんなが暗黙の了解で列になって悠一の机に火のついた線香を一つ……また一つと置いていく。
悠一の机は線香の当たった場所だけが焦げて、線香は灰になった。
「さぁ、宗太君。君も供えてあげてください。」
「こ、こんなの……こんなのおかしい!!」
「良いんですか?君もこのクラスで死んでしまうんですよ?」
「ッ……!」
僕は何か言わないとと息を吸った。
その時だった。
「宗太!」
「……悠一。」
「お前はそっちいけ。俺の努力無駄にすんな。」
悠一はこちらを見ないまま、無残すぎる席に着いた。
その日から僕は、何もできなくなってしまった。
「宗太、やっちまえ!」
「」
悠一の頭の上にゴミ箱をひっくり返した。
「なかなかやりますね、宗太君。」
僕は、いじめの加害者になっていた。
立場が変わってしまった日の事は、忘れることは出来ていない。
悠一とサボって遊園地に行った次の日、2人して職員室に呼ばれていた。
「何で呼ばれたかわかるね。」
「はい。」
「稲辺はもともと素行も悪かったからわかる。しかし田中まで。全く……片親だとどうしてこうも出来が悪くなるのか……。」
この一言でわかったかもしれないけど、この教師は「権力」「体裁」を重んじる人ばっかりで、特にこの生徒指導改め、僕たちのクラス担任の教師はその気が一番強い。
僕がいじめられていた当初は注意もしてくれた。それをやめたのは入学式の写真で僕が片親だとわかったからだった。この学校はそう言う学校なんだ……表では分からないけど。
「聞いているのか!!」
「すみませ「俺が無理やり連れまわしました。」……悠一?」
僕が頭を下げようとしたとき、悠一が深く頭を下げた。
普段謝らない悠一が頭を下げた。これ見よがしとばかりに、担任は悠一に教師と思えないような言葉を投げかけて、なじった。
その間、僕がどんなに肩を揺らしても、悠一は一度とも頭を上げようとしなかった。
担任の気が済んで、やっと解放されると悠一は何事もない顔で教室に足を進めていった。
追いかけるように教室に入ったその時、僕の目に入ってきた光景は悠一の机の上の菊の花瓶とその前で立ち尽くす悠一だった。
「宗太君、おはよう!!」
「え?」
「「「「おはよう!!」」」」
「お……はよう。あの、悠一の机の上……あれ何?」
「何言ってるですか?彼は……昨日死んだでしょう?」
松岡の貼り付けの笑顔が真顔に変わり、僕は一気に背筋が凍みあがった。
標的が……悠一に変わった。
恐れていたことが起きてしまった。
悠一は強い人がからあり得ないと信じたかった……。
嗅ぎ覚えのない香りに辺りを見渡すと、クラスの全員が何かを持っている。
緑色のあれは……線香……?
「何するつもり……?」
「あぁ恐ろしいですね。僕たちを裏切るとこんな仕打ちが待ってるなんて……。」
クラスのみんなが暗黙の了解で列になって悠一の机に火のついた線香を一つ……また一つと置いていく。
悠一の机は線香の当たった場所だけが焦げて、線香は灰になった。
「さぁ、宗太君。君も供えてあげてください。」
「こ、こんなの……こんなのおかしい!!」
「良いんですか?君もこのクラスで死んでしまうんですよ?」
「ッ……!」
僕は何か言わないとと息を吸った。
その時だった。
「宗太!」
「……悠一。」
「お前はそっちいけ。俺の努力無駄にすんな。」
悠一はこちらを見ないまま、無残すぎる席に着いた。
その日から僕は、何もできなくなってしまった。
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