誘拐記念日
庇護 ④
影子から解放されて部屋に戻ると、宗太は先ほど床に引いていた布団を丸めていた。
そして俺を見るなり、目を細めた。
「話は終わった?」
「あぁ。」
「そう、なら稲辺はベッド使って。」
「お前は?」
「僕は床で寝る。リサさんのフォローしないと。」
宗太はベッドから自分の枕を回収すると、床に転がっていた枕を俺に押しつけた。
「今いるのは影子だろ?」
「誰のせいだと思ってるの?君は臆面もないのか?」
「はぁ?……さっきから何なんだ?お前もあの女も。」
「……リサさんは解離性同一性障害という症状と付き合って生活してるんだ。1つの体に2人以上の人格が形成されていて、記憶とかもバラバラになる。だからクッキーはおろか、みんなのアレルギーだって考えもしなかったはずだ。リサさんは交代人格の影子さんに守られて夜だけ表に出てこれてたんだ。」
「解離性同一性障害?……人格?」
「あとは調べるなりなんなりしてよ。僕だってやっとここまで理解できたんだ。」
宗太は扉を少し開けてリビングの様子を見て息を吐いた。
「リサさんともやっと話してもらえるようになってたのに……稲辺のせいでリサさんが表に出てこれなくなったら……消えてしまったら……死んだら責任とれるの?!」
「死ぬ?……あれくらいで?」
「あれくらいで耐えられないから影子さんが出てきたんだよ。本当ならリサさんは今、“稲辺悠一に殺された”んだ!!」
「な……。」
「影子さんはこの時間……リサさんの時間は絶対に邪魔しない。僕もリサさんに話を振られない限り影子さんの名前は出さない。リサさんと影子さんのバランスを崩さないことが2人の為になるから。」
「」
「今きっと2人は不安定な状態だと思うから……僕はここで寝る。」
扉を音もたてずに閉めて、宗太はもう一度俺に向き直った。
「リサさんや影子さんに何かあったら僕は、君を絶対に許さない。」
宗太の言葉は今日の出来事に対する憎悪が込められて、今までの弱弱しい宗太の態度とは比べ物にならない姿だった。
俺は途中で一度目を覚まし、宗太の方を見ると宗太は体を壁に寄りかからせて、まるでうたたねのような姿で眠っていた。そして、リビングの物音で起きては部屋を出て何は話をしていた。
扉の窓から様子を見ると、宗太が影子と話していた。微かに聞こえてきた口調からして……あれはリサという事か……。
しばらくすると、女性が部屋に戻っていって宗太はため息を一つはいた。
こちらに視線が向いて、俺は慌ててベッドにもぐりこんだが、宗太は俺と目がったことには気が付かなかったのか、また先ほどの体勢で目を閉じた。
こいつ、まさか毎日こうやって寝てんのか……。
リサって女の様子を見るためにいつも。
俺は、宗太の真摯な姿をぼんやり見てるしかできなかった。
そして俺を見るなり、目を細めた。
「話は終わった?」
「あぁ。」
「そう、なら稲辺はベッド使って。」
「お前は?」
「僕は床で寝る。リサさんのフォローしないと。」
宗太はベッドから自分の枕を回収すると、床に転がっていた枕を俺に押しつけた。
「今いるのは影子だろ?」
「誰のせいだと思ってるの?君は臆面もないのか?」
「はぁ?……さっきから何なんだ?お前もあの女も。」
「……リサさんは解離性同一性障害という症状と付き合って生活してるんだ。1つの体に2人以上の人格が形成されていて、記憶とかもバラバラになる。だからクッキーはおろか、みんなのアレルギーだって考えもしなかったはずだ。リサさんは交代人格の影子さんに守られて夜だけ表に出てこれてたんだ。」
「解離性同一性障害?……人格?」
「あとは調べるなりなんなりしてよ。僕だってやっとここまで理解できたんだ。」
宗太は扉を少し開けてリビングの様子を見て息を吐いた。
「リサさんともやっと話してもらえるようになってたのに……稲辺のせいでリサさんが表に出てこれなくなったら……消えてしまったら……死んだら責任とれるの?!」
「死ぬ?……あれくらいで?」
「あれくらいで耐えられないから影子さんが出てきたんだよ。本当ならリサさんは今、“稲辺悠一に殺された”んだ!!」
「な……。」
「影子さんはこの時間……リサさんの時間は絶対に邪魔しない。僕もリサさんに話を振られない限り影子さんの名前は出さない。リサさんと影子さんのバランスを崩さないことが2人の為になるから。」
「」
「今きっと2人は不安定な状態だと思うから……僕はここで寝る。」
扉を音もたてずに閉めて、宗太はもう一度俺に向き直った。
「リサさんや影子さんに何かあったら僕は、君を絶対に許さない。」
宗太の言葉は今日の出来事に対する憎悪が込められて、今までの弱弱しい宗太の態度とは比べ物にならない姿だった。
俺は途中で一度目を覚まし、宗太の方を見ると宗太は体を壁に寄りかからせて、まるでうたたねのような姿で眠っていた。そして、リビングの物音で起きては部屋を出て何は話をしていた。
扉の窓から様子を見ると、宗太が影子と話していた。微かに聞こえてきた口調からして……あれはリサという事か……。
しばらくすると、女性が部屋に戻っていって宗太はため息を一つはいた。
こちらに視線が向いて、俺は慌ててベッドにもぐりこんだが、宗太は俺と目がったことには気が付かなかったのか、また先ほどの体勢で目を閉じた。
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俺は、宗太の真摯な姿をぼんやり見てるしかできなかった。
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