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最強職は勇者?いいえ、武器職人です

てるてる

1章 王国編 8話 初迷宮と奇襲

アース大陸エルシャール王国領、カサハンランド。

王都に最も近い大型商業都市である。

ここでは、成功することを夢見る若手商人や、
新人の冒険者、ベテランの冒険者、何処ぞの
お偉いさん、様々な人間が生活をしている。

エルシャール王国1賑わっている街である。

その理由は何か。迷宮ダンジョンである。

カサハンランドの東西南北には計6個の迷宮ダンジョンがある。

迷宮ダンジョンとは、古の時に造られた、魔物と呼ばれる人の敵が、

出現する一種の地下迷路の様なものである。

ここにいる魔物を狩り、その素材を売り、
生計をたてているものを冒険者という。

つまり、迷宮が近くにある→冒険者が集まる
→商人が集まってくる→都市が活性化→街が発展。
というようにして、
大型商業都市カサハンランドは出来上がった。

その商業都市の東、新人冒険者の狩場として
知られる『魔泣きの迷宮』。

そこに俺たちは、実践訓練をしに来た。

「うへえ、結構遠いじゃねえか。」

みんなが馬車から降り、口々に不満を吐き出す。
が、目の前にある大きな空洞を見て、
目を輝かせ始める。

1部の者は既に俺の無双伝説の始まりだ...
とか日本で聞いていたら完全に
イタイ人と思われる発言を堂々と言っている。

「よし、今から迷宮へ入る!今回の目標階層は
15層だ。」

そう全体に言い、エリティアを先頭に俺たちは
暗い闇の中に足を踏み入れた。

今回の迷宮実践訓練には、俺達勇者と、
第二近衛騎士団が参加している。

騎士団は勇者の周りを松明をもっててらしている。

そう、『勇者の周りを』だ。

つまり、勇者としてみられていない者、
要するに俺の周りに騎士たちはいない。

嫌になってくる。迷宮内の気温が少し下がった。

「ギギッ」

永久に続くかと思われた直進ルートに何かがたち
塞がった。深緑色の肌、背の低い人型、
この世界でゴブリンと呼ばれる、魔物だ。

「ゴブリンだ。アキラ、リン、ツヨシ、カガミ、
ヒカリ。お前たちで仕留めろ。
訓練通りにやれば勝てる。」

言われ、明良達がゴブリンに向かう。

『己が主の呼び出しに応えよ ─聖剣召喚 』

オールエンス全ステータス強化

明良が聖剣を呼び、凛が全員を強化した。

花神はすでにゴブリンに対し弓を構えている。
そして──


花神の矢と共に紅い燐光を纏った岩城が突っ込む。

そこに「『裂光刃!!』」

明良が闇を切り裂く光の刃を
4連続で繰り出し、自身も突撃する。

結界師の光は後ろから結界を張ろうとしていたが、
この世界の人間の最高値並のステータスをもつ
奴らの攻撃を真正面から受けたゴブリンが
反撃できるはずも無く、光の出番のないまま
戦闘は終わった。

ステータス差に任せた一方的な攻撃。

明らかなオーバーキル。

これが、第10層まで俺以外の勇者によって行われた。

周りはすっかり浮き足だち、迷宮というよりも
観光しているような雰囲気が出始めている。

そして、そのざわついた空気に何も言わない
騎士達と、エリティア。

俺の本能が訴えてくる。何かがおかしいと。

冷や汗が背中をじっとりと濡らす。

俺は今日何度目か分からない魔物との接触を機に
こっそりと壁伝いに来た道を戻り始めた。

数m戻ると突然、背中の壁の感覚がなくなり、
転んでしまった。

ポスッ

軽い音だったが、エリティアの耳には届いた様で、

「曲がり角で音がした。確認してきてくれ」

と、指示を出す声が聞こえる。

暗闇の中、コツ、コツという靴音が近ずいて...

松明の光がこちらを照らす直前、脱兎のごとく
逃げ出す。しかし、判断は遅かったようで

「団長!低能だ!逃がした!」

そう、騎士の一人が言ったのが聞こえた。

そこからはとにかく奴らから逃げたくて、
離れたくて必死に走った。

走って、走って、走って、突如現れた
エメラルドグリーンに光る壁面に目を奪われる。

鑑定を使う。

どうやら、天緑鉱と呼ばれる、かなり希少な鉱石
らしい。

これだけ綺麗な鉱石なら鍛冶屋との間で高額の
取引が行われているはずだ。

俺の中の逃げているという感覚は天緑鉱の放つ光に
塗り潰され、甘い蜜に集る虫達のように
天緑鉱に触れようとした途端─

虹の極大レーザーが逃げてきた通路から放たれる。

そのレーザーに対し、咄嗟に
半身になり、騎士剣の刀身で身を隠す。1拍遅れて
直撃したレーザーは凄まじい破壊音を撒き散らし、
通路の奥に消えていった。

今受けたレーザーによって、騎士剣は融解、
レーザーが直撃した体の部位は肉が炭化し、
骨が見えるようになっていた。

激痛が体を走り回り、1歩も動くことができない。

視界が揺らぎ、臓物が絞られ、声を出すことも
満足な思考を保つこともできない。

そこへ、高らかな哄笑と共にクラスメイト達が
レーザーの放たれた方向から現れる。

誰も彼も侮蔑と嘲笑のこもった顔でこちらを
見る。そして、エリティアは、感慨深そうに
クズ共勇者達と俺を交互に見ていた。

「虫カスが!」「さっさと死んどけ」
「ちょーきもいんですけど〜」
色んなクラスメイトの声が聞こえる。

「王国転覆を企てた張本人様、何か言い残した
ことはありますか?」

凛がこちらに問うてくる。
王国転覆...だと...?俺はそんなことを
考えた覚えはない。なのに今、
俺が王国転覆を企てたとみんな思い込んでいる?

胸の奥底が激しく鳴動する。
まさか...いや...本当に...王国は既に...
前まで考えていた仮説が真実味を帯びてくる。

「何も言わないのですね。それでは、
さようなら、勇者の面汚し。」

ああ、凛までもここまで腐ったんだな...
仕方ないか、強大な力は時として使用者を
腐らせる。それと同じか。

そう思っていると、空間に歪みが生じる。
その歪みは徐々に大きくなり、
『界裂』
凛の唱えた魔法名をトリガーに、
大気中のマナは空気を揺らす大激震の礎となり、
俺の周囲を丸ごと押しつぶす。

大型トランプに挟み込まれたような質量で
圧され、自分の体が潰れていく感覚を感じながら、
元の世界に残してきた穂泉のこれからの
幸せを願った。

そして───



グシャ ベリっ ゴキッ ビシャ 
様々な、命を失う音をたてながら、
俺の体は落下する。





深く、深く...







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