1分の時があれば

TOMO_music

悩みと遅刻

「学校遅刻するの初めて!」
すずは何故か楽しそうに喋る。僕はほぼ毎日遅刻していて大変なのに。無言で足を進める。
「どうしたの?元気ないね。なんかあった?」
やはりだ、こいつは本当に人の話を聞かない。すずは前から人の話を聞かずに行動する癖がある。それが吉と出た時もあるが、凶と出た時もある。俺はついさっき、『今日、休むから一人で行って。』と伝えたのにすずは家まで来て、僕を無理やり家から出し、本当に話を聞いていない。
「お前のせいだよ。」
ボソッと言うと、それがすずに聞こえていたようだった。そして、楽しそうな顔つきから真剣な顔つきに変わっていった。
「何が?」
しまった、どうごまかそう。そこまで良くない頭で真剣に考える。一つ思いついた時だった。
「私さ、昔から空気読めなくって周りとは上手くやれてなくてさ。高校に入ってからは自分を変えようと思ってたんだ。ま、亮には関係ないよね。」
初めて知った。すずがそんな事を言っているところは見たことがない。
「いや、変えられる。すずなら出来ると思う。」
僕は何も根拠がないままその言葉を発していた。
「えっ。なんか以外、亮がそんな事を言ってくれるなんて。ありがと。」
やはり、一言余計だ。でも、そんなすずだからこそ、出来る。そんな事を思っている間に、学校についた。「着いたね。先生に怒られるかな。遅刻。」
「怒られるだろうな。」
そう僕は言って、深呼吸して胸を張って、教室に入る。
「亮!お前は今日も遅刻か!それに、すずまで、お前はどうした!」
うちの担任の南山が怒鳴る。南山は数学担当だ。いつも、細かいところまで怒鳴ってくる。ここはもう中学ではないのに、少しは高校生らしく扱ってほしいものだ。
「すみません。私が亮を誘って一緒に登校していて、わざと遠回りして来ました。私が悪いです。」
いや、待て、お前嘘ついてるだろ。遅刻は両方悪いのに、なぜお前はなぜそんなに、自分が悪いようにする?
「今日はありがと。」
そう小声で話しかけられた。僕は意味が分からなかった。

コメント

  • 来亜子

    これからの展開が楽しみ!

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