夢日記

宮一 葉

Daily.1 なぁ、知ってるか?

これはある少年の日記に基づいた話です。

10月22日
「なぁ、夢日記って知ってるか?」
休み時間、ぼーっと窓の外を眺めていると急に後ろから声をかけられる。
「急に声かけんなよ」
不機嫌丸出しの顔で振り向くと、俊二がなにやら興味深いものを見つけた子供のような顔をして立っていた。
「夢日記だよ。知らねーの?」
「なにそれ」
「やっぱ知らねーか!教えて欲しいか?」
早く喋りたいのか勿体ぶりたいのかよく分からなかったが聞いてほしそうにはしてたので一応聞いてみる。
「教えてください」
思いの外棒読みになってしまったが俊二は気にしてないようで、
「仕方ねーなぁー」
と満足気に顔を寄せてくる。
「あのな、夢日記ってのはその日見た夢を起きたらすぐにノートにメモするんだよ。」
「は?夢を?」
「あぁ、初めは単語でいい。続けると段々かける量も長くなってくんだけど、そしたらな」
「そしたら?」
「夢の内容操れるようになるらしいぜ」
「そんな馬鹿な話あるかよ」
「ホントなんだって~!」
馬鹿みたいに大きな手振りをする俊二。
「明晰夢って言ってな、夢の中でこれは夢だって認識出来るようになってな、そしたらもう何でもし放題じゃねーか!」
「そんな日記書いてるだけで、んなこと出来るわけねーだろ」
「出来るんだって!出来るらしいんだって」
とにかく夢日記について暑く語り、進めてくる俊二。
「な?とにかくやってみよーぜ」
「んーまぁ、書くだけだろ?」

まぁ、夢についてメモするだけだし。
っていうことで今日から日常を記す日記に加えて夢日記を並行して書くことにした。

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