Piece full Story 【Season1】

ノベルバユーザー394866

#06 キッドの憂鬱

「へぇ…俺とやろうってのかい?ニイちゃん」

キッドはかかとを少し浮かし、戦闘態勢に移った。

「何処の馬の骨かは知らんが、俺の邪魔をした以上には…消えてもらう!!」

最後の言葉と同時に突きの突進を仕掛けてきた。

「アキ・オリジナル・カカトオトシ!!」

キッドは突き出された槍を地面に踏みつけ、体をひねらせ、兵士の後ろへ回り込んだ。

「鉄の鎧には雷がよく通りそうだな!魔法柱状化チェルム雷魔法ライン四連発動スーン!!!」

キッドが繰り出したレーザー状の雷攻撃は、全て命中したが兵士は微動だにしなかった。

「驚いたぞ、こんな辺境の地にこれほど魔術が使える者がいたとはな…褒めてやる」

「ひぃっえぇ!?全然効いてないぞ!?」

「そうだな全然聞いてないな…」

兵士が隙を見て瞬く間に距離を詰め、槍を振り下ろそうとしたその時。

「アキさ〜ん!!ただいま戻りました!!!」

浮遊するカメラが綺麗に鞣された原木を大量に担いで戻ってきた。

何を言っているか分からないと思うだろうが、カメラ・・・が丸太を担いでこちらへ向かってきていた…その通りの光景だ。

「なんなんだあれは?魔力を一切感じないぞ?どうやって動いているのだ?」

それを見た兵士も、驚きの表情だった。

「隙あり!!」

隙を見たキッドはすかさず回し蹴りを繰り出す。

「くぁwせdrft!!」

見事命中し、兵士は思わず変な声を出した。

「ふぃー!ひとまず脅威は無くなったかな?あ、そうだシーラ、あっちの方かなり強い魔獣たくさんいたはずだったんだけど…大丈夫たった?」

「えぇ、それらしき獣が何匹かいましたね、生態系を破壊しないように彼らの苦手な音を分析し、追い払いましたけど」

キッドは唐突に閃いたようなあいずちを打った

「音!なるほど、その手があったか!」

「どうかしましたか?」

「いや、最近…俺の主食のキノコの栽培所あんだけど、それがコウモリにムシャムシャ食べられちまうんだ…どうにかして追い払おうとちょうど考えてたところだったんだ」

「コウモリですか…ここの地域はどうかわかりませんが、どれだけ苦手な音を発生させてもそのうち耳が慣れてしまうんです。コウモリ避けにオススメなのは虫が集りやすい紫外線が殆ど出ない発光ダイオード、LEDライトが効果的です」

キッドは話の後半から混乱している様子だ。

「ごめん、日本語喋って?」

そのキッドのセリフでシーラは驚愕した。

そう、ここは地球では無い他の惑星なのだ。

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