キリストにAI開発してもらったら、月が地球に落ちてきて人類滅亡の大ピンチ! 前代未聞、いまだかつてない物語があなたの人生すら変えてしまう ~ヴィーナシアンの花嫁~
27.セクハラ女神
翌日、由香ちゃんが初出社した。
白いシャツにグレーのスーツで現れた。
あー、私服でいいというのを伝え忘れていた、ゴメン。
まずはネットで拾ってきたインターンの契約書を見せて内容を確認してもらった。
時給は1000円、交通費別だけど、徒歩圏なので無し。
次にうちの会社の説明をする。
深層後継者計画の内容を説明すると狂人扱いされかねないし、下手したら警察に駆け込まれてしまう。
あくまでも「太陽興産の子会社でAIの開発をしている」とだけ伝えてバックオフィス業務をお願いした。
美奈ちゃんも出社したので、具体的な業務内容の指示は美奈ちゃんに任せて俺は自分の机に戻った。
「先輩! ちがうわよ~! ココ押してココ!」
にぎやかな声が聞こえてくる……大丈夫かな?
「はい、押します~。で、ここに経費の数字を入れればいいのね?」
「そうだけど……。違う違う、そこは軽減税率で入れないとダメよ!」
「軽減税率?」
「消費税には8%と10%があるの!」
「え~……」
なんだか大変そうだ。ごめんね。
お昼になったのでみんなと一緒に由香ちゃんをランチに誘ってみる。
近所のイタリアンで入社歓迎ランチだ。
俺はマルゲリータピザを頼み、由香ちゃんはたらこパスタ、皆思い思いの物を注文する。
「由香ちゃん、業務の内容は分かったかな?」
「はい、概要はなんとか……」
「経理は単純な仕訳を扱っているうちは良いんだけど、いつか数字が合わない時がやってくるんだ」
「え? そんな事あるんですか?」
「社会保険料が事前に計算してた値と違うとか、消費税の税率が違うとか些細な理由で数字はすぐ変わっちゃうんだ」
「その原因を追究して修正が大事って事ですね」
「そう、でもどこまでやっても原因が分からない事があるんだ」
「え? 何で?」
「それがリアルな社会であり、会計の現場って事だよ。社会は常に理不尽なのだ」
「そ、そうなんですね……」
由香ちゃんは不安そうに下を向く。
「理不尽に対してポジティブに前向きに笑顔で周りの助けを借りながら、乗り越えていくのが社会人なんだよ」
「勉強になります……。太陽興産もそう言う所を見るんですね?」
「うーん、良く分からないけど社会人適正という意味で言うとそうなんじゃないかな?」
「頑張ってみます」
そう言って由香ちゃんは両手でこぶしを握って見せる。
由香ちゃんは素直だから大丈夫そうかな……。
「ピザはあっちね、たらこはここ!」
美奈ちゃんがウェイトレスに、持ってきた料理の置き場所を指示している。
「先輩はインターンなんだから気楽にやってて大丈夫よ」
美奈ちゃんはそう言いながらアラビアータをフォークでクルクル巻く。
「気楽って言われても……。就職もかかってるのに……」
「手抜きはダメよ! でも、楽しみながらやらないといい仕事にならないのよ」
「そう言うものかなぁ」
たらこパスタをつつきながら由香ちゃんは悩むので、俺もピザをつまみながら、
「パーフェクトを目指して肩に力はいると良くないんだよ」
と、言った。
「確かにできる事しかできないですしね」
「そうそう」
と、やり取りをしながら気が付いたんだが、美奈ちゃんはまだ20歳の大学生のはず。それなのに今まで簡単じゃない事務処理を一人で難なくこなしてきてる。
これは普通出来る事じゃない。
ずば抜けた美人なのに能力も高い、実はとんでもない大物なのかもしれない。
「そう言えば美奈ちゃんは、なんでそんなに卒なく仕事できるんだ? 何かやってたの?」
「うふふ、秘密で~す!」
そう言って小悪魔風に笑った。
美奈ちゃんの笑顔を見るとなんだか魔法がかかった様にドキッとする。これは一体何なんだろう……?
「美奈ちゃんはミスコンとか出ないの? 出たら優勝できそうだよね」
「ふふふ、当然声はかかるわよ、でも絶対出ないわ」
「え? なんで?」
「ああいうのは女子アナになりたいような人が出るのよ。普通の人は目立ったら損しかないわ」
そう言い切る。そういうものなのか。
由香ちゃんは
「美奈ちゃんはすごいなぁ、私は声なんかかけられたことなんてないわ……」
「うーん、俺は由香ちゃん相当かわいいと思うよ。ただ、美奈ちゃんにはなんだか芸能人的なオーラを感じるんだよね」
「分かる気がします。女の私でもドキッとしちゃう時ありますもん……」
「何言ってんの先輩! こんなケシカランもの持ってるくせに!」
そう言って美奈ちゃんはいきなり由香ちゃんの豊満な胸をむんずと掴んだ。
「キャッ! 美奈ちゃん何するの!?」
由香ちゃんは驚いて体をよじる。
俺も驚いて、
「おいおい、美奈ちゃん! セクハラはダメ! 昭和のオッサンじゃないんだからさ~!」
「あら、誠さん、私の胸と先輩の胸、どっちがいいのよ?」
え? どっち?……そんな事言われてつい目で確認しちゃったじゃないか。
「ダメダメ! うちはそういう会社じゃないんだよ!」
俺は目を瞑って話題を切ろうとした。
「ごまかしてるぅ~」
「そもそも胸なんて単純な大きさだけでは何とも言えないものなの!」
「あら? じゃ、何で決まるのよ?」
「いや、それは……」
こんな所で言える訳がない。
「ともかく! 今日は由香ちゃんの歓迎会なんだから、由香ちゃん動揺させちゃダメだろ!」
「このくらいいいわよねぇ? 先輩?」
「いや、ちょっと、セクハラはダメです……」
「あら、ノリが悪いわねぇ」
「はいはい! この話はこれでおしまい! そろそろ帰るよ!」
俺は強引に場を締めてランチ会はお開きとなった。
帰り際、由香ちゃんが小さな声で聞いてきた。
「さっきの話ですけど……美奈ちゃん、会社ではいつもああなんですか?」
「いやいや、あんなの初めてだよ。多分新しい女性が入ってきて本能的に由香ちゃんをライバル視してるんじゃないかな?」
「ライバル視? 美奈ちゃんが?」
「由香ちゃんは可愛いからね、ちょっと妬いてる部分があるんだよ」
「可愛いだなんて……そんな……」
そう言って顔を赤くしてうつむいた。
美奈ちゃんが突っ込んでくる。
「あら、誠さん、先輩口説いているの?」
「違うよ、うちの取締役がセクハラしてくるという重大問題について対策を話し合ってるのさ」
「なるほど、私をネタにして口説いてるのね!」
「ん~、まぁそう言う面があるのは否定はしないが、由香ちゃんは大切なインターン生だからケアはしっかりとしないとね」
「ふぅ~ん、私の事は口説いてくれないのにね」
またまた、その気もないのに美奈ちゃんは悪女だな~。
「美奈ちゃんは猫みたいだから、俺の彼女になんて満足しなさそうなんだよな。すぐにどこか行っちゃいそう」
「猫!? ペットに例えないで欲しいわ!」
キッとこちらを睨む美奈ちゃん
「え? じゃあ例えるなら何?」
「女神よ、女神! 恋多き自由な女神!」
そう言って、歩道脇にあった石のオブジェにぴょんと飛び乗ると、指先で優美な弧を描きながら腕を振り上げた。
実に優雅である。こういうの、様になるよな。
と、思ったら、どこからともなく青い蝶がやってきて、美奈ちゃんの振り上げた指先に留まった。
え!? ナニコレ!?
俺が驚いていると美奈ちゃんは当たり前だと言わんばかりに、指をくるりと回して蝶を空に放った。
青い蝶は美奈ちゃんをクルっと一周するとどこまでも空高く飛んで行った。
俺は唖然としてしまった。
そんなポカンとしている俺に にこやかに微笑みかける美奈ちゃん。
「こ、これは失礼しました、女神様」
「そうよ! 猫じゃなくて女神なんだからぁ!」
美奈ちゃんはそう言いながら、腰に手を当てて得意げな顔でポーズを決めた。
白いシャツにグレーのスーツで現れた。
あー、私服でいいというのを伝え忘れていた、ゴメン。
まずはネットで拾ってきたインターンの契約書を見せて内容を確認してもらった。
時給は1000円、交通費別だけど、徒歩圏なので無し。
次にうちの会社の説明をする。
深層後継者計画の内容を説明すると狂人扱いされかねないし、下手したら警察に駆け込まれてしまう。
あくまでも「太陽興産の子会社でAIの開発をしている」とだけ伝えてバックオフィス業務をお願いした。
美奈ちゃんも出社したので、具体的な業務内容の指示は美奈ちゃんに任せて俺は自分の机に戻った。
「先輩! ちがうわよ~! ココ押してココ!」
にぎやかな声が聞こえてくる……大丈夫かな?
「はい、押します~。で、ここに経費の数字を入れればいいのね?」
「そうだけど……。違う違う、そこは軽減税率で入れないとダメよ!」
「軽減税率?」
「消費税には8%と10%があるの!」
「え~……」
なんだか大変そうだ。ごめんね。
お昼になったのでみんなと一緒に由香ちゃんをランチに誘ってみる。
近所のイタリアンで入社歓迎ランチだ。
俺はマルゲリータピザを頼み、由香ちゃんはたらこパスタ、皆思い思いの物を注文する。
「由香ちゃん、業務の内容は分かったかな?」
「はい、概要はなんとか……」
「経理は単純な仕訳を扱っているうちは良いんだけど、いつか数字が合わない時がやってくるんだ」
「え? そんな事あるんですか?」
「社会保険料が事前に計算してた値と違うとか、消費税の税率が違うとか些細な理由で数字はすぐ変わっちゃうんだ」
「その原因を追究して修正が大事って事ですね」
「そう、でもどこまでやっても原因が分からない事があるんだ」
「え? 何で?」
「それがリアルな社会であり、会計の現場って事だよ。社会は常に理不尽なのだ」
「そ、そうなんですね……」
由香ちゃんは不安そうに下を向く。
「理不尽に対してポジティブに前向きに笑顔で周りの助けを借りながら、乗り越えていくのが社会人なんだよ」
「勉強になります……。太陽興産もそう言う所を見るんですね?」
「うーん、良く分からないけど社会人適正という意味で言うとそうなんじゃないかな?」
「頑張ってみます」
そう言って由香ちゃんは両手でこぶしを握って見せる。
由香ちゃんは素直だから大丈夫そうかな……。
「ピザはあっちね、たらこはここ!」
美奈ちゃんがウェイトレスに、持ってきた料理の置き場所を指示している。
「先輩はインターンなんだから気楽にやってて大丈夫よ」
美奈ちゃんはそう言いながらアラビアータをフォークでクルクル巻く。
「気楽って言われても……。就職もかかってるのに……」
「手抜きはダメよ! でも、楽しみながらやらないといい仕事にならないのよ」
「そう言うものかなぁ」
たらこパスタをつつきながら由香ちゃんは悩むので、俺もピザをつまみながら、
「パーフェクトを目指して肩に力はいると良くないんだよ」
と、言った。
「確かにできる事しかできないですしね」
「そうそう」
と、やり取りをしながら気が付いたんだが、美奈ちゃんはまだ20歳の大学生のはず。それなのに今まで簡単じゃない事務処理を一人で難なくこなしてきてる。
これは普通出来る事じゃない。
ずば抜けた美人なのに能力も高い、実はとんでもない大物なのかもしれない。
「そう言えば美奈ちゃんは、なんでそんなに卒なく仕事できるんだ? 何かやってたの?」
「うふふ、秘密で~す!」
そう言って小悪魔風に笑った。
美奈ちゃんの笑顔を見るとなんだか魔法がかかった様にドキッとする。これは一体何なんだろう……?
「美奈ちゃんはミスコンとか出ないの? 出たら優勝できそうだよね」
「ふふふ、当然声はかかるわよ、でも絶対出ないわ」
「え? なんで?」
「ああいうのは女子アナになりたいような人が出るのよ。普通の人は目立ったら損しかないわ」
そう言い切る。そういうものなのか。
由香ちゃんは
「美奈ちゃんはすごいなぁ、私は声なんかかけられたことなんてないわ……」
「うーん、俺は由香ちゃん相当かわいいと思うよ。ただ、美奈ちゃんにはなんだか芸能人的なオーラを感じるんだよね」
「分かる気がします。女の私でもドキッとしちゃう時ありますもん……」
「何言ってんの先輩! こんなケシカランもの持ってるくせに!」
そう言って美奈ちゃんはいきなり由香ちゃんの豊満な胸をむんずと掴んだ。
「キャッ! 美奈ちゃん何するの!?」
由香ちゃんは驚いて体をよじる。
俺も驚いて、
「おいおい、美奈ちゃん! セクハラはダメ! 昭和のオッサンじゃないんだからさ~!」
「あら、誠さん、私の胸と先輩の胸、どっちがいいのよ?」
え? どっち?……そんな事言われてつい目で確認しちゃったじゃないか。
「ダメダメ! うちはそういう会社じゃないんだよ!」
俺は目を瞑って話題を切ろうとした。
「ごまかしてるぅ~」
「そもそも胸なんて単純な大きさだけでは何とも言えないものなの!」
「あら? じゃ、何で決まるのよ?」
「いや、それは……」
こんな所で言える訳がない。
「ともかく! 今日は由香ちゃんの歓迎会なんだから、由香ちゃん動揺させちゃダメだろ!」
「このくらいいいわよねぇ? 先輩?」
「いや、ちょっと、セクハラはダメです……」
「あら、ノリが悪いわねぇ」
「はいはい! この話はこれでおしまい! そろそろ帰るよ!」
俺は強引に場を締めてランチ会はお開きとなった。
帰り際、由香ちゃんが小さな声で聞いてきた。
「さっきの話ですけど……美奈ちゃん、会社ではいつもああなんですか?」
「いやいや、あんなの初めてだよ。多分新しい女性が入ってきて本能的に由香ちゃんをライバル視してるんじゃないかな?」
「ライバル視? 美奈ちゃんが?」
「由香ちゃんは可愛いからね、ちょっと妬いてる部分があるんだよ」
「可愛いだなんて……そんな……」
そう言って顔を赤くしてうつむいた。
美奈ちゃんが突っ込んでくる。
「あら、誠さん、先輩口説いているの?」
「違うよ、うちの取締役がセクハラしてくるという重大問題について対策を話し合ってるのさ」
「なるほど、私をネタにして口説いてるのね!」
「ん~、まぁそう言う面があるのは否定はしないが、由香ちゃんは大切なインターン生だからケアはしっかりとしないとね」
「ふぅ~ん、私の事は口説いてくれないのにね」
またまた、その気もないのに美奈ちゃんは悪女だな~。
「美奈ちゃんは猫みたいだから、俺の彼女になんて満足しなさそうなんだよな。すぐにどこか行っちゃいそう」
「猫!? ペットに例えないで欲しいわ!」
キッとこちらを睨む美奈ちゃん
「え? じゃあ例えるなら何?」
「女神よ、女神! 恋多き自由な女神!」
そう言って、歩道脇にあった石のオブジェにぴょんと飛び乗ると、指先で優美な弧を描きながら腕を振り上げた。
実に優雅である。こういうの、様になるよな。
と、思ったら、どこからともなく青い蝶がやってきて、美奈ちゃんの振り上げた指先に留まった。
え!? ナニコレ!?
俺が驚いていると美奈ちゃんは当たり前だと言わんばかりに、指をくるりと回して蝶を空に放った。
青い蝶は美奈ちゃんをクルっと一周するとどこまでも空高く飛んで行った。
俺は唖然としてしまった。
そんなポカンとしている俺に にこやかに微笑みかける美奈ちゃん。
「こ、これは失礼しました、女神様」
「そうよ! 猫じゃなくて女神なんだからぁ!」
美奈ちゃんはそう言いながら、腰に手を当てて得意げな顔でポーズを決めた。
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