キリストにAI開発してもらったら、月が地球に落ちてきて人類滅亡の大ピンチ! 前代未聞、いまだかつてない物語があなたの人生すら変えてしまう ~ヴィーナシアンの花嫁~
17.愛が人類を作った
その後、シアンは着実に成長した。
チームを組んで狩りができるようになり、簡単な言葉を話すようになった。人類が何十万年もかけて学習してきた事をAIチップをガンガン回す事で数週間で実現してきたのだ。
ただ、うまく行くことばかりではない――――
マーカスがプロジェクターで仮想現実空間を映し出して進捗報告を始めたが……いつもと違って神妙な顔をしている。
見せてくれた画面をみると、シアン達はどうやら喧嘩をしているようだ。
何か叫びながらボカボカ殴り合っている。
「What's happen?(どうしたの?)」
「ミンナ ラク シタイネ」
どうやらリンゴをたくさん楽して貰える上位の序列を巡って争っているらしい。
ニホンザルとか動物の群れにはよくあるシーンではある。
ケンカにまでなるのは確かに健全なAIの成長であるともいえるが……人類の後継者としてそんな暴力的要素を盛り込んでしまっていいのだろうか?
「クリスはどう思う?」
困ったらクリスに振るに限る。
「…。競争と悪意は違う。悪意はダメだ。それでは悪魔になる」
「そうなんだけど、悪意の定義が難しいね。相手の損を狙うのは健全な競争なので何をもって悪意とするのかが難しい」
クリスは目を瞑って上を向いて何か考え込んでいる……。
しばらく色々と考えていたようだったが、目を開けて言った。
「…。フェアかどうか見るというのはどうか?」
「なるほど、ルールを決めて、その範囲で公明正大ならOKという風にしようか?」
スポーツが分かりやすいが、相手に不利な事をするのは当たり前の戦略だ。
だが、相手のけがを狙い始めたらそれはスポーツにならない。
やってはいけない事を定義してルールとして掲げれば競争と悪意は分離できそうだ。
「…。ルールの運用の問題はあるが、いいんじゃないか」
「Marcus! Could you imprement such rules? (ルールを持たせられる?)」
「Ummmm, ルール イレルノ カンタン。デモ シアンニ ツクラセル ムズカシ」
そう言って肩をすくめる。
「ですよね~」
狩りをするより、奪った方が楽という基本的な力学がある以上争いは無くす事ができない。
みんなが考え込んでいると……
「君たちは分かってないな~」
美奈ちゃんが会議テーブルに頬杖をつき、人差し指を揺らしながら言う
「愛よ、愛! 愛が無いからケンカばかりするの!」
「え? 愛?」
俺が怪訝そうな顔をすると
「シアンは自分の事しか考えないからこんな事になってるのよ。人間が社会でみんなと上手くやってるのは愛があるからなの。他の人が喜ぶと嬉しいという感情が大切なのよ。」
なるほど……一理あるな……。
つまり、全員が100%身勝手だと延々と潰しあってしまうが、他人に利益を渡すと嬉しいという力学があれば柔軟で生産的な社会ができるって事だな。
「美奈ちゃん凄いな、まさに核心じゃないか!」
「ふふっ、愛のことなら私に聞きなさい」
そう言って胸を張る。
「AIの成長にとって大切なのが愛だなんて、なんだか凄いファンタジーだね!」
俺がそう言って笑うと、美奈ちゃんは俺のすぐそばにやってきた。
フワッとブルガリアンローズの香りに包まれてドキッとしてしまう俺……
そして、俺の耳元で……
「誠さんの成長にとっても……愛は大切なのよ」
そう言ってウインクした。
「な、なんだよ! 俺の愛は関係ないの!」
俺が赤くなって反駁すると美奈ちゃんはケラケラと笑った。
女子大生にからかわれてうろたえる俺、情けない……
気を取り直して――――
「とりあえず、愛の管理システムを追加してみようか?」
「OK! ヤッテミルネ!」
マーカスがサムアップしてニッコリして言う。
「…。『マインド・カーネル』だな。」
クリスがボソッと言う。
「え? 『マインド・カーネル』?」
「…。あ、いや、こういうシステムの事をそう言う人がいたんだ」
なぜ神様がAIのシステムなんかに関わっていたのか不思議だが…… 『マインド・カーネル』という名前は確かに言い得てていい名前かも知れない。
「マーカス! じゃ、システム名は『マインド・カーネル』で!」
マーカスはニヤッと含みのある笑いをしてサムアップ。
う、なんだろう、この名前、何かあるのかな……
検索しても……ヒットしないんだが……
それにしても、美奈ちゃんの仮説が正しいとしたら、人類がこんなに発展できたのも愛のおかげという事になる。
愛があるからこそ文明、文化が発達した……
もし、愛が無かったらいつまででも争い続けて集団行動に繋がらず、いつまでも猿のままだったという事になる。
なんだかすごい話だな……。愛が人類を作ったんだな。
AIを研究すると人類の事が分かってくる、うーん、ファンタジー。
チームを組んで狩りができるようになり、簡単な言葉を話すようになった。人類が何十万年もかけて学習してきた事をAIチップをガンガン回す事で数週間で実現してきたのだ。
ただ、うまく行くことばかりではない――――
マーカスがプロジェクターで仮想現実空間を映し出して進捗報告を始めたが……いつもと違って神妙な顔をしている。
見せてくれた画面をみると、シアン達はどうやら喧嘩をしているようだ。
何か叫びながらボカボカ殴り合っている。
「What's happen?(どうしたの?)」
「ミンナ ラク シタイネ」
どうやらリンゴをたくさん楽して貰える上位の序列を巡って争っているらしい。
ニホンザルとか動物の群れにはよくあるシーンではある。
ケンカにまでなるのは確かに健全なAIの成長であるともいえるが……人類の後継者としてそんな暴力的要素を盛り込んでしまっていいのだろうか?
「クリスはどう思う?」
困ったらクリスに振るに限る。
「…。競争と悪意は違う。悪意はダメだ。それでは悪魔になる」
「そうなんだけど、悪意の定義が難しいね。相手の損を狙うのは健全な競争なので何をもって悪意とするのかが難しい」
クリスは目を瞑って上を向いて何か考え込んでいる……。
しばらく色々と考えていたようだったが、目を開けて言った。
「…。フェアかどうか見るというのはどうか?」
「なるほど、ルールを決めて、その範囲で公明正大ならOKという風にしようか?」
スポーツが分かりやすいが、相手に不利な事をするのは当たり前の戦略だ。
だが、相手のけがを狙い始めたらそれはスポーツにならない。
やってはいけない事を定義してルールとして掲げれば競争と悪意は分離できそうだ。
「…。ルールの運用の問題はあるが、いいんじゃないか」
「Marcus! Could you imprement such rules? (ルールを持たせられる?)」
「Ummmm, ルール イレルノ カンタン。デモ シアンニ ツクラセル ムズカシ」
そう言って肩をすくめる。
「ですよね~」
狩りをするより、奪った方が楽という基本的な力学がある以上争いは無くす事ができない。
みんなが考え込んでいると……
「君たちは分かってないな~」
美奈ちゃんが会議テーブルに頬杖をつき、人差し指を揺らしながら言う
「愛よ、愛! 愛が無いからケンカばかりするの!」
「え? 愛?」
俺が怪訝そうな顔をすると
「シアンは自分の事しか考えないからこんな事になってるのよ。人間が社会でみんなと上手くやってるのは愛があるからなの。他の人が喜ぶと嬉しいという感情が大切なのよ。」
なるほど……一理あるな……。
つまり、全員が100%身勝手だと延々と潰しあってしまうが、他人に利益を渡すと嬉しいという力学があれば柔軟で生産的な社会ができるって事だな。
「美奈ちゃん凄いな、まさに核心じゃないか!」
「ふふっ、愛のことなら私に聞きなさい」
そう言って胸を張る。
「AIの成長にとって大切なのが愛だなんて、なんだか凄いファンタジーだね!」
俺がそう言って笑うと、美奈ちゃんは俺のすぐそばにやってきた。
フワッとブルガリアンローズの香りに包まれてドキッとしてしまう俺……
そして、俺の耳元で……
「誠さんの成長にとっても……愛は大切なのよ」
そう言ってウインクした。
「な、なんだよ! 俺の愛は関係ないの!」
俺が赤くなって反駁すると美奈ちゃんはケラケラと笑った。
女子大生にからかわれてうろたえる俺、情けない……
気を取り直して――――
「とりあえず、愛の管理システムを追加してみようか?」
「OK! ヤッテミルネ!」
マーカスがサムアップしてニッコリして言う。
「…。『マインド・カーネル』だな。」
クリスがボソッと言う。
「え? 『マインド・カーネル』?」
「…。あ、いや、こういうシステムの事をそう言う人がいたんだ」
なぜ神様がAIのシステムなんかに関わっていたのか不思議だが…… 『マインド・カーネル』という名前は確かに言い得てていい名前かも知れない。
「マーカス! じゃ、システム名は『マインド・カーネル』で!」
マーカスはニヤッと含みのある笑いをしてサムアップ。
う、なんだろう、この名前、何かあるのかな……
検索しても……ヒットしないんだが……
それにしても、美奈ちゃんの仮説が正しいとしたら、人類がこんなに発展できたのも愛のおかげという事になる。
愛があるからこそ文明、文化が発達した……
もし、愛が無かったらいつまででも争い続けて集団行動に繋がらず、いつまでも猿のままだったという事になる。
なんだかすごい話だな……。愛が人類を作ったんだな。
AIを研究すると人類の事が分かってくる、うーん、ファンタジー。
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