♗CHECK♝
第8話 ご当地アイドル
もうすぐで稽古場に着く直前のことだった。シロは一つ用事を思い出した。
「あっそうだ!町に行く用事あるの忘れてた!カンナちゃん先に帰っててよ。」
「そう・・・じゃあ私も行く・・・シロ放っておいたら稽古サボりそうだから・・・」
「信用ないなぁ。まぁ、別にかまわないけど」
道場から少し歩いた先に城下町がある。この辺りに住む人は基本的にこの町で暮らしている。一応東西南北に大きな門があるけど今は中立であることを宣言してから門を閉じることは少ない。
「ボクは鍛冶屋に用があるからカンナちゃんも用事あるなら先に済ませておいでよ」
「大丈夫・・・用事はないからシロについて行く・・・」
「本当に監視のためだけに来たんだね・・・」
町に着いて少し歩いたところに鍛冶屋がある。
「私は外で待つわ・・・あの人は少し苦手だから・・・」
「そう?まぁ、すぐに戻ってくるから少し待ってて」
そう言ってシロは鍛冶屋の中に入った。中にはたくさんの刀それにこの辺では珍しい異国の武器もずらっと並んでいる。中には1人の大男がどっしり構えていた。
「いらっしゃい!ってなんだシロか、ずいぶん来るのが遅いじゃねぇか。頼まれてた物は随分前に完成してるぞ」
この人はこの店の主人の虎鉄さん。この町では1番の鍛治職人。
「ボクは学生だからこの時間に来るのが当たり前なんだよ。それにしても仕事が早いね」
「サボりの常習犯がよく言うぜ、それに今回の依頼なんて鍛冶屋の仕事じゃねぇぞ。ホラ、頼まれた以上はしっかりやったがな、ははは」
シロは依頼していた物を受け取った。
「ありがとう!確かに受け取ったよ。それにボクの知ってる中でこんなの作れるのなんて虎鉄さんくらいしかいないからね」
「そんなよそよそしく呼ぶんじゃねぇよ、いつも言ってるじゃねえか。虎鉄でいいんだよ虎鉄で」
「ボクは尊敬する人には敬意を払うようにしてるんだよ。だからこれまでもこれからも虎鉄さんは虎鉄さんだよ」
「お前さんがそう言うならそれでもかまわんがよぉ、それよりそろそろ帰った方がいいんじゃねえのか?稽古あるんだろ」
「そうだね、じゃあそろそろ帰るよ。また来るよ虎鉄さん」
「いけねぇ、言い忘れてことがあったんだった!」
「何?」
「最近俺を含めた鍛冶屋の連中に極秘裏に武器の注文が殺到してるんだよ、それも客先は『神鹿城』。奴さん何か始める気かもしんねぇな。お前さんも変なことに関わるんじゃねーぞ」
神鹿城とは、ここ『奈の里』一帯を取り仕切る城のことで最大の特徴は天守閣に君臨している『神鹿』。神鹿とは奈の里の言い伝えで出てくる2匹の鹿の神で1匹は白もう1匹は黒い鹿だったとされている。黒い鹿は『破壊』、白い鹿は『再生』の象徴とされている。
「それはおかしな話だね、ここ奈の里はこのご時世じゃ珍しい数少ない中立でしょ。それなのに大量の武器を集めるとすると・・・」
シロの話を遮るように虎鉄が割り込む。
「おいおい、その先は聞きたくないぜ。やっと最近になって争いも落ち着いたんだ。武器屋の俺が言うのもなんだが、平和な今が一番幸せなんだ。武器は身を守るためであって人を殺す道具にしてほしくないんだよ。」
「そうだよね・・・でも武器は人を選べない。」
シロの暗い表情と共に重い空気が流れる。また何かを思い出した虎鉄が口を開く。
「そういや最近この辺りの魔物が激減してきてるらしいんだ。それもBランク相当の魔物ばかりだ。きっと城の連中が動いてるに違えねぇ!武器を集めてるのもそのためだ」
「Bランクか・・・」
「おっといけねぇお前さんには苦い思い出だったな、これはすまねぇ。」
「大丈夫だよ、こっちこそ変な気を遣わせてごめんね虎鉄さん。そろそろ暗くなってくるし失礼させてもらうね」
そう言ってシロは足早に店を後にした。
「遅い・・・」
「すいません」
「稽古に遅れる・・・」
「そうだね、遅れたらまた何言われるか分からないからね、でもそれにしても町の人達をあんまり見ないね、何かあったのかな?」
「あそこ・・・人が集まってる・・・」
「本当だ、ちょっと行ってみようか」
「みんなありがとう!じゃあね〜」
「これからも頑張って行くのでよろしくお願いします!」
子供や大人が数十人集まっていた。
「あれ?真白兄と神無姉じゃん」
聞き覚えのある声だった。この子は鬼灯 檸檬。黄色いポニーテールが特徴の明るい子・・・というより迷惑なくらいわんぱくな女の子。
「本当じゃないですか!なんでこんなところにいるんですか?真白兄様!それに・・・神無さんも一緒だし」
こっちのムスッとしてるピンク色のショートカットの女の子が鬼灯 桜花。いつもはおしとやかだけどボクと話すときはとても積極的に話してくる気がする。ちなみに檸檬と桜花はこう見えても双子。
「デート・・・」
「ななな、何ですってぇ〜」
「カンナちゃんややこしくなるからやめて」
どうやらカンナちゃんは桜花をからかうのが好きだしい。
「ちょっと用事があってね、それより2人はなんでここにいるの?」
「別に真白兄様には関係ないことです」
「あれ?真白兄知らないの?ウチら『ご当地アイドル』の活動を!」
「ご当地・・・アイドル・・・だと?」
神無が2人に尋ねる。
「それより・・・2人ともあんまり見かけないけどちゃんと稽古してる?」
「ぎくっ!」
少し桜花が動揺したように見えたけど。
「それなら大丈夫だぜ真白兄!なんたってうちらは鬼・・・」
檸檬が鼻高々に話出すのを桜花が必死に抑える。なにやら2人でこそこそと話しているみたいだ。
「その話は真白兄様の前ではしない約束でしょ!」
「そうだった!危ない危ない」
2人は相変わらず慌てた様子だった。
「えっええ、ちゃんと稽古はしてますよ。今日だってちゃんとするんですから。」
「そう?それならいいけど」
「そういうシロもほとんど出てない・・・」
「妹達の前でそういうこと言わないでよ、ダメなお兄ちゃんだと思われるじゃん」
「もう手遅れ・・・」
3人が冷たい視線を送っていた。
「あっそうだ!町に行く用事あるの忘れてた!カンナちゃん先に帰っててよ。」
「そう・・・じゃあ私も行く・・・シロ放っておいたら稽古サボりそうだから・・・」
「信用ないなぁ。まぁ、別にかまわないけど」
道場から少し歩いた先に城下町がある。この辺りに住む人は基本的にこの町で暮らしている。一応東西南北に大きな門があるけど今は中立であることを宣言してから門を閉じることは少ない。
「ボクは鍛冶屋に用があるからカンナちゃんも用事あるなら先に済ませておいでよ」
「大丈夫・・・用事はないからシロについて行く・・・」
「本当に監視のためだけに来たんだね・・・」
町に着いて少し歩いたところに鍛冶屋がある。
「私は外で待つわ・・・あの人は少し苦手だから・・・」
「そう?まぁ、すぐに戻ってくるから少し待ってて」
そう言ってシロは鍛冶屋の中に入った。中にはたくさんの刀それにこの辺では珍しい異国の武器もずらっと並んでいる。中には1人の大男がどっしり構えていた。
「いらっしゃい!ってなんだシロか、ずいぶん来るのが遅いじゃねぇか。頼まれてた物は随分前に完成してるぞ」
この人はこの店の主人の虎鉄さん。この町では1番の鍛治職人。
「ボクは学生だからこの時間に来るのが当たり前なんだよ。それにしても仕事が早いね」
「サボりの常習犯がよく言うぜ、それに今回の依頼なんて鍛冶屋の仕事じゃねぇぞ。ホラ、頼まれた以上はしっかりやったがな、ははは」
シロは依頼していた物を受け取った。
「ありがとう!確かに受け取ったよ。それにボクの知ってる中でこんなの作れるのなんて虎鉄さんくらいしかいないからね」
「そんなよそよそしく呼ぶんじゃねぇよ、いつも言ってるじゃねえか。虎鉄でいいんだよ虎鉄で」
「ボクは尊敬する人には敬意を払うようにしてるんだよ。だからこれまでもこれからも虎鉄さんは虎鉄さんだよ」
「お前さんがそう言うならそれでもかまわんがよぉ、それよりそろそろ帰った方がいいんじゃねえのか?稽古あるんだろ」
「そうだね、じゃあそろそろ帰るよ。また来るよ虎鉄さん」
「いけねぇ、言い忘れてことがあったんだった!」
「何?」
「最近俺を含めた鍛冶屋の連中に極秘裏に武器の注文が殺到してるんだよ、それも客先は『神鹿城』。奴さん何か始める気かもしんねぇな。お前さんも変なことに関わるんじゃねーぞ」
神鹿城とは、ここ『奈の里』一帯を取り仕切る城のことで最大の特徴は天守閣に君臨している『神鹿』。神鹿とは奈の里の言い伝えで出てくる2匹の鹿の神で1匹は白もう1匹は黒い鹿だったとされている。黒い鹿は『破壊』、白い鹿は『再生』の象徴とされている。
「それはおかしな話だね、ここ奈の里はこのご時世じゃ珍しい数少ない中立でしょ。それなのに大量の武器を集めるとすると・・・」
シロの話を遮るように虎鉄が割り込む。
「おいおい、その先は聞きたくないぜ。やっと最近になって争いも落ち着いたんだ。武器屋の俺が言うのもなんだが、平和な今が一番幸せなんだ。武器は身を守るためであって人を殺す道具にしてほしくないんだよ。」
「そうだよね・・・でも武器は人を選べない。」
シロの暗い表情と共に重い空気が流れる。また何かを思い出した虎鉄が口を開く。
「そういや最近この辺りの魔物が激減してきてるらしいんだ。それもBランク相当の魔物ばかりだ。きっと城の連中が動いてるに違えねぇ!武器を集めてるのもそのためだ」
「Bランクか・・・」
「おっといけねぇお前さんには苦い思い出だったな、これはすまねぇ。」
「大丈夫だよ、こっちこそ変な気を遣わせてごめんね虎鉄さん。そろそろ暗くなってくるし失礼させてもらうね」
そう言ってシロは足早に店を後にした。
「遅い・・・」
「すいません」
「稽古に遅れる・・・」
「そうだね、遅れたらまた何言われるか分からないからね、でもそれにしても町の人達をあんまり見ないね、何かあったのかな?」
「あそこ・・・人が集まってる・・・」
「本当だ、ちょっと行ってみようか」
「みんなありがとう!じゃあね〜」
「これからも頑張って行くのでよろしくお願いします!」
子供や大人が数十人集まっていた。
「あれ?真白兄と神無姉じゃん」
聞き覚えのある声だった。この子は鬼灯 檸檬。黄色いポニーテールが特徴の明るい子・・・というより迷惑なくらいわんぱくな女の子。
「本当じゃないですか!なんでこんなところにいるんですか?真白兄様!それに・・・神無さんも一緒だし」
こっちのムスッとしてるピンク色のショートカットの女の子が鬼灯 桜花。いつもはおしとやかだけどボクと話すときはとても積極的に話してくる気がする。ちなみに檸檬と桜花はこう見えても双子。
「デート・・・」
「ななな、何ですってぇ〜」
「カンナちゃんややこしくなるからやめて」
どうやらカンナちゃんは桜花をからかうのが好きだしい。
「ちょっと用事があってね、それより2人はなんでここにいるの?」
「別に真白兄様には関係ないことです」
「あれ?真白兄知らないの?ウチら『ご当地アイドル』の活動を!」
「ご当地・・・アイドル・・・だと?」
神無が2人に尋ねる。
「それより・・・2人ともあんまり見かけないけどちゃんと稽古してる?」
「ぎくっ!」
少し桜花が動揺したように見えたけど。
「それなら大丈夫だぜ真白兄!なんたってうちらは鬼・・・」
檸檬が鼻高々に話出すのを桜花が必死に抑える。なにやら2人でこそこそと話しているみたいだ。
「その話は真白兄様の前ではしない約束でしょ!」
「そうだった!危ない危ない」
2人は相変わらず慌てた様子だった。
「えっええ、ちゃんと稽古はしてますよ。今日だってちゃんとするんですから。」
「そう?それならいいけど」
「そういうシロもほとんど出てない・・・」
「妹達の前でそういうこと言わないでよ、ダメなお兄ちゃんだと思われるじゃん」
「もう手遅れ・・・」
3人が冷たい視線を送っていた。
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