♗CHECK♝
第3話 秘剣流
ー稽古場ー
「ただいま戻りました・・・」
「おかえり!面倒かけてすまないね」
「いえ・・・あとはお任せします・・・」
そう言って神無は稽古場を後にした。
「それじゃあ予定通りに頼むよ」
「了解っす!」
時間はゆっくりと流れていた。
(一体何があったんだっけ?)
シロが目を覚ました時には辺りは暗くなりつつあった。状況を確認しようとした時だった・・・身動きが取れない。縄で縛られていた。
「やっと起きたのかい?ちょっと昼寝が過ぎるんじゃないのかな?」
優しく語りかける声にシロは動揺を隠せなかった。
「や、やぁ〜ぐ、紅蓮兄さんどうかしたの?」
この人は鬼灯 紅蓮、鬼灯一族の長男であり秘剣流の師範を任されてる凄腕の忍。賢くてかっこよくて優しくてで絵に描いたような完璧人間。
秘剣流は基本的に二刀流だけど最近の紅蓮兄さんは「大刀」と言ってその名の通り大きい刀を一本振り回している姿しか見たことがない。
「また座学も実技もサボってたみたいだね、それに遅刻して実技に来たのはいいものの問題まで起こしてくれたみたいだね。」
「間違ってるような間違っていないような・・・」
「まさか今日の稽古までサボるつもりじゃなかったよね?」
「そっ、それはもちろん!でもクロはなんで出禁なの?」
「ん?聞いてなかったのかい?クロも同じく大暴れしたからだよ。シロ以上にね。まぁ、出禁と言うよりは隔離だね!ははは」
「それはお咎めなしなのね・・・ハァ」
「クロは別にサボってないからね」
シロはまたため息をついた。
「じゃあ今日は罰としてその状態からの稽古だよ。翡翠やっちゃって。」
「紅蓮の兄貴了解っす!そしてシロの兄貴、悪く思わないでくださいっす!」
このうるさい奴は鬼灯 翡翠、緑でうるさい。
ちょっと待ってくださいっすよ!紹介雑じゃないっすかぁ!改めてもう一度!俺は鬼灯 翡翠、この物語の主人公っす!名前の通り緑の髪に知的な眼鏡をかけたイケてる男の子っす!
相棒はこの二本の槍、あまり近接戦は得意じゃないっすけど忍具の扱いには自信がある方なんでそこんとこよろしくっす!
「全然イケてないし、何よりこの物語の主人公はボクだよ陰険メガネ。」
「あれ?縄が解けてるじゃないっすか?」
「縄抜けの術だよ。忍なら基本中の基本でしょ。翡翠は座学からやり直しだね。」
縄抜けの術、忍の使う術つまり忍術の1つでその名の通り縄を抜ける術。忍術とは練りこんだ体力と精神力のバランスによって発生するエネルギー「練気」を用いて発現する現象のこと。
この場合なら練気を縄に流し、縄を緩めてすり抜ける忍術のこと。
「でもまだこっちには武器があるっす!兄貴には武器がないっすよ!」
「翡翠くらいなら武器なんか無しでも余裕だよ、秘剣流体術一ノ型・・・」
シロは翡翠の攻撃を難なく避け、懐に飛び込んだ。
「最初は突き!」
「ぐっ!」
高速の掌底が翡翠を捉えた。だが、翡翠も忍、この程度では倒れない。
「それじゃあ次の攻撃はかわせないよ!」
シロは小さく飛んで回し蹴りを繰り出した。翡翠は両手の武器を放してこれをガードするがあまりの勢いに態勢が崩れた。シロは予測していたかのように次の動きに移る。
「翡翠は秘剣流体術の回避方法もやり直しだね!」
鋭いかかと落としが翡翠の脳天を捉えた。翡翠は気を失ったのか倒れたまま動かない。無理もない、容赦ない一撃が頭部に直撃したのだ。動ける方がおかしい。
「やりすぎ・・・」
神無だった。いつからいたのか全く気づかなかった。一番忍らしいのは彼女かもしれない。
「そこまで!動きに無駄がないね。得意の二刀流なしで翡翠に勝つなんて、今までサボってたとは思えないよ。明日からはもっと厳しくしないとね」
「これからは誠心誠意頑張るのでどうか、どうか御慈悲を」
「少し考えておくよ!ちゃんと明日からは座学に参加するんだよ。」
「う、うん。でも今日は疲れたからもう寝よ」
翡翠を置いたままみんな解散することとなった。
「この程度ではまだ・・・覚醒しない・・・のね・・・」
神無はため息をついた。
「翡翠、起きてる?」
「うっす!」
「あの怠惰なシロが秘剣流の体術を使いこなしているなんてびっくりしたね」
秘剣流の基本は予備動作の少ない突きのモーション。あとは相手の動きに合わせて攻撃を繰り出す攻めの流派。
「あとは力の覚醒だけで・・・いいはずなんだけど、翡翠もう少しどうにかならなかったの?」
「面目ないっす、それにしてもシロの兄貴の動き・・・無駄がなかったっすね。あれは・・・」
「ああ、きっと毎日自分なりに特訓してたんだろうね。秘剣流の体術は並大抵の努力で会得できるもんじゃないからね」
「俺もまだまだっす」
「でも翡翠があの力を使えばこうはならなかったんじゃない?」
「そうかもしれないっすけど、それじゃあ本当の意味でシロの兄貴に勝ったとは言えないっすからね。」
「変なところで真面目だね、翡翠は。せっかく翡翠がやる気になってるみたいだからこれからはもっと厳しく稽古つけていこうかな」
「うげっ、ほどほどにお願いするっす」
「ただいま戻りました・・・」
「おかえり!面倒かけてすまないね」
「いえ・・・あとはお任せします・・・」
そう言って神無は稽古場を後にした。
「それじゃあ予定通りに頼むよ」
「了解っす!」
時間はゆっくりと流れていた。
(一体何があったんだっけ?)
シロが目を覚ました時には辺りは暗くなりつつあった。状況を確認しようとした時だった・・・身動きが取れない。縄で縛られていた。
「やっと起きたのかい?ちょっと昼寝が過ぎるんじゃないのかな?」
優しく語りかける声にシロは動揺を隠せなかった。
「や、やぁ〜ぐ、紅蓮兄さんどうかしたの?」
この人は鬼灯 紅蓮、鬼灯一族の長男であり秘剣流の師範を任されてる凄腕の忍。賢くてかっこよくて優しくてで絵に描いたような完璧人間。
秘剣流は基本的に二刀流だけど最近の紅蓮兄さんは「大刀」と言ってその名の通り大きい刀を一本振り回している姿しか見たことがない。
「また座学も実技もサボってたみたいだね、それに遅刻して実技に来たのはいいものの問題まで起こしてくれたみたいだね。」
「間違ってるような間違っていないような・・・」
「まさか今日の稽古までサボるつもりじゃなかったよね?」
「そっ、それはもちろん!でもクロはなんで出禁なの?」
「ん?聞いてなかったのかい?クロも同じく大暴れしたからだよ。シロ以上にね。まぁ、出禁と言うよりは隔離だね!ははは」
「それはお咎めなしなのね・・・ハァ」
「クロは別にサボってないからね」
シロはまたため息をついた。
「じゃあ今日は罰としてその状態からの稽古だよ。翡翠やっちゃって。」
「紅蓮の兄貴了解っす!そしてシロの兄貴、悪く思わないでくださいっす!」
このうるさい奴は鬼灯 翡翠、緑でうるさい。
ちょっと待ってくださいっすよ!紹介雑じゃないっすかぁ!改めてもう一度!俺は鬼灯 翡翠、この物語の主人公っす!名前の通り緑の髪に知的な眼鏡をかけたイケてる男の子っす!
相棒はこの二本の槍、あまり近接戦は得意じゃないっすけど忍具の扱いには自信がある方なんでそこんとこよろしくっす!
「全然イケてないし、何よりこの物語の主人公はボクだよ陰険メガネ。」
「あれ?縄が解けてるじゃないっすか?」
「縄抜けの術だよ。忍なら基本中の基本でしょ。翡翠は座学からやり直しだね。」
縄抜けの術、忍の使う術つまり忍術の1つでその名の通り縄を抜ける術。忍術とは練りこんだ体力と精神力のバランスによって発生するエネルギー「練気」を用いて発現する現象のこと。
この場合なら練気を縄に流し、縄を緩めてすり抜ける忍術のこと。
「でもまだこっちには武器があるっす!兄貴には武器がないっすよ!」
「翡翠くらいなら武器なんか無しでも余裕だよ、秘剣流体術一ノ型・・・」
シロは翡翠の攻撃を難なく避け、懐に飛び込んだ。
「最初は突き!」
「ぐっ!」
高速の掌底が翡翠を捉えた。だが、翡翠も忍、この程度では倒れない。
「それじゃあ次の攻撃はかわせないよ!」
シロは小さく飛んで回し蹴りを繰り出した。翡翠は両手の武器を放してこれをガードするがあまりの勢いに態勢が崩れた。シロは予測していたかのように次の動きに移る。
「翡翠は秘剣流体術の回避方法もやり直しだね!」
鋭いかかと落としが翡翠の脳天を捉えた。翡翠は気を失ったのか倒れたまま動かない。無理もない、容赦ない一撃が頭部に直撃したのだ。動ける方がおかしい。
「やりすぎ・・・」
神無だった。いつからいたのか全く気づかなかった。一番忍らしいのは彼女かもしれない。
「そこまで!動きに無駄がないね。得意の二刀流なしで翡翠に勝つなんて、今までサボってたとは思えないよ。明日からはもっと厳しくしないとね」
「これからは誠心誠意頑張るのでどうか、どうか御慈悲を」
「少し考えておくよ!ちゃんと明日からは座学に参加するんだよ。」
「う、うん。でも今日は疲れたからもう寝よ」
翡翠を置いたままみんな解散することとなった。
「この程度ではまだ・・・覚醒しない・・・のね・・・」
神無はため息をついた。
「翡翠、起きてる?」
「うっす!」
「あの怠惰なシロが秘剣流の体術を使いこなしているなんてびっくりしたね」
秘剣流の基本は予備動作の少ない突きのモーション。あとは相手の動きに合わせて攻撃を繰り出す攻めの流派。
「あとは力の覚醒だけで・・・いいはずなんだけど、翡翠もう少しどうにかならなかったの?」
「面目ないっす、それにしてもシロの兄貴の動き・・・無駄がなかったっすね。あれは・・・」
「ああ、きっと毎日自分なりに特訓してたんだろうね。秘剣流の体術は並大抵の努力で会得できるもんじゃないからね」
「俺もまだまだっす」
「でも翡翠があの力を使えばこうはならなかったんじゃない?」
「そうかもしれないっすけど、それじゃあ本当の意味でシロの兄貴に勝ったとは言えないっすからね。」
「変なところで真面目だね、翡翠は。せっかく翡翠がやる気になってるみたいだからこれからはもっと厳しく稽古つけていこうかな」
「うげっ、ほどほどにお願いするっす」
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