2人で奏でる異世界デュエット
初LIVE4
大会前日
「なんとか1つになってきたわね」
「そうですね! 私もこの方が弾きやすくて、1つの音楽になってきた感じがします」
「そうだな。 今まで俺誰かと合わせた事とか無かったから気付かなかったけど、相当1人で走ってたろ?」
「正直かなり歌いづらかったかな……」
 エバの言葉に申し訳無さそうな顔になるキッド。
「で、でも、今は歌いやすいよ? 後ろから聴こえてくる皆んなの音に支えられてる感じ」
「そ、それなら良いけどよ」
 嬉しかったのか、今度は少し恥ずかしそうに窓の外を見るキッドであった。
「さーて! いよいよ明日が本番ね! 私達がやってきたこと全部出し切るわよ」
「「「「おー!!!」」」」
 エレナの一言で各々気合を入れたメンバー達。明日の大会へ向けて遅くまで練習するのであった。
 
 場所が変わって、とある演奏室。
「レオ、明日の準備は出来てるか?」
 そう問いかけたのはレオと同じキングダムのボーカルで身長はそこまで大きくなく、少し茶色がかった全く痛みの無い髪を後ろと横だけ刈り上げ、マッシュにしているヒューマンの【神谷 皇】であった。
 「ああコウ。問題無い。むしろ俺らと張り合えるバンドがいるか楽しみだ」
「それもそうだな」
 そう言って余裕のある笑みを浮かべた2人だった。
「ちょっとー、何男2人でニタニタ喜んでるの?」
「男2人で笑ってるの気持ち悪い」
「お前ら俺抜きで何楽しんでんだよ! 俺も混ぜろよ! ヒャッフゥー」
 レオとコウの会話に割り込んできたのは残りのキングダムのメンバーである。上から、キングダムのハープ担当で身長は女子の平均といったところで、エメラルドグリーンのパーマがかかったショートヘアーからエルフ特有の尖った耳が見える【ウィン=マリノ】
 続いてキングダムもう1枠のギターを担当している女子の中では割と高身長の透き通ったピンク色のロングヘアーからドラゴンの角を覗かせている【グラン=ローズ】
 最後はキングダムのDJ担当の身長は男子にしては小さいが、かなりガタイの良いブロンドの髪を短く整えキャップを被ったドワーフの【ダン=ロット】の3人。
 
「おい、ロット。 暑苦しいからそれ以上寄って来ないでくれ」
「なんだよコウ、つれねえーな」
「男ってなんで暑苦しいんだろう」
「さあ? バカだから?」
「相変わらずローズは辛口だね……」
 ローズの口の悪さに苦笑いをするマリノであった。
「パンッ--。そろそろ良いか?」
 手を鳴らし皆の注目を集めたレオが話し始める。
「いよいよ明日がサラマンダーに入学して初めての大会だ。何も心配する事は無い。明日のグランプリは俺達キングダムだ。取るぞ……」
「ああ」
「よっしゃー! サラマンダーにいるやつら全員の度肝抜いてやろうぜ」
「明日は頑張ろうねローズ」
「うん。 余裕だね」
 キングダムのオーラはもはや学生のそれを超えていた。
 
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