2人で奏でる異世界デュエット

豚也

バンド結成 6


「みんなおはよう。今日から授業が始まるわけだが、それと同時にうちではバンド活動にも同じぐらい力を入れてやってもらっている。今日の6時間目はそれぞれバンドを作ってもらうからなー」


 ガロンの言葉に目を輝かせる生徒達。


「あ、でもバンドは同じ種族じゃなくて、ばらばらの種族で組めよ?卒業するまでは別の種族同士で組んでもらうから」

「先生!質問です」

「いってみろー」

「本来種族同士で活動が基本だと思うのですが、なぜ別々の種族同士で組むんですか?」


 生徒の1人が質問した。


「各々種族には良いところがあるからそれを学んで音楽に幅を広げてほしいから、何よりそっちの方が面白そうだから」


 口の端を吊り上げ小悪魔みたいにそう答えたガロン。


「そーいうわけだから、6時間目までにある程度固まっておけよー」


 そう言って教室から出て行くガロン。


「違う種族でバンド組むの面白そうですね!」

「俺も思った!」

「私は将来ギターと組み合わせたいからもってこいな話ね」

「俺は誰と組んでもギターしか弾かねえ」

「バンドですけど……私達4人で組んでみませんか?」

「俺も4人でやってみたい!」

「私も良いわよ」

「俺もーつか、今のところそれしか考えてなかったわ」

「でわ、決まりですね! よろしくお願いします!」

「よろしく!」

「卒業までよろしくね」

「よろしくー」


 こうして、4人はバンドを組む事になった。そして、6時間目。


「よーし、朝言ってた通りバンドを組んでもらうぞー、バンド決まったらバンド名と人数報告してなー、それと、隣の演奏室で楽器弾いてもいいからな。」


 ガロンの一言で生徒達が動きだす。エバ達同様もうほとんどの生徒がおおよそ組み終わっているようだった。


「バンド名何にしましょうか」

「みんな何か候補ある?」

「全然考えてなかったわね……」

「最強集団ってのはどうだ?」

「なによそれ。 ダサい。却下。」

「キッド、それは無い。」

「さすがにそれは無しが良いですね。」

「良いと思ったんだけどな……」

「まさか本気で言ってたの?」

「そんなわけないじゃ無い」

「……そんなわけねえだろ。」

(((本気だったんだ……)))

「なんだよお前らのその顔」

「それよりバンド名どうするのよ」

「私1つ案というか、良いなと思った言葉があるんですけど、ガロン先生が言ってた【楽しむ事を忘れるな】ってとても心に響いたんですよね」

「私もあの言葉は心に響いたわね」

「俺も大事だと思った」

「俺もそれは賛成かな、楽しめなくなった奴らを何人も見たことがあるからな」

「だから、あの言葉を使えたらなんて思ってたんですけど」

「楽しむか……あっ! こんなのはどう?」

「良いじゃないそれ!」

「悪くねえーな」

「とても良いとおもいます!」

「じゃあバンド名はこれで決まりね!卒業まで頑張るわよー!」


 そう言って拳を太陽に向かって突き上げたエレナ、エバ達もそれに続いてた。


「先生!バンド決まりましたよ!」

「おーまた面白い4人だな、バンド名は?」

「【TDIM】です」

「何の略だ? ただいまか?」

「違いますよ!【TAKE DELIGHT IN MUSIC】の略ですよ!」

「音楽を楽しむか……良いじゃねえーか。頑張れよ」


 ガロンはまるで親が子を見るような笑顔でそう言った。



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