2人で奏でる異世界デュエット

豚也

バンド結成 2


「キーンコーンカーンコーン」


 チャイムが鳴ると今まで散らばって話していた生徒達はみな席に着いた。


「よーし、みんな席に着いたな? 先ずは、サラマンダーに入学おめでとう! これから3年間今までよりも音楽について本格的に学ぶ事になるが、1つだけ言っておく……」


 生徒達は次の一言に何を発せられるのか期待と緊張とそれぞれの感情を覗かせて待っていた。


「楽しむことを忘れるな。」


 そう言った教師の眼鏡の奥はどこか悲しそうに見える。


「音楽を続けていると必ず、辛くて苦しい時が来る。それを乗り越えられず音楽の道を諦めてしまうかもしれない。でもお前らにはその辛さや苦しみを乗り越えて、今日みたいな楽しんでる笑顔で乗り越えてもらいたい。いつだって音楽を楽しめ!」


 そこには先程までの悲しい顔は無く無邪気に笑う子供の様な笑顔をした教師がいた。


「そんな訳で今日からお前らの担任になる【ガロン=ラウト】だ! よろしくな?」



【ガロン=ラウト】はサラマンダーの教師である。キッドよりも背がでかく眼鏡をかけており、茶色の長髪を後ろで結んでいる。



「俺の自己紹介も済んだところだし、今日の日程を伝える。この後大ホールで集会の後、教室でレクリエーションだな。そこで各自自己紹介してもらうから言う事考えておいてな? 今日はそれで終了だ。 本格的な授業は明日からだな。よし!みんな移動の準備!」


 各自席を大ホールに向かうのであった。


「私達も行きましょう!」


 エバ達にアメリが言うと、軽い返事をした後席を立った。


「そういえば、今年のグラフェスのグランプリもドレイクでしたね! この世界が出来てから初めての連覇なんてすごいですよね!」

「俺もそう思う!家で観てたんだけど、グランプリ発表の時すごい叫んじゃった!やっぱスタークのギターはすごいね!キッドもそう思わない?」

「あ? そうだな…… あいつのギターはすげえ……」


 そう答えたキッドの顔はどこか悔しそうだった。


「キッドどうかしました?」

「いや、なんでもねえ…… それより大ホール見えてきたぞ!」

「--なっ、なんだこれ……」


 エバは大ホールの大きさに思わず口を開けたまま固まってしまった。



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