クリティカル・リアリティー
第十七話 愛
気がつくと真っ白な場所から戻ってきていた。覚悟は自然と完了していた。健人と目が合い、お互いの安否を確認し私は隣にいる真凛の持っている鞄の中に手を入れる。
中にはスライムのような、うまい例えが思いつかないような弾力のある物がある。三人は地面に落ちるが健人がバリアで私達を守る。健人と私は目を合わせ、それを不思議がる真凛を尻目にその物体を鞄から引き抜く。私が決めた道。これしかないんだ。時が止まったように思えた。頭で響き渡る声がした。
――お前には扱えないよ。
扱えなくともやるしかないんだよ。
――お前はそんな覚悟出来てないだろう?
……ううん、『覚悟』は出来てる。そんな事言うのやめてよ。
――早く『それ』から手を離して死ね。
死なないよ、こんな場所で。第一そうしたら『貴方』も死んじゃうでしょう?
――死ぬか、生きるか、そんなのはどうでもいいんだよ。『オレ』にとって、生きてるか死んでるかじゃない、存在してたか、してなかったでしかないんだよ。
……カッコ悪っ。
そう思い、有無を言わせる前に手に握っている物をより強く握りつぶす。擦れる音がし、先程まで聞こえていた声も聞こえなくなっている。代わりに前方から男の声がきこえる。健人の目の前にまで敵は迫っていた。周りを見渡すと烈王さん達は遠くまで逃げていた。ここには三人しかいなかった。
健人は腰を下げ、そのまま男に突っ込み突進し右手ににある銃を上に向け左手で剣を作り仮面越しに顔を叩き斬る。中から血と悶苦しむ顔が現れる。健人は人を殺した。今までとは違う、私は健人のようになってもいい。
一体何が足りないんだろう。覚悟?責任感?まだ子供だから? それとも……信頼?
まだ敵は十人いる。そんな絶望的なシーンから彼は、目だけを私に向け、まるで私の考えを全て見抜いているように呟いた。
「一人じゃあ、生きてけんよ。自分の為に、相手を信じろ」
その目は青かった。視線の先は私だけというわけでなく、握っていたモノに向かっていた。
そっか。生きてるんだ。私達は。誰かの為に。自分の為に。
息を吸い直す。これは覚悟だ。口元に近づけ接吻する。そして、噛みつき、砕く。林檎を思い切り齧るように、丸ごと食べるように。
ドロっとしていた。美味しいとは思えない、生肉に近い感触かもしれない。
馬鹿なことしたな。でも、一人じゃなくて良かった。
「ごめんね。」
溶け出た中身の液体が一瞬だけ光って見えた。すぐに残りを食べた。苦味はなかった。愛があった。
瞼を閉じると、満たされていく身体。細胞が活性化しているように、勝手に動き出しそうになる。
でも、操られない。私は私の為に生きる。
瞼を開くと健人は一人で、戦っていた。
あの時、私を殺したように。いつか、利名子を殺したように手を構え、光は撃ち出された。その光は健人右前の仮面に当たり仮面が外れることなく押し込まれ脳までぶち抜いた。
健人は驚くことなく黙々と戦っている。
今度は両手で構え、漫画やアニメのように思いっきり発射した。健人に群がる彼らに向かって撃ち込んでやった。先程は頭程の大きさだったが今度は怪物が入る程の大きさへと変化していた。健人は察してからか空気を土台にして宙へ10m程飛ぶ。
又何人かは空気銃を構え撃ったがかき消され、光に包みこんであげる。
これが私の私への愛だ。
まだ奥には、首を絞めてきた女が残っていた。女は陶酔しきった顔でじっと私を見つめてきていた。
「すごいネ! じゃあ対決でも……シてみる?なんちゃって♪」
茨の鎧を作り、蔦で体を支えながら森へ消えていった。これで終わったのか?
なら皆を助けに行こう。その前に健人にお礼を言わなきゃ。お礼を……いわなきゃ……
目の前が何色になったか気づく前に私の意識は途切れた。
中にはスライムのような、うまい例えが思いつかないような弾力のある物がある。三人は地面に落ちるが健人がバリアで私達を守る。健人と私は目を合わせ、それを不思議がる真凛を尻目にその物体を鞄から引き抜く。私が決めた道。これしかないんだ。時が止まったように思えた。頭で響き渡る声がした。
――お前には扱えないよ。
扱えなくともやるしかないんだよ。
――お前はそんな覚悟出来てないだろう?
……ううん、『覚悟』は出来てる。そんな事言うのやめてよ。
――早く『それ』から手を離して死ね。
死なないよ、こんな場所で。第一そうしたら『貴方』も死んじゃうでしょう?
――死ぬか、生きるか、そんなのはどうでもいいんだよ。『オレ』にとって、生きてるか死んでるかじゃない、存在してたか、してなかったでしかないんだよ。
……カッコ悪っ。
そう思い、有無を言わせる前に手に握っている物をより強く握りつぶす。擦れる音がし、先程まで聞こえていた声も聞こえなくなっている。代わりに前方から男の声がきこえる。健人の目の前にまで敵は迫っていた。周りを見渡すと烈王さん達は遠くまで逃げていた。ここには三人しかいなかった。
健人は腰を下げ、そのまま男に突っ込み突進し右手ににある銃を上に向け左手で剣を作り仮面越しに顔を叩き斬る。中から血と悶苦しむ顔が現れる。健人は人を殺した。今までとは違う、私は健人のようになってもいい。
一体何が足りないんだろう。覚悟?責任感?まだ子供だから? それとも……信頼?
まだ敵は十人いる。そんな絶望的なシーンから彼は、目だけを私に向け、まるで私の考えを全て見抜いているように呟いた。
「一人じゃあ、生きてけんよ。自分の為に、相手を信じろ」
その目は青かった。視線の先は私だけというわけでなく、握っていたモノに向かっていた。
そっか。生きてるんだ。私達は。誰かの為に。自分の為に。
息を吸い直す。これは覚悟だ。口元に近づけ接吻する。そして、噛みつき、砕く。林檎を思い切り齧るように、丸ごと食べるように。
ドロっとしていた。美味しいとは思えない、生肉に近い感触かもしれない。
馬鹿なことしたな。でも、一人じゃなくて良かった。
「ごめんね。」
溶け出た中身の液体が一瞬だけ光って見えた。すぐに残りを食べた。苦味はなかった。愛があった。
瞼を閉じると、満たされていく身体。細胞が活性化しているように、勝手に動き出しそうになる。
でも、操られない。私は私の為に生きる。
瞼を開くと健人は一人で、戦っていた。
あの時、私を殺したように。いつか、利名子を殺したように手を構え、光は撃ち出された。その光は健人右前の仮面に当たり仮面が外れることなく押し込まれ脳までぶち抜いた。
健人は驚くことなく黙々と戦っている。
今度は両手で構え、漫画やアニメのように思いっきり発射した。健人に群がる彼らに向かって撃ち込んでやった。先程は頭程の大きさだったが今度は怪物が入る程の大きさへと変化していた。健人は察してからか空気を土台にして宙へ10m程飛ぶ。
又何人かは空気銃を構え撃ったがかき消され、光に包みこんであげる。
これが私の私への愛だ。
まだ奥には、首を絞めてきた女が残っていた。女は陶酔しきった顔でじっと私を見つめてきていた。
「すごいネ! じゃあ対決でも……シてみる?なんちゃって♪」
茨の鎧を作り、蔦で体を支えながら森へ消えていった。これで終わったのか?
なら皆を助けに行こう。その前に健人にお礼を言わなきゃ。お礼を……いわなきゃ……
目の前が何色になったか気づく前に私の意識は途切れた。
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