神様の旅路

三日月

第12話〜VS智也〜

もっと……もっと力が欲しい、今目の前にいるあいつを殺せる力が
そう思っていたとき

「久しぶりだな、智也」

俺の頭の中に声が響き、目の前が真っ暗になる

「あんたは、あの時の魔人か」

「そうだ、我はディータただの魔人だ」

何故こいつの声が聞こえる?って気にしてる場合じゃないか、今の俺には力がいる

「なぁディータ、力をくれないか?」

俺がそう言った瞬間ディータは高笑いをあげた

「まさか、まだ力を望むとはなぁ」

「あぁ、俺は力が欲しい」

「別に力をあげても良いが、どうなっても知らないぞ」

今更どうなろうが関係ない、力が手に入ればそれで良い

「早く力をくれ」

「では、望み通り力をあげよう」

そう言われた瞬間俺の中に何かが流れ込んでくる

「くっ……苦しい」

俺の中に流れ込んでくるものが体の中を暴れている。
最初に力をもらった時よりさらに激しい痛みを感じる
意識が消えかける。
それでも俺は痛みに耐えた

「よく頑張ったな、これでお前はさらに力を手に入れた、どう使うかはお前次第だ」

そして目の前が明るくなる

「くくっ、力が足りないならもっと貰えば良いじゃないか」

そして俺からオーラが溢れ、俺の体を包み込む、自分の肉体が変化していくような感じがする。
俺は……力を手に入れた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さて、どうしよっかな〜」

まさか更に強くなるとは思わなかった、しかもこの感じは……魔人が関係してるな

「もしかしたら、あれを使わなきゃいかなくなるかもな」

そう思っていると

「死ね」

そう言って物凄いスピードで智也が突っ込んでくる、
まぁ俺には届かないけど

「《時間遅延スロウタイム》」

智也の動きが遅くなる、俺は攻撃を簡単に回避して智也の動きを戻した

「《獄炎砲ヘルファイア》」

智也は距離を取り俺に向けて魔法を放ってきた、先程よりも威力が上がっている

「《空間転送アスポート》」

俺は智也の魔法を消す

「《獄炎砲ヘルファイア》」

智也は魔法を連発してくる、俺はそれをギリギリで回避する、炎が俺の頬をかすめた

「やっぱりな、お前その魔法消すやつ連続で使えないんだろ」

智也にそう言われ俺はドキッとした、もうバレちゃったか

「あぁその通りだよ」

空間転送アスポート》は智也の言った通り連続で使えない、一回発動する毎に約二分のインターバルが必要になる、たった二分だが戦闘において二分は致命的だ

「その魔法の弱点が分かった今お前に勝ち目はないだろ」

そう言って智也は《獄炎砲》を連発して打ってくる、俺は《時間遅延スロウタイム》で智也の魔法の動きを遅くしながら回避する、しかし魔法を消せないから俺が避けた魔法が城に命中してしまっている

「おい、この城を破壊する気なのか?お前」

「別に城なんてどうでも良いだろ、邪魔なだけだ」

はぁ、あいつの目には敵しか見えてないのか、これ以上城に被害が出たら後々面倒くさそうだし何とかしてやるか

「おい智也!そこで少し待ってろ」

そう言って俺は智也に《時間束縛タイムバインド》を使った

「くそ……何故動けない」

さて、あまり時間はないしさっさとやるか
そして俺は魔法を発動させる

「《隔離結界かくりけっかい》」

その瞬間俺と智也を囲む様にして壁が現れる
《隔離結界》の中は結界の外と別の空間軸になっている、この中で何が起ころうとも結界の外には被害が出ない、と言う魔法だ
この中なら俺はあれが使える、出来れば使いたくないんだけど

「おい……なんだ…これ」

「ごめんごめん、今解いてあげるよ」

そう言って俺は智也にかけた《時間束縛》を解く

「これは特殊な結界だ、この中にいる限り外に被害が出ない様になっている」
「しかも、これがあれば俺は少し本気を出せるんだよ」

「まだ本気じゃなかったのか?」

「あぁ、本気を出すまでもないと思っていたからな」

「舐めるなよ、俺はお前より遥かに強いんだ」

そう言って俺に突っ込んでくる、俺は智也の動きを遅くして攻撃を回避した

「《獄炎砲》」

俺に向けて魔法を放つも《空間転送》で消す

「空きだらけだぜ」

いつの間にか智也が俺の真後ろにいた、とっさに時を止めようとするも、止められなかった

「ぐわっ」

俺は智也の拳を思い切り喰らった、顔面を殴られ血が出てくる

「おいおい、いきなりどうしたんだ?」

「少し油断しただけさ」

とは言え困った、まさか時間操作できる五分を使い切ってしまうとは、これで俺は智也の動きを遅くすることも、動けなくすることも、時を止めることも出来なくなった

「オラオラ、どんどん行くぜ!」

智也は更に追い討ちをかけてくる、ギリギリで避けようとするも完全には避けきれない、俺は一気に不利になった

「そういやお前、この結界の中にいる時本気出せるとか言ってたよな?まさか、今のお前が本気なのか?」

「いや、まだ本気じゃないぞ。やっぱお前如きに本気出すまでもないと思ってな」

「イラつく奴だな、舐めんじゃねぇ!」

智也が俺を攻撃しようと突っ込んでくる

「《空間転移テレポート》」

俺は智也の背後に移動して攻撃を回避する

「まだだ!」

智也は連続で攻撃してくる、しかし俺はその攻撃を全て避けきった。少し本気を出さないとダメかな

「さて、こっちの番だ!」

そして俺は魔法を使う

「《空間射出アポート》」

その瞬間何もない場所から突然真っ黒い炎が現れ智也に向かっていく
しかし俺の魔法は回避されてしまった

「おいおい、当たらねぇぞ」

「じゃあ、これならどうだ?」

そして俺は再び《空間射出アポート》」を使った、何もない場所から魔力の塊が現れ智也に向かっていく

「ぐわぁ」

今度は命中した、だが今の智也には大したダメージを与えられていないだろう

「おい、今の魔法はミノタウロスのか?」

「その通りだよ」

流石に気づくか。俺が智也に向けて放ったのはダンジョンでミノタウロスが最後に放った魔力砲だ。
空間射出アポート》は別の空間から物体を取り出すと言う魔法である、《空間転送アスポート》で送られた魔法は《時が失われた世界ロストワールド》に送られる、そこは全ての時が止まっており外の世界から送られたものの時も止まる、《時が失われた世界ロストワールド》から外の世界に物体を出すとその物体の時が動き出す、これがこの魔法の仕組みだ

「まだやるのか?智也」

「あぁ、お前を殺すまでやるぜ」

「そこまで言うなら俺も相手してやるよ、ただお前を殺す気で行くけどな」

「やれるもんならやってみろよ」

そして俺と智也の戦いはさらに激しさを増していく

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