話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

翡翠の御石

負手勝世

絵筆色の翡翠

翡翠石の色は、白、緑、紫、青、黒。
古い翡翠いしになると、茶、などの種類イロがあり。

姫は、これらの色彩の翡翠を基にしつつ。

海岸で拾い集めた貝殻や、目の前の海に遠く薄く浮かぶ
佐渡島の金山銀山から穫れるキン や銀を用いて、絵を描いたりもした。

もしや... いつぞや言っていた、毒を発する石。
というのは、金や銀のコトではあるまいね?


 桜を翡翠で描いた。

 春の訪れを真っ先に知らせてくれる温かい風も。
 散って宙に舞う梅の花びらも。
 水面に浮かび流れる桜の花束も。
 草木をついばみ、歌う小鳥達も。
 花に寄り道してゆく蝶や蜂も。
 沢や滝の水飛沫も。

 夏の海の波や川のきらめきも。
 水面から飛び出した魚の鱗がキラリ反射する瞬間さまも。
 燃え盛る陽も。
 熱い砂浜の岩の揺らめきも。
 空と入道雲も。
 山々の緑も。
 陽射しと仲の良い木漏れ陽も。
 夜露滴る葉も。
 重い雨雲も。
 急に降り出した雨の太い線も。
 花火と火花の輝きも。
 金魚鉢に入れた翡翠と二匹の赤い金魚も。

 夏の終わりも。

 燃えたぎる紅葉もみじも。
 秋夜の虫の音も。
 高く薄く流れゆく雲も。
 ひんやりとし始めた空気も。
 泣き出しそうに潤んだ月も。

 降り積もった雪の峰も。
 朝日に輝く氷柱も。
 しん、と澄み渡り、真っ白に、透明になった世界を。

翡翠で描いた。

「翡翠の御石」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く