今ここにある絶望

ノベルバユーザー386538

No.10~No.18

No.10 着せ替えパッド
髪型、服、靴などを一瞬で変更することができる魔導具。

例 

「うわっー、えっ!?、すごーい!。これほしい!!」

少女は値札を見た。

「えっ........................うそ。」

パターンは一万を超えるとの噂だが、手に入れた人の話はめったに聞かない。



No.11 さらばだなんて
不明。冥界五十八門の一つ。



「さらばだなんて。」

少年は少女の腕を掴む。

「わかってるでしょう。」

少女はそれを振り払った。



No.12 霧の王国
遥か昔、一つの王国があった。その王国には美しい王妃とその子供達がいて、王は既に病気で亡くなっていた。しかし、彼らは気高く生きていて、国民もそれを応援していた。そんなある霧のでた日のこと、一人の男がその国を訪問した。その男は自らを旅人と名乗り、王妃らは滅多にみない旅人に興味を示し、男を城に招きパーティーをした。三日間に及ぶそれはとても楽しいもので、しかし、三日目の朝に男は翌朝この国をたつことを皆に言った。王妃らは悲しみ、しかし笑顔でそれを了承した。その夜のパーティーはそれまでよりも豪華なものであった。パーティーが終わり、後片付けも終わり、皆が寝静まった頃、一つの小さな影が、旅人の男の寝室の扉の前に立っていた。影は合い鍵で部屋のドアを開け、音をたてずに部屋に入った。そして男のベッドにそろりそろりと近づき、そして男のベッドのそばまできて、枕元を覗き込んで驚いたように硬直した。僕になにかようかい。背後から声が聞こえ驚いて振り返るとそこには旅人の男が。そう、男は奇襲を警戒してベッドでは寝ていなかったのだ。影ー少女ーは険しい表情で彼女を見る男に事情を説明した。



「逃げて............早く」

少女は体を震わせながらもきっぱりと言った。その願いを。

「どうしてだい?」

男はそう返す。夜襲を仕掛けてきたと思っていた相手が、今、本当に自分のことを気にかけそう言っている。彼はこの国の正体を未だ知らなかったのだ。



No.13 死剣
殺剣、死神の剣とも呼ばれている。神剣のうちの一つ。人の殺傷に特化している。



「掠っても死ぬの?」

少女は剣の刃を指でなぞりながら尋ねた。

「オリジナルはな。レプリカであるそれは大したことはない。だが、オリジナルを手にした人間にもし出会ったら、戦おうなんて思ってはいかんぞ。」

少女はいつになく真面目なその烏の話に、震える体を認識した。



No.14 冬のお布団
抜けだせない。



「後ごふんだけー」

くるまった少女は転がりながらそう言った。

「だーめ。遅刻するわよー!」

それがどんなに幸せか、そのときの彼女にはわからなかったのだ。



No.15 自覚のない死
昔々美しい国があった。国民誰もが誇れる美しい国であった。ある頃から国では謎の伝染病が流行りだした。風邪に似た症状ながら熱はなく、風邪よりも遥かに強い感染力を誇っていた。その国の王様もその伝染病に感染したが、誰も重く受けとめなかった。今までその伝染病で死者がでたことはなかったからだ。しかし、どこの国でも体の弱い人はいる。この国ではたまたまそれが王様だった。国民は嘆き悲しみ、そして悲しみを乗り越えようとしていた。そんなときだ。留学していたある死霊術士が一人前になって国に帰ってきたのは。国民は希望を見出してしまった。国を挙げて死霊術の研究に勤しみ、そして遂に完成させた。そして失敗した。国民全員の死という最悪の結末で。



「だけどそれで話は終わらなかった。一瞬過ぎたんです。死ぬのが。国民みんな分かっていない、自分が死んだことを。気がつかなかったでしょう? あなたが三日間過ごした皆が幽霊だなんて。自分でも分かってないから姿形が変わらないんです。だけど.........発想が間違いなくこの世の者でない。今夜、彼らはあなたを殺す為にこの部屋に来ます。彼らは何も疑問に思わず、ただあなたを仲間に加えるために親切で殺しに来ます。だから、
その前に逃げてください。」

少女の話は男にとって衝撃的なものであった。門で出迎えてくれた兵士も、広場で風船をくれた子供も、優しくしてくれた王妃もその子供達も、全てこの世にはもう存在しない人々だと言うのだ。

「子供? 君の話が本当なら君はどうなんだい? なぜ自分が死んだことを知っている?」

少女は言った。自分は生きていると。



No.16 死霊術士
一言で死霊術士といっても様々な種類がある。擬似魂魄で死体を操る術、本物の死霊を操り敵にとりつかせる術、死者を蘇らせる術など、やっていることは似ているようで全然似ていなかったりする。



「私が.........留学していた死霊術士よ。」

少女はうつむき、そう答えた。

「......なるほど、納得がいった。」

男はそう言って少女に近づく。男が一歩踏み込むごとに少女の肩は大きく震えていた。危険だってわかっていた、こんなこと絶対にやってはいけないことも。だけど言えなかった。誰も聞いてくれなかった。ただ国民の意志に従った。そんなときに大学の友達に大変なことが起きたことがわかった。いてもたっても居られず、自分が帰るまで研究を進めないように言って出国した。友達はなんとかなって、一安心して、国に帰ってみたら。あるのは死体の山と、それに興味を示さない無数の亡霊だけであった。幾度後悔したかしれない。自分が帰るのがもっと遅かったら、イヤだと言えていれば、もっときつく言っていたら。だけど全ては手遅れで、少女は今も死者のふりをしてこの国に混ざる。解決策を見つけるために、日々研究に研究を重ね、色々な方法を試し、そのたびに失敗する。もう嫌だ。そんなこと言えやしない。だって......私のせいで。だけど、誰か.........



No.17 がんばったね
え? 男は少女の頭を撫でて、一言そう言った。



「えっ.........? なんで...? 私が悪いんだよ。私のせいなんだよ。私に誉められる権利なんてないんだよっ!!!!」

少女は叫んだ。

「知らない。君に何があったのか、どんな事情があったのかは知らない。だけど...これだけは分かる。」

今までひとりで、がんばってきたんだな。えらいえらい。男はそう言って少女を抱きしめた。暖かい涙が、少女の頬をつたっていった。


No.18 異世界転生
死んだ、もしくは別の理由で新たな命として別世界に転移する事を指す。大抵の場合赤ん坊から再び生を得ることになる。



「おぎゃっーおぎゃっー(なんで、私が赤ちゃんに?)」

赤ちゃんは困惑していた。

「はいはい、オムツ換えましょうねー。」

大抵の場合立って歩けるようになるまではは地獄であるらしい。



今ここにある絶望





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