今ここにある絶望

ノベルバユーザー386538

No.1~No.9

No.1 夢見箱 絶望レベル2
開けると白い煙が沸き立ち、それに包まれた人は幸せな夢見る。



「お父さんが借金取り消すために飛び降りちゃったよ。それじゃ保険金下りないんだけどな。ああ、もうイヤになったよ。僕も飛び降りよう。あれ? なんだこの箱?」

少年は箱を開けた。

「こっ、これは!? お父さん!? お母さん!? ああそうだった。僕はこんなに愛されていたんだな。分かってる、今そっちにいくよ。」

逆効果なこともある。




No.2 皆勤賞 絶望レベル1
学校などで一定期間欠席せずに登校した生徒に送られる賞。



「皆勤賞発表..................以上二十八名。」

少年の名前はなかった。

「まあ、呼ばれないよね...............僕の三年間って一体?」

特別な理由なく休めば容赦なく途切れるリスキーな賞。酷い風邪をひくとアウト。例えとったとしても意外に多い表彰者の数に絶望することがある。



No.3 高貴なる刃 絶望レベル3
高価なものを傷つけることはその価値を知っている者にとって躊躇されるべきことである。例えそれが命に関わる鍔迫り合いであったとしても。そんな心理を増幅させるのが高貴なる刃。この刃は対人戦闘で傷ついたことがない。



「これがある限り僕は無敵だ!!! えいりゃーー!!!」

少年は切りかかる。

「ぐぎゃっ!! うぅ.....バタリっ」

避けて切るくらいはアマチュアでもできるそう。



No.4 おしゃべり烏 絶望レベル1
人語を話す烏。趣味は声真似が必要なもの以外の詐欺全般。不死不老であるとの噂がある。



「オレオレ、お前の息子の。」

烏は電話越しに違う名前を名乗る。

「烏ちゃんって私の息子だったの? 知らなかったーーー、え? 練習にならない? だって目の前にいるじゃん。電話ごっこつまんないんだもん。」

声まねのできるできないはともかく、果たして烏は電話のない世界で詐欺ができるのだろうか?



No.5 りんごいるか? 絶望レベル4
りんごを与える謎の存在。



「りんごいるか?」

それは聞いてきた。

「いやいらないけど。」

食べるとどうなるかは誰も知らない。



No.6 魔法書*E8763-退魔-鶏頭の悪魔 絶望レベル2

鶏の頭をもつ悪魔を祓うとされている魔法が記された魔法書。



「どっかいけー、どっかいけー、どっかいけー!!」

少女は呪文を唱えた。

「..................俺は烏だ。」

特定の姿をもたない悪魔に通じるかは不明。



No.7 クラス替え絶望レベル1
一定周期で訪れる新たな友人を作ることができる機会。楽しみにしている生徒は多い。



「荒木君......鍵屋君......水道橋さん......は何度か話したことがある。でもだめだ、まだ足りない。せめて坂口君がいてくれれば……あ、直木!? やった!! 直木君とは5分以上話したことがあるぞ!!!」

少年は直木にすれ違いざま声をかけた。

「あっ、、れ? おかしいな? 聞こえなかったのかな? きっ、きっとそうだ.........」

人によっては地獄のイベントとなり得る。



No.8 羽衣絶望レベル2
様々な種類がある。これは宙に浮くことができるそう。



「ぷかぷーかー」

少女は楽しそうに宙を舞う。

「はい。終わり。レンタル五分で1000バリーね。」

希少価値が高い。



No.9 異世界転移絶望レベル5
死ぬ、その他の理由で異世界に転送されてしまう現象のうち、生まれ変わらないもの全てのことを指す。

「はっ、こっここは? 僕はあのビルから飛び降りたはず。あっ、お父さんは?  お母さんは?」

少年はあたりを探し回った。だけど何も見つからなかった。

今ここにある絶望

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