転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)
運命という世界線を壊せ 1008
彼女は『聖女・ミレナパウス』だ。教会側からこちら側に寝返った存在。実際、そんなのが本当にいるのか? とか俺は思ってた。けど俺一人の言葉が上の方に届くわけもない。それに上が判断したことに一兵卒……いや、そういう立場でもない俺が何かいえるわけない。
俺は今や軍属でもない。ただの、協力者といっていい。けどそんな俺でもどうやら聖女・ミレナパウスは回復してくれるらしい。それも致命傷だった傷だ。
そんな安々と治せるような傷じゃなかった。それに今もそうだ……彼女は攻撃しつつ、周囲の兵士達……いや違う……この一体……この戦場のすべての兵士たちを治療してる? まさか……信じられない。俺は彼女のやってることのあまりのおかしさに彼女を抱えたまま固まってしまった。
それはきっと聖女・ミレナパウスの癇に障ったのかもしれない。なにせ大変なことをやってる彼女である。彼女の一撃はあの強化された砂獣共も一掃してる。それだけの攻撃をしつつ、戦場にいるすべての兵士たちの怪我を回復してるのである。
(魔法すげー)
――で終わるようなことじゃないだろう。
「まだ治ってませんか?」
更にそんな事言わせてしまった。これ以上俺という人間にこの人を煩わせたら、この人はともかく周囲から殺されるかもしれない。
「いえ、そんな事はないです! おかげさまで助かりました! ありがとうございます!!」
俺はビシッとそう言って頭を下げる。それに対して聖女・ミレナパウスは「それは良かった」と言ってくれた。けど彼女の気が緩んだのは一瞬だった。
「それでどこに行こうと?」
「いえ、それは彼女を後方へ……」
「治ってますよね? それとも足りませんでしたか?」
聖女・ミレナパウスはニコニコしてる。男なら誰もが見惚れる様な……そんな笑顔。加えてとても白い肌はここアズバインバカラには珍しく、それだけで見惚れるほどだ。
けど俺は聖女・ミレナパウスに恐れ……を抱いてた。彼女は笑顔だけど、その裏に何やら怒り……いや不満を感じる。
「完治はしてるようですが……なにせ致命傷だったので……」
「それでも今は一人でも戦力を欠くわけには行きません――っと、流石にこれだけのことをやってるとなくなるのも早いですね」
そう言って聖女・ミレナパウスは頭につけてた髪留めを一つ外して、内側から別の髪留めを出してつけた。この戦場で見た目を気にしてるのか? とか一瞬訝しんだが、女とはある意味でそういうものか……とも思った。
そんなことを思ってると、聖女・ミレナパウスは俺に近づいてた。
「致命傷で気を失ってるのです」
そんな分析を彼女はした。それは普通の感じだった。うん、何の変哲もないそんな言葉。すると自然と聖女・ミレナパウスの手が広げられて掲げられた。そしてそのまま横薙ぎに振るわれる。
パァン!!
――そんな小気味いい音が耳に届いた。
俺は今や軍属でもない。ただの、協力者といっていい。けどそんな俺でもどうやら聖女・ミレナパウスは回復してくれるらしい。それも致命傷だった傷だ。
そんな安々と治せるような傷じゃなかった。それに今もそうだ……彼女は攻撃しつつ、周囲の兵士達……いや違う……この一体……この戦場のすべての兵士たちを治療してる? まさか……信じられない。俺は彼女のやってることのあまりのおかしさに彼女を抱えたまま固まってしまった。
それはきっと聖女・ミレナパウスの癇に障ったのかもしれない。なにせ大変なことをやってる彼女である。彼女の一撃はあの強化された砂獣共も一掃してる。それだけの攻撃をしつつ、戦場にいるすべての兵士たちの怪我を回復してるのである。
(魔法すげー)
――で終わるようなことじゃないだろう。
「まだ治ってませんか?」
更にそんな事言わせてしまった。これ以上俺という人間にこの人を煩わせたら、この人はともかく周囲から殺されるかもしれない。
「いえ、そんな事はないです! おかげさまで助かりました! ありがとうございます!!」
俺はビシッとそう言って頭を下げる。それに対して聖女・ミレナパウスは「それは良かった」と言ってくれた。けど彼女の気が緩んだのは一瞬だった。
「それでどこに行こうと?」
「いえ、それは彼女を後方へ……」
「治ってますよね? それとも足りませんでしたか?」
聖女・ミレナパウスはニコニコしてる。男なら誰もが見惚れる様な……そんな笑顔。加えてとても白い肌はここアズバインバカラには珍しく、それだけで見惚れるほどだ。
けど俺は聖女・ミレナパウスに恐れ……を抱いてた。彼女は笑顔だけど、その裏に何やら怒り……いや不満を感じる。
「完治はしてるようですが……なにせ致命傷だったので……」
「それでも今は一人でも戦力を欠くわけには行きません――っと、流石にこれだけのことをやってるとなくなるのも早いですね」
そう言って聖女・ミレナパウスは頭につけてた髪留めを一つ外して、内側から別の髪留めを出してつけた。この戦場で見た目を気にしてるのか? とか一瞬訝しんだが、女とはある意味でそういうものか……とも思った。
そんなことを思ってると、聖女・ミレナパウスは俺に近づいてた。
「致命傷で気を失ってるのです」
そんな分析を彼女はした。それは普通の感じだった。うん、何の変哲もないそんな言葉。すると自然と聖女・ミレナパウスの手が広げられて掲げられた。そしてそのまま横薙ぎに振るわれる。
パァン!!
――そんな小気味いい音が耳に届いた。
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