転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 969

「おい、俺と手合わせしろ」

 町中で出会った彼女に俺はそんなふうに声をかけた。彼女は軍属ではなく、賞金稼ぎらしい。だから訓練で戦う……なんて出来ない。
 けど俺は端的に言えば調子に乗ってた。なにせ……だ。なにせ武器を持ってるとなんでも出来る気になってたからだ。俺は新人の中では負けなしなのだ。
 やはり天は二物を与えず――とはいうが、俺には与えてしまったんだと思ってた。だから今の俺なら……こいつをこてんぱに出来る……とそう思ったんだ。

 まあ新人の俺たちは帯刀したまま町中にでるのは認められてなかった。だから今は剣はない。でも……それでも日頃の訓練で身体を鍛えて戦闘技術も学んでるのだから、今なら負けるわけ無いとおもった。けど……

「はあ……なんで私が子供のわがままに付き合わないといけない? ふざけるな」

 とか言われた。断られるのは想定内だった。けど……まさか「子供のわがまま」とか言われるとは思わなかった。その言葉は俺を切れさせるのには十分。寧ろ子供っぽいとか一番言われたくない言葉だといっていい。

 俺の身体は勝手に動いてた。彼女はすぐさま背を向けて歩いてた。そこに向かって背後から近づいて拳を向ける。でも次の瞬間――俺は空を仰いでた。

「ぐはっ!?」
「そんな心持なら、死ぬぞ」

 そんな事を耳元で囁いて彼女は去っていく。こうやって倒されるのは実際はいつものこと。だが、今までとは違う事がある。それは俺自信が訓練をしてるってことだ。それは不本意なものだが、真面目にはやってる。てかサボる事を許されない環境だ。

 だから真面目にやるしか無い。戦い方だって変わったはず。今までの素人前とした戦い方ではなく、ちゃんと訓練した兵士としての動きをしてた筈。
 なのに、あの女は一瞬で俺を下した。認めたくない……認めたくないが、改めてあの女は相当強い……ということに俺は実感した。

「くそやろう……」

 それから真面目に訓練をやってあの女を下してやる!! ――となれば厚生物語りとしてよかったのかも知れない。けど基本クズな俺はそんなふうにはならなかった

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