転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 922

「「「「おおおおおおおおーーーー!!」」」

 むさい男たちが砂漠に集まってた。そして木霊する野太い声。熱い中、俺たちは上半身裸でアズバインバカラの外の場所にいる。今の声はこの砂漠に木々が生えてきたからだ。何もないところから突然と、ニョキニョキと植物が生えてきた。

 それをやったのはなんとまあ、ちっこい少女である。10いってるのかいってないのか……そんな小さな子供がこれをやってのけた。こんなことができるなんて……やっぱりここアズバインバカラは何かが違う。

 中央の王様がここを選んで逃げてきたというのも納得だ。なにせここではいくらでも食えるし、いくらでも働ける。皆が笑いあって助け合う。

 俺たちだって、ここ以外のどこだって、助け合ってたのは一緒だろう。むしろ、助け合わないと、この世界は生き残れない。それを誰もがわかってるから、助け合うのは当然だ。けど……それでうまく回ってるところがどれだけあったか……少なくとも俺が知ってる……俺がいた町はそんなことはなかった。

 誰もが助け合って、誰もが前を向きたかった。けど……どんどんと追い詰められていってた。どうしようもなかった。どれだけ頑張っても、どうしようもない明日しか見えなくて……希望なんて言葉を忘れてた。

 でもここでは違う。明日が見える。笑いあえる明日が……だ。

「ようし行くぞ!」

「「「おおおおおおお!!」」」

 俺たちは手に持った斧を握りしめて走り出す。さっき生えてきた木々はすでに見上げるほどにデカくなってる。幹は筋骨隆々な俺たちよりも太い。

 

 俺たちは斧でその木を伐りだす。力を合わせて幹を削り、太い幹が傾きだす。

「倒れるぞーーーー!!」

 そんな声が響く。それを聞いて皆が倒れだした木を見て倒れる場所からのいた。木が倒れたと同時に、砂に伝わる振動。一緒に舞い上がった砂が俺たちの頭上へと降り注ぐ。

「ぺっぺっ、うへぇぇ」

 砂が汗で肌に張り付いたりして気持ち悪い。でもこんなので嫌になってたら、やっていけるわけはない。大丈夫。仕事が終われば、みたこともないような大浴場で仕事の疲れをとることができる。それを思えば、暑くて気持ち悪くても、仕事終わりのスパイスになるのだと思える。

 倒れた木を縛って何十人かで運び出す。さらにまた別の木が倒れて、そして待機してたやつらがまたその木を運ぶ。そんなことを今日は繰り返した。

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