転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 741

棒を引っ張り合ってた鬼たち。そんな事をしてると、なんか不思議な事が起こった。普通そんな事をしたらどっちか力の強いほうが勝と言うか、引っ張って相手の手から奪うとかなると思う。

 けど鬼だからね。鬼は同じ金型から作られてるような、コピー品だと私は思ってる。だから個性なんてない。つまりは違いはないのだ。だからこの二体の鬼……同じ力を持ってるはずだ。となると……まあいつまでも決着なんてのはつかない。

 だって同じ力なんだから。でも鬼はなんか互いにその棒に力を注いでるように見える。するとなんということでしょう……なんか棒から腕が生えた。

「はえ?」

 マヌケな声が出てしまった。いや、でもこれは出るでしょう。それに……だ。その腕が両端にいる鬼をつかむ。そしてパァン!! と二体の鬼を押して、棒とともに押しつぶした。そしてパァンとしたその手は潰れた鬼をこねこねしてる……ように見える。もしかしたら汚れを落としてるだけなのかもしれないが……まあそれなら拭く所無いからね。

 汚れは落とせない。そんな事を思ってると、なんか腕から棒が出てきた。

「どういう事?」

 ついついそんな声が出る。だって意味分かんない。今の鬼の状態? を端的に説明すると、鬼が持ってた棒から腕が生えて、それで鬼が潰されたから、今度は棒の先の腕から棒が生えてきた――というね。なんかややこしい。いや見たら一発だが……棒の両端に二本のたくましい腕が生えていて、その腕が更に二本の太い棒を持ってるのだ。既にあれは鬼なのかどうか? 角はなくなってる。

 最大の特徴であり、そして力の源だったはずの角がなくなったら、あれはもう鬼ではない? でも……そのエネルギーはなんか跳ね上がってるように見える。手と棒から膨大なエネルギーを感じる。

「つっ!」

 くるくると棒を回す腕。さっきまで大きな鬼が両手で抱え込むように持ってた棒。それを軽々と片手で棒から発生してる腕は持ってる。つまりその腕は鬼よりもデカいってことね。だからこそあんな軽々と棒を振り回すことが出来る。

「ちょっ!? これは反則……」

 私は逃げに徹するよ。だってめっちゃ巨大な棒がブンブン振り回されながら迫ってくるんだよ? はっきり行って、こんなの一発でも当たったらG-01とて危うい。絶対にあたることは出来ない。けどわかってる。逃げてるだけじゃ、追い詰められるだけだ。どうにかしないと。

「藪をつついて蛇が出ちゃった感じだね……でもなんでこのタイミングで?」

 こんなのことができるなら、私が鬼を狩ってる時にだって出してもおかしくなくない? なぜに今って疑問があるよ。やっぱりネナンちゃんがいるからなのだろうか? それってつまりは私よりもこの世界はネナンちゃんを警戒してるってことなのだろうか? それはとても興味深いと思う。言っとくけど嫉妬とか、悔しいとかじゃないから。

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