転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 739

「まさか武器まで持つとはね……」

 私は目の前の鬼を見てそう呟いた。いや黒い全身を覆うスーツみたいなのを着た時もなんか違う……と思ったが、更に武器まで……そもそもが鬼は強靭だ。その肉体を傷つけられる存在ってきっとほとんどいないだろう。それだけのエネルギーを持ってるから、もしも傷を追ったとしてもほぼすぐに回復することが出来ると思う。

 腕が無くなったって自己修復出来るしね。そのエネルギーがある限り、鬼が死ぬことはない。だからこそ、鬼を倒すにはあの角を切るしか無い。それ以外では倒せないのが実情だから、その強力な肉体でゴリ押せば、大体はどうにかなってきたんだと思う。

 というか、鬼が戦う相手ってのはそもそもが存在してないが……でもそんな中、私が……というかG-01が現れた。私はこれまでで何体もの鬼を倒して、その角を奪ってる。実際、こいつらは連携とかなくて、気づいたら加勢してくるが、ちょっと離れたら我関せず……みたいなスタイルを鬼たちは取ってて、なかなかに戦いやすい相手だった。

 だからこそ、一対一に持ち込めば倒せる……って常套手段が確立できたわけだ。けど奴らは関心はなくても、対策は取ってきたみたいだ。

そもそもがなんかこの黒いスーツみたいなのは全身をほんと包んでて、スーツというかタイツみたいな感じで完全に全身を覆ってるのだ。首から下……とかではない。顔まで覆ってる。つまりは角も覆ってる。この黒くなったのにどれだけの意味があるのか……それはまだ分かんないが、これがG-01対策なのだとしたら、きっと防御力とかがあがってそうだ。更にそこに武器まで……

 それはつまりはこれまでの鬼との戦闘で培ってきたデータが使えないと言うことだ。鬼には言っとくけど個性がない。きっとエネルギー的にこれでモブとか考えられないが、鬼はきっと金型があって、それにエネルギーを込めて生産してるみたいな感じなんだと思われる。

 だから見た目的には全部一緒だ。明に現れたように黄金とかになってたら区別はできるが、基本全員同じ姿かたちをしてる。そしてそれは寸分違わずである。そのおかげで、どの鬼と戦っててもその腕の長さやらが同じだから、間合いを見極める事が既にできてる。

 でも……武器を持ち出すとなると話しは変わってくる。なにせ間合いが変わるからだ。それに奴は今、なんか棒みたいなのを持ってる。けどそれは実態では勿論無い。つまりはあれって長さなんて見た目的にはなんの意味もないってことだ。

 たぶんね。多分……鬼が馬鹿じゃなかったら、あの今見えてる長さに意味なんてのはない。

「とりあえず確かめて見ないとね」

 私動き出してまずはまっすぐに走る。ちゃんと向かい打ってくれるように、打ちやすい感じで向かっていく。すると鬼は案の定大きくその棒を振り上げる。そして私に向かって打ち下ろしてくる。

 巨大な棒を両手で持っておろしてくる鬼だけど、それだけか? と思ってしまう。いや、めっちゃデカイ棒を持ってるのに、そのスピードは驚異的ではある。重さなんて感じないくらいだ。実際、鬼的には重くないのかもしれない。そもそも実態ないし。でも重量がないと、攻撃力的には大したことなくなってしまうから、きっとインパクトしたら衝撃が襲ってくるとかあるんだろう。

 まあ当たらないけど。私はG-01の体を捻って、その棒を避けて、そのまま前に出る。とりあえずどれくらいの防御性能が違うのか……それも確かめたいから、さっきもう一体の鬼の顎をふっとばしたくらいの威力で拳を突っ込んだ。

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